副業は手軽に始められる分「始めたはいいけど事務手続きが分からない!」という方もいらっしゃるかと思います。
とりあえずレシートや書類を取っておいたけど、どれをどう確定申告すればいいか分からず慌てる、というのは副業を始めたばかりの方のあるあるです。
そこで今回は、皆様の確定申告準備として、自動車整備士が副業を始めた場合に経費にできるものについて解説していきます。
費目ごとの勘定科目についても記載していきますので、ご参考頂ければと思います。
そもそも経費ってなに?
経費とは、事業活動を行う上で必要な費用のことを指します。
自動車整備士の副業の場合であれば、作業に使ったヒューズなどの部品代、移動の際のガソリン代や駐車場代などです。
経費は副業収入から差し引くことができますので、副業収入に課されることになる所得税を減らす効果があります。
経費にできる項目をしっかりと把握し、無駄に所得税が課せられることのないように管理していきましょう。
経費を考える上で大事なポイントは以下の3つとなります。
- 事業活動に必要かどうか
- 不必要に払っていないか
- いつに計上すべきものか
詳しく知りたい方は
自動車整備士が個人事業主となった場合の経費の考え方や家事按分について解説!
個人事業主は様々な出費を経費化できますが、なんでもかんでも経費にして良い訳ではありません。 自動車整備士が個人事業主となった場合の経費について、気を付けるべきポイントや家事按分について解説していきます。
https://seibii.co.jp/blog/contents/mechanic_self_employment_expenses/

個人事業主の経費について記載したものとなっていますが、副業においても考え方は同じです。
ここでは簡単に解説します。
事業活動に必要かどうか
その支出は「副業収入に必要かどうか?」を考え、経費にするかどうかご判断ください。
副業がどんな業務か?によって全く異なってきます。
不必要に払っていないか
副業の場合はあまりない状況かと思いますが、経費になるからと言って、不必要な出費はしない方がよいでしょう。
節税の効果は、ご自身の所得税率分だけです。
いつに計上すべきものか
経費に計上できる時は、その費用を使用した時点で計上となります。
お金を払ったときではないので、ご注意ください。
自動車整備士の副業において経費が認められる所得(事業所得と雑所得)
所得税法上、経費計上が認められる所得は、事業所得・雑所得・不動産所得となります。
アルバイトなど、給与所得を得ることになる副業は経費計上が認められません。
少し前までは「副業収入=雑所得」とすることが一般的でしたが、副業収入でも事業所得になり得るという見解が国税庁より発表されました。
副業収入が事業所得になるか、雑所得になるかによって、計上できる経費も変わってきます。
ここでは事業所得と雑所得の概要についてお話しし、それぞれどういった副業の自動車整備士があてはまるかについて解説していきますのでご参考ください。
なお副業収入が不動産所得となる方はごく限られているかと思いますので、割愛させて頂いています。
自動車整備士の副業収入が事業所得になる場合
自動車整備士の副業収入が事業所得になる場合について、以下の3点についてお話していきます。
- 副業収入が事業所得になる条件
- 自動車整備士の副業、こんな方は事業所得
- 副業が事業所得となった場合に受けられる税務メリット
副業収入が事業所得として認められるようになると、損益通算や配偶者への給与など様々なメリットがあり、雑所得として計上するよりもお得です。
条件としては難しいものではありませんので、ぜひ副業収入=事業所得とできるように対応していって頂ければと思います。
なおSeibiiでは、副業として働く自動車整備士の皆さんが継続的にお仕事を得られるような仕組み作りに取り組んでいます。
定期的にお仕事を受けて頂ければ、副業収入を事業所得とする条件を満たすことが可能ですので、興味がある方はこちらをご確認ください。
副業収入が事業所得になる条件
副業収入が事業所得として認められる条件は以下となっています。
①帳簿書類の保存があること
②所得を得るための活動が、社会通念上事業と認められること。
なお、収入金額が僅少と認められる場合や活動に営利性が認められない場合を除く。
※収入金額が僅少とは「副業収入が概ね3年程度主たる収入の10%未満であること」
※営利性が認められないとは「概ね3年程度赤字の状態が続き、その対応策をとっていないこと」
②に関しては判断が難しいため、実質的に①さえクリアできれば、事業所得になりえる可能性があります。
上記の条件は国税庁の通達を参照しております。
自動車整備士の副業、こんな方は事業所得
上記の条件を踏まえ、自動車整備士の方で以下の4つの条件にあてはまる方の副業収入は、事業所得となります。
- 業務受託整備など収入が給与ではなく報酬に区分される副業を行っている
アルバイトなど収入が給与とされる副業は、給与所得に区分されるため事業所得にはなりません。
業務委託整備やウーバーイーツ、ブログ執筆などの副業収入が報酬に区分されます。
- 帳簿書類を保存している
売上と支出をExcelや会計ソフトで管理することや、請求書やレシートを整理して保存しておくことが必要になります。
保存期間は7年間となりますので、捨てずに取っておきます。
- 会社員の給与年収の10%以上を副業で稼いでいる
例えば給与が400万円の自動車整備士の場合、副業において40万円以上稼げるように働くようにしてください。
副業開始直後は10%未満で構いませんが、3年以上連続して10%未満となると、事業所得として認められない可能性があります。
- 経費を入れても副業の事業を黒字に維持できる
副業収入を事業所得とする場合、損益通算が可能になりますが、損益通算目当ての副業は事業所得として認識できません。
こちらも副業開始直後は赤字となっても仕方ありませんので、概ね3年以内に黒字とするよう努めてください。
損益通算とは、については以下に記載しておりますのでご確認ください。
副業が事業所得となった場合に受けられる税務メリット
副業収入を事業所得とすることのメリットは以下となります。
制度自体を正しく活用するためには知識が必要ですが、学んで損はないほど節税効果は高いです。
- 損益通算
- 純損失の繰り越し(青色申告の場合のみ)
- 青色申告専従者給与(青色申告の場合のみ)
- 事業専従者控除
- 車などの固定資産の減価償却
上記のメリットはほとんど個人事業主と同じとなりますので、詳しくは
自動車整備士が個人事業主となった場合の経費の考え方や家事按分について解説!
個人事業主は様々な出費を経費化できますが、なんでもかんでも経費にして良い訳ではありません。 自動車整備士が個人事業主となった場合の経費について、気を付けるべきポイントや家事按分について解説していきます。
https://seibii.co.jp/blog/contents/mechanic_self_employment_expenses/

自動車整備士の副業収入が雑所得になる場合
自動車整備士の方の副業収入で、事業所得となるもの以外は雑所得となります。
以下の条件にあてはまる方の副業収入は雑所得ですので、ご参考ください。
- 帳簿書類を保存していない
- 副業収入を増やしていくつもりはなく、毎年会社員の給与年収の10%未満となる
- 副業の所得に関して、赤字の状態が続いている
副業収入が事業所得となる方々が利用できるメリットは、雑所得の場合は活用できません。
自動車整備士が副業の時に経費に出来るものとは?
自動車整備士が副業の時に経費にできるものをご紹介します。
副業収入が事業所得となる場合と雑所得となる場合とでは考え方が異なりますので、それぞれの場合についてご参考頂ければと思います。
- 事業所得の場合
- 雑所得の場合
また副業の場合、通信費や車の減価償却費、光熱費などプライベート兼用の経費が多くなるかと思います。
その場合は家事按分する必要がありますので、全額経費にしないようご注意ください。
事業所得の場合
まずは副業収入が事業所得となる場合について、主な経費を見ていきたいと思います。
- 部品代(勘定科目:仕入高)
- 工具代(勘定科目:消耗品費又は備品)
- ガソリン代・駐車場代・電車賃(勘定科目:旅費交通費)
- 携帯料金・ネット回線利用料(勘定科目:通信費)
- 車の購入代金(勘定科目:減価償却費と車輛運搬具)
- 水道代・電気代・ガス代(勘定科目:水道光熱費)
部品代(勘定科目:仕入高)
ヒューズなど修理作業に直接使う備品、ドラレコなど整備作業と同時に販売する場合は仕入高として計上します。
冒頭にも記載しましたが、経費として認識できるタイミングは「使用した時点」となります。
大量に仕入れした場合など、年内に使わなかった部品についてはその年の経費にできませんので、期末在庫として経費化しないようにご注意ください。
工具代(勘定科目:消耗品費又は備品)
ジャッキやトルクレンチ、電工ペンチなどの工具が該当します。
青色申告の場合は1工具につき30万円未満、白色申告の場合は1工具につき10万円未満のものについて、消耗品として認識します。
工具セットについては、1工具あたりの金額ではなくセット合計の金額で判断してください。
青色申告の場合は1工具につき30万円以上、白色申告の場合は1工具につき10万円以上の工具については、備品として固定資産計上し、減価償却費のみが経費となります。
ガソリン代・駐車場代・電車賃(勘定科目:旅費交通費)
出張整備や仕入のためのガソリン代、移動時の駐車場代や電車賃については、旅費交通費として認識します。
交通系電子マネーのチャージ代を旅費交通費とするケースがありますが、電子マネーはどこでも何にでも使えるためブラックボックス化しやすく、目を付けられやすくなっています。
副業に交通系電子マネーを利用したい場合には、電車に乗車したなど「使用した時点」で旅費交通費として認識し、チャージ時には経費化しないようにしましょう。
携帯料金・ネット回線利用料(勘定科目:通信費)
携帯電話の料金やwifiの利用料などは通信費となります。
プライベート兼用の場合が多いかと思いますので、家事按分を忘れないようにしてください。
車の購入代金(勘定科目:減価償却費と車両運搬具)
自動車整備に関する副業をしている、または副業に車は必要と言い切れる場合にのみ、車の減価償却費を経費計上することができます。
ブログや物販など、車が必要と言えない副業をされている方は経費化できませんのでご注意ください。
車は車両運搬具として購入時に固定資産計上します。
プライベート兼用の自動車の場合、減価償却費の家事按分を忘れないようにしてください。
水道代・電気代・ガス代(勘定科目:水道光熱費)
ブログなど在宅で仕事をする副業の場合、ご自宅の水道代・電気代・ガス代は経費になります。
出張整備の場合、仕事は外出して行うものとなりますので、ご自宅での水道代などは経費にできないことが多いかと思います。
自分の働き方に合わせて計上するようにしてください。
雑所得の場合
副業収入が雑所得となる場合について、主な経費を見ていきたいと思います。
- 部品代(勘定科目:仕入高)
- 工具代(勘定科目:消耗品費又は備品)
- ガソリン代・駐車場代・電車賃(勘定科目:旅費交通費)
事業所得において記載した、通信費・減価償却費と車両運搬具・水道光熱費については、雑所得においては経費化は推奨しておりません。
これらの費用はほとんどがプライベート兼用であることが多いため、経費化する場合は家事按分することとなります。
ですが雑所得の場合、副業における労力や時間が少ないため、プライベート使用率が圧倒的に高く、事業按分率がとても低くなりがちです。
事業按分率が低いと経費化できる金額が極小となり、経費となる金額がわざわざ計算した労力に見合わない可能性が高いため、推奨しないとさせて頂いています。
経費化できない訳ではありませんので、通信費などを経費化するかどうかについては、ご自身でご検討頂ければと思います。
部品代(勘定科目:仕入高)
ヒューズなど修理作業に直接使う備品、ドラレコなど整備作業と同時に製品を販売する場合は仕入高として計上します。
仕入高については事業所得となる場合と違いはありません。
年内に使わなかった部品については期末在庫とし、経費化しないようにご注意ください。
工具代(勘定科目:消耗品費又は備品)
ジャッキやトルクレンチ、電工ペンチなどの工具が消耗品費に該当します。
雑所得の場合は事業所得と異なり、青色申告制度はありません。
そのため全員が白色申告となりますので、10万円以上の工具については備品計上となります。
備品計上となった場合は、減価償却費を経費計上してください。
ガソリン代・駐車場代・電車賃(勘定科目:旅費交通費)
出張整備や仕入のためのガソリン代、移動時の駐車場代や電車賃については、旅費交通費として認識します。
プライベート兼用の場合は家事按分してください。
自動車整備士が副業で経費に出来ないものとは?
自動車整備士が副業で経費にできるないものをご紹介します。
こちらは自動車整備士に限らず、また副業・個人事業主に限らず、どんな人も経費にできない項目となります。
- プライベートの費用
- 医療費・生命保険料・社会保険料
- 所得税・住民税
プライベートの費用
当たり前のことですが、副業に関係のない費用は経費にできません。
業務外の飲食費、交通費、書籍代などを経費にしたくなる気持ちは分かりますが、副業における費用は、個人名で契約したものや個人として購入したものがほとんどです。
私費との区分けが難しい立場となっていますので、副業とプライベートを混同しないように節度をもって管理してください。
なお被服費については注意が必要です。
着用が必要不可欠である場合の制服(Seibiiのツナギなど)の場合には経費にできます。
しかし、一般的なツナギやポロシャツなどについては、業務にのみに使っていたとしてもその立証が難しく、プライベートの費用とされる可能性が高いです。
医療費・生命保険料・社会保険料
医療費や生命保険料、社会保険料は、副業の経費にできません。
しかしこれらの費用は経費にはなりませんが、所得税の申告時には活用可能です。
- 医療費は医療費控除
- 生命保険料は保険料控除
- 社会保険料は社会保険料控除
上記の控除が適用可能となっており、所得税を減らす効果があります。
また保険料が経費にならないとなると混同してしまいがちですが、自動車保険料や損害保険料は経費にすることが可能です。
家事按分の都合上、経費にするかは別問題ですが、経費にできることを覚えておいてもらえればと思います。
所得税・住民税
所得税と住民税は副業の経費にはなりません。
誤って租税公課として計上しないように注意しましょう。
一方、税金という点において、自動車税は経費にすることが可能です。
まとめ
自動車整備士が副業を始めた場合に経費にできるものについて、具体的な勘定科目を使って解説してきました。
副業はあくまで副業であるため、労力や拘束時間が個人事業主と比べて少なく、家事按分における事業按分率が低くなりがちです。
経費にできる金額は多くはありませんが、項目自体は個人事業主と同様に様々となりますので、私費との区分けを正しく行って、確定申告の準備をしていって頂けると幸いです。
セイビーでは作業時給¥3,000以上で副業の方でも、効率よく稼げるような働き方で作業をお願いしています。
興味がある方はお気軽にお問い合わせください!