整備士の新しい働き方として、今、急速に注目を集めている「助っ人整備士(スポット工場バイト)」。
出張整備サービスで知られる「セイビー」が新たに提案するこのスタイルは、工具も車も持たず、身一つで現場のピンチを救う「助っ人」としての働き方です。
今回は、実際に「助っ人整備士」で活躍する現役整備士、仲本雄大メカにインタビュー。
15年間勤めた民間工場を飛び出し、ディーラー未経験ながら「腕一本」で現場を渡り歩く――これまでのキャリアの変遷から、現場ごとの驚き、そして「プロ同士の信頼」がもたらす充足感まで。技術と信頼だけで道を切り拓く、プロフェッショナルの率直な思いを伺いました。
セイビーの「助っ人整備士(スポット工場バイト)」とは?
人手不足の整備工場と、空いた時間に稼ぎたい整備士をつなぐマッチングサービスです。 最大の特徴は、出張整備のような「作業車」や「重整備機器」の持ち込みが不要なこと。工場の設備を借りられるため、いつものハンドツールさえあれば即稼働可能です。
面倒な契約手続きや交渉もすべてセイビーが代行。 現場に行き、「整備作業」だけに集中して稼ぐことができる、メカニックに特化した副業スタイルです。
仲本雄大メカ プロフィール
- 年齢: 30代後半
- 居住地: 埼玉県飯能市
- 整備士歴: 約15年
- 資格: 2級自動車整備士、自動車検査員
- 経歴: 自動車専門学校を卒業後、軽未使用車専門店(指定工場・民間車検場)に約15年間勤務。その後、フリーランスとして独立。現在はセイビーのスポット工場バイトをメインに、出張整備や知人のショップの手伝いなど幅広く活動中。
飯能の地で培った、プロとしての15年
整備士としてのキャリアは、自動車の専門学校を卒業してからスタートしました。
最初の就職先は、地元でも大きな「軽未使用車専門店」の整備工場。そこは後に指定工場になり、1店舗にスタッフが60〜70人もいる大所帯でした。その半分以上が整備士という環境で、結局、約15年間お世話になりました。
現場では主に「自動車検査員」として、車検の合否判定やお客様への整備提案を担当していました。オイル交換から重整備まで、一通りのことはそこで叩き込まれましたね。
15年勤めて愛着もありましたが、組織が大きくなるほど「利益や台数」といった目標に縛られるようになり、時間の融通も利きにくい環境でした。
もっと自分の裁量でお客様と向き合い、納得感のある整備をしたい。
そして何より、自分らしく働ける「時間の自由」を手に入れたい。
そんな思いが重なり、フリーランスとしての独立を選んだんです。
始まりは「車が好き」という純粋な気持ち
そもそも整備士になろうと思ったきっかけは、本当に単純で「車が好きだったから」。
とにかく早く2級整備士の資格を取って現場に出て、自分の手で車を触りたいという一心でした。
でも、15年現場にいて、車の整備への感覚は少し変わってきたかもしれません。
昔は「自分の車をカスタムしたい!」という熱が強かったけど、今はそれよりも「目の前のお客様の車をしっかり直して、喜んでもらいたい」という気持ちの方が大きい。
自分の趣味にお金をかけるより、プロとして技術を提供することにやりがいを感じるようになったのは、年齢を重ねて考えが変わった証拠ですかね。
15年勤めたからこそ見えた、組織の限界
長年働いていると、やっぱり「このままでいいのかな」という思いが強くなっていったんです。
特に感じていたのは、会社が決めた一律の工賃(レバレート)に対する違和感。
作業をしながら「この作業にこれだけのお金をもらっていいのかな」と思うこともあれば、逆に「もっともらってもいいはずなのに」と感じることもありました。
何より、当時は「短時間車検」の目標に追われる日々。
1時間車検をどんどん詰め込んで、1日の台数目標を追い求める。利益や台数を追い求めるあまり、一人ひとりのお客様と向き合う余裕がなくなっていく。
もっとお客様と直接対話して、納得感のある整備を提供したい。
それに、組織特有の人間関係もあって、もっと自由に、自分のペースで働ける「時間」が欲しかった。
それで、何も考えずに「まずは外の世界へ出てみよう」と独立を決めました。
セイビーとの出会い、最初は半信半疑
独立したものの、当時は集客の方法もわからず手探り状態でした。そんな時、自分と同じようなフリーランスの整備士がいるのかネットやSNSで探して見つけたのが「セイビー」だったんです。
最初は正直、半信半疑でした。特に、お客様のご自宅に伺う出張整備は「作業をずっと見られるのが少し恥ずかしいな」という抵抗もあって(笑)
でも、お世話になっている整備士の店長から「セイビーは企業(工場)向けの案件も扱っている」という話を聞いて、一気に興味が湧きました。
一般のお客様だけでなく、ディーラーや指定工場といった「プロの現場」をサポートする仕事がある。
さらには、外部の整備士がディーラーの現場に入るという仕組みそのものにも興味が湧き、「これなら自分の技術を試せるし、面白いことが知れるかもしれない」と登録を決めたんです。
1週間の働き方と「万全の備え」
現在は活動のほとんどが「セイビー」経由の仕事です。助っ人整備士を中心に、多い時では週に4日ほどディーラーの現場へ入っています。それ以外の空いた時間に、募集がある出張整備案件を受けたり、知人から直接連絡が来た作業をこなしたりして1週間のスケジュールを埋める形ですね。
こうした「場所を選ばない働き方」を支えているのが、自分なりの準備とこだわりです。
独立にあたって、機材を自由に積み込めるよう普通車から軽貨物バンに乗り換えました。
バンの後部座席を倒し、自前の工具一式を機能的に収納できるようカスタムしています。
出張整備と助っ人整備士、理想的なバランス
実際に両方を経験してみて、それぞれの特徴をこう捉えています。
- 出張整備: 時間の自由度は非常に高いが、依頼が来るタイミング次第で収入に波がある。
- 助っ人整備士: 拘束時間は決まっているが、月の稼働日数が見えやすく、収入のベース(土台)として計算しやすい。
僕の場合、単価としての実入りも良い助っ人整備士をメインに据えて安定した収入を確保しつつ、空いた曜日に出張整備を入れて「プラスアルファ」を狙う形が理想です。
この働き方が自分に合っていると感じるのは、月の初めに「今月はこれくらいの稼働になる」という見通しがしっかり立つことです。
あらかじめ「この日は休みたい」と伝えておけば、無理に出勤を求められることもなくスムーズに休ませてもらえます。組織に縛られ、時間の融通が利きにくかった前職時代に比べると、精神的な疲れはほとんどなく、気持ちが本当に楽になりました。
「やった分だけもらえる」というフェアな報酬
報酬面についても、今の形態には非常に満足しています。
前職は15年間勤めた軽未使用車専門店で「年俸制」の固定給でした。どれだけ重い責任を背負っても、どれだけ多くの台数をこなしても、毎月の手取り額は変わりませんでした。しかし、今は違います。
「自分が動いた分だけ、ダイレクトに報酬として返ってくる」
確定申告はこれからなので正確な年収はまだ出していませんが、「自分の技術がいくらになったか」が目に見えるのは、職人として大きなやりがいに直結しています。
仕事優先でスケジュールを組み、空いた時間にプライベートを楽しむ。この自由と納得感こそが、今の僕のモチベーションになっています。
必要な工具は? 実際にかかった初期投資
助っ人整備士の「工具を持っていない」という不安を抱えている人のために、実際に僕が用意した工具をお伝えします。
最低限必要な工具(必須)
- ラチェット
- ソケット
- メガネレンチ
- ドライバー(プラス・マイナス両方)
- ノギス
前職で使っていたハンドツール一式があれば、まずは十分です。ノギスはタイヤやブレーキの残量を測るのに毎回使うので、必須だと思います。安いものなら500〜1,000円程度で買えますし、短いスケールのものでも大丈夫です。
あると便利な工具(推奨)
- ウォーターポンププライヤー
- トルクレンチ
- インパクトレンチ
- エアゲージ
この辺りは、実際に現場で働き始めてから「あった方が便利だな」と感じて買い足しました。
とはいえ、トルクレンチやインパクトレンチは現場で借りられることがほとんどなので、最初から無理に買う必要はありません。
僕が買い足した工具は、合計で2万円前後でした。 毎回借りるのが申し訳なくなったり、作業をスムーズに進めたいと思ったタイミングで少しずつ揃えていった感じです。
前職で使っていたハンドツールがあれば、ほぼ追加投資なしで始められるということです。高価な工具を最初から揃える必要はなく、必要に手に馴染むアイテムを買い足していくのが良いかなと思います!
国産ディーラー経験ゼロ。それでも「通用する」という自信
実は僕、これまでのキャリアで国産ディーラーに勤めた経験が一度もないんです。
ずっと民間工場でしたから、最初は「ディーラーの門を叩いて大丈夫かな?」という不安はありました。でも、実際にやってみたら「あ、全然いけるな」というのが正直な感想です。
もちろん、最初は店舗ごとのルールや設備の違いに戸惑います。でも、ネジの回し方や構造の基本は同じ。15年積み上げてきた基礎があれば、現場が変わっても応用が効くんです。
「工場ごとに全く違う」という学びの楽しさ
面白いのは、同じブランドのディーラーでも、店舗によって「色」が全く違うことです。
例えば、ディーラーA店は中古車メインで、オイルなどの油脂類交換が重視されていました。
一方で、ディーラーB店に行くとブレーキのオーバーホール案件が多かったり。
使う機械も違えば、提案の基準も違う。同じディーラーでも店舗ごとで1つのやり方では通用しない、なんてこともあります(笑)
でも、それがいいんです。新しい機械の操作を覚えたり、その工場の「流儀」を吸収したりするのは、1つの工場にいた頃には味わえなかった新鮮な学びです。
「整備士としての引き出し」が、現場を変えるたびに増えていく実感があります。
現場ごとに異なる「1日のリズム」と作業内容
同じ整備の仕事でも、店舗が変われば文化もルールも違います。
実際の1日のスケジュールをご紹介します。
国産ディーラーAの現場(預かり車検がメイン)
こちらは、じっくりと腰を据えて車検整備に向き合うスタイルです。
- 勤務時間: 10:00 〜 19:00
- 休憩: 12:00 〜 13:00(預かり車両が多いため、作業の進捗に合わせて比較的柔軟に休憩が取れます)
- 1日の流れ:
- 午前 (10:00〜12:00): 車検1台
- 午後 (13:00〜19:00): 車検2〜3台(作業内容の重さによって変動します)
国産ディーラーBの現場(点検・一般整備がメイン)
こちらは、スケジュールが時間単位で細かく組まれていることが多く予約のお客さまに合わせてテンポよく作業をこなしていくスタイルです。
- 勤務時間: 9:30 〜 18:15
- 休憩: 12:00 〜 13:00(来店予約に合わせるため、タイミングがずれると1時間しっかり取るのが難しい日もあります)
- 1日の流れ:
- 午前: 12ヶ月点検、または6ヶ月点検を1〜2台
- 午後: 一般整備(車検以外の点検)を4台程度。日によっては車検2〜3台を担当することも
「知らない現場は怖い」は本当か? 不安の正体と乗り越え方
「知らない工場に行くのは、頑固な職人がいそうで怖い」と感じる人も多いかもしれません。
実は僕だって、店舗が変わるたびに毎回不安です(笑)
「どんなチームなんだろう」「助っ人としてどう役割を果たそうか」と、毎回背筋が伸びる思いです。
ですが実際に行ってみると、そこにあるのは「それぞれの流儀を大切にするプロの現場」です。すぐに声をかけてくれる方もいれば、まずは黙々と作業で語り合うタイプの方もいます。
これは「怖さ」というより、お互いの技術を尊重し合う整備士の世界ならではの距離感なんだと感じています。
一番のストレスは「人」じゃなく「場所が分からない」こと
僕は元々、目の前の作業に没頭するタイプなんです。だから逆に、初めて行った現場だと「何がどこにあるか分からない」のが一番のストレスでした。
工具の場所、書類の場所、部品の在庫場所。
それを周りに聞かなきゃいけないんだけど、相手が接客中だったりすると作業がストップしてしまう。手が止まってしまうもどかしさ。これが、毎回最初のスポットバイトでの「やりにくさ」であり「不安」でした。
でも、「これはどこにあるよ」「こういう時はここを見ればいいよ」という情報が分かってくると、もう誰もいなくても自分で動けちゃうんです。体の動きも慣れてくるので、2回目くらいからはある程度聞かずに動けるようになってきます。
人間関係も、気づけば自然に築かれている
最初の1〜2日目は正直、「どういう人なんだろう」「今このタイミング話しかけて大丈夫かな」ってちょっと気にしちゃうタイプなんです。
でも、回数を重ねるうちに、相手も話しかけてくれるようになったり、こっちから声をかけた時の反応が柔らかくなったり。気づいたら、自然に会話が生まれているんですよね。
助っ人とお邪魔していくたびに徐々に馴染んでいく感覚があります。
柔軟性が何より大事。こんな人が向いている
スポット工場バイトで1番大事なのは、柔軟性ですね。
工場ごとにやり方が違うし、作業内容も違う。機械も違う。それに対応していく柔軟性が求められます。
コミュニケーション能力が高い人は、スポット工場バイトは多分すぐ慣れるんじゃないかなと思います。 僕は逆にちょっとそのコミュニケーションが特別高いわけでもないので、初日2日目とかだと、「この人に聞いていいのかな」って気にしちゃうタイプで(笑)
でも、どんな人にも気軽く声かけられる、話ができる人なんかは、全然やりやすいんじゃないかなと思います。
逆に言えば、「1つのやり方に固執してしまう人」や「自分のペースを崩されるのが苦手な人」は、最初は少し戸惑うかもしれません。でも、それも慣れの問題かなと思います。
これからの目標と、仲間へのメッセージ
今後は、今のスタイルを続けながら、さらに自分の技術を磨いていきたいですね。
異なるディーラーを回る生活は刺激的です。
現場ごとに整備基準や設備が異なりますが、それが学びになり、自分の腕を磨く絶好の「力試し」になっています。
「ディーラー経験がない」「道具が足りない」と迷っているなら、まずは一歩踏み出してみてください。
僕も15年間「街の車屋」一筋でディーラー経験ゼロでしたが、柔軟な気持ちがあればプロとして活躍できます。道具も最低限のハンドツールさえ揃えれば十分戦えます。
現場ごとに新しいやり方や仲間に出会える、最高に「面白い整備士業」がここにあります。
自分の技術がいくらになるか、その答え合わせを一緒に楽しみましょう。
この度はインタビューにご協力いただき、誠にありがとうございました!
この度はインタビューにご協力いただき、誠にありがとうございました!
仲本さんのお話から見えてきたのは、「15年の確かな経験と自前の工具を相棒に、現場の流儀を尊重し、しなやかに馴染んでいく」という、新しい整備士のプロフェッショナル像でした。
工場ごとに違う機械、違うやり方、違う人間関係。
その全てに「柔軟性」を持って対応しながら 、自身の技術を現場で「答え合わせ」するように支える姿は 、まさに現代の「自律した職人」そのものです。
最低限の工具だけでいいので出張整備に比べてハードルが低く、それでいて確かな収入とやりがいが得られる。給料や環境に悩む整備士にとって、スポット工場バイトは確かに現実的な選択肢になり得ると感じました。
何より、仲本さんの「やった分だけもらえている実感」という言葉に、この働き方の本質が表れていると思います。自分の技術と時間に、正当な対価が支払われる。当たり前のようで、なかなか叶わなかったこの感覚を、スポット工場バイトは実現したいと考えています。
セイビーは、これからも整備士の皆さんが自分らしく働ける選択肢を増やしていきます。「腕一本」で自由に、そしてプロフェッショナルに。
そんな新しい整備士の働き方を、私たちと一緒に作っていきませんか?
セイビーは全国で整備士を募集しています!
詳細は下記のボタンからご覧ください。
ご応募お待ちしております!