スタッドレスタイヤはタイヤの溝や使用年数だけを気にすればいいわけではありません。
雪道でも滑らず安全に走行できるスタッドレスタイヤですが、寿命の見分け方や適切な管理をしないと十分な効果を得るのは難しいです。
そのため、今回の記事ではスタッドレスタイヤの性能を活かすため、交換時期を見分ける方法と長持ちさせる方法などについて解説します。
スタッドレスタイヤの寿命(耐用年数)は3〜4年
スタッドレスタイヤの寿命の目安は製造から3〜4年、走行距離にすると10,000km〜15,000kmと言われています。
どのタイヤメーカーもスタッドレスタイヤの性能を保証する期間は、3年に定めているのがほとんどです。
積雪地域を例にするとスタッドレスタイヤの装着期間は11月〜4月の6ヶ月間が一般的ですから、1ヵ月間で1,000km走行すると仮定すると3年で15,000kmに到達する計算です。
スタッドレスタイヤは経年とともにゴムが硬化し摩耗も進むと、スタッドレスとしての役割を果たせなくなるため、交換が必要になります。
運転の仕方や車の駆動方式によっても寿命は変わり、車の駆動方式に関してはFF車だと前輪、FR車だと後輪が摩耗しやすいです。
また急発進・急ブレーキは著しくタイヤを摩耗させるだけではなく、交通事故につながる恐れもあるので注意してください。
雪が溶けてもタイヤ交換せずにそのまま乗り続ける方もいますが、ゴムの著しい摩耗を招くことになります。
スタッドレスタイヤに使われるゴムはサマータイヤより柔らかく、乾燥した路面では摩耗が進みやすいためきちんと交換しましょう。
スタッドレスタイヤは適切に使わないと安全性の問題だけではなく 余計な交換費用がかかってしまいます。
タイヤの寿命は3〜4年が一般的ですが、使用前後で状態をよく確認することも大切です。
スタッドレスタイヤの交換時期を見分ける方法
スタッドレスタイヤの交換時期を見分ける方法は、
- 溝の深さ
- 見た目
- ゴムの硬さ
- 製造年数
これらの4項目で判断します。
1つでも引っかかっていればすぐにタイヤ交換を行い、未然に事故を防ぎましょう。
溝の深さ
溝の深さはタイヤの側面についている「スリップサイン」という三角形マーク(▲)を使って確認します。三角形マークの先を辿っていくと溝の奥に突起が見えますが、それがスリップサインです。
走行距離が増えてくるとタイヤが摩耗し溝の深さが1.6mm以下になるとスリップサインが露出し、交換時期を知らせてくれます。
タイヤの溝にはタイヤと路面の間の水を排出し、雪をしっかり噛む(グリップ力)役割があります。
タイヤの溝がないとハイドロプレーニング現象が起きたり、雪道で滑りやすかったりと大変危険です。
スリップサインは6箇所ありますが1箇所でも露出していると本来の性能が発揮されず、道路運送車両法違反に当たりますので直ちに交換してください。
道路運送車両の保安基準(2023年11月13日現在)第9条走行装置等
見た目(傷やひび割れ)
タイヤに傷やひび割れを発見したら、パンクの恐れがありますのですぐに交換してください。
冬季期間はタイヤに雪がかかって状態が見えにくく、雪寄せ中のスコップなどが当たる可能性もあります。
意識して日常的にタイヤの状態を確認することが重要です。
ゴムの硬さ
ゴムの硬度はメーカーにもよりますが新品状態でおよそ「45」以下で、「60」を超えるとスタッドレスタイヤとしての機能が失われると言われています。
硬さは硬度計というものを使って測れますので、ガソリンスタンドやカー用品店、整備工場などで見てもらってください。
ゴムの硬さは柔らかければ柔らかいほどグリップ力が高まり、新品状態から年数を追うごとに硬くなっていきます。
ゴムが硬くなるとグリップ力が弱まり、路面(凍結路面)との密着が悪く滑りやすくなるので大変危険です。
製造年数
製造年数は製造されたタイヤの側面に4桁の数字が記載されていますので、そこで判断します。
最初の2桁が製造週数で次の2桁が製造年を示していて、例えば「2720」の場合2020年の27週(6〜7月頃)を意味します。
製造年数はゴムの硬さにも関係するため、使用する期間中だけではなく「購入時」にしっかり確認することが大切です。
製造年数が古くなるとゴムの硬化が進み、スタッドレスタイヤの性能が十分に発揮されません。
また中古の格安タイヤを買う際は製造年数をよく確認し、1〜2シーズンで使い切る気持ちで購入しましょう。
スタッドレスタイヤを長持ちさせる方法
ここではスタッドレスタイヤを長持ちさせるコツを4つお伝えします。
スタッドレスタイヤ本来の性能を維持し寿命を縮めないためにも、これらを参考に適切に管理してください。
適切な空気圧を維持する
スタッドレスタイヤの空気圧はサマータイヤと同じ管理方法で問題ありません。
運転席ドアの内側にメーカー指定の空気圧値が記載されていますので、しっかり確認して空気圧を調整します。
例えば230kpa(2.3キロ)となっていたら、230kpaの空気圧で問題ありません。
空気圧が少ないとタイヤ両サイド部分に負担がかかり偏摩耗の原因になりますし、操舵性も落ちてしまいます。
逆に空気圧が高いとタイヤの中央部分に偏摩耗が起こり直進性も悪くなります。
サマータイヤ同様スタッドレスタイヤも指定空気圧で管理することが偏摩耗を防ぎ、安定した雪道走行を実現するコツです。
正しい保管方法を意識する
スタッドレスタイヤを保管する前には水洗いで土や埃を十分に落とし、乾燥させてください。
洗わずにそのままタイヤを保管している方もいるかもしれませんが、タイヤに残った水分・油分・紫外線は劣化を早める原因になります。
保管場所は風通しの良い物置や倉庫を選び、屋外でしたら遮光・防水機能のついたタイヤカバーを被せます。
タイヤは長期間保管しておくとゴムから滲み出た成分が、床や隣接しているものに色移りしてしまいますので、床が汚れないように段ボールやベニヤ板を敷いておくと、色移りを防げますので参考にしてください。
ちなみにタイヤの置き方は平積みでも縦置きでも問題ありません。
どちらも定期的に位置を変えてタイヤにかかる圧力を分散させると、重量によるタイヤの変形が防げますよ。
近年ではカー用品店やディーラーなどでタイヤを預かってくれるサービスもあり、保管料金はミドルサイズ車両で半年間およそ7,000円となっています。
自宅にタイヤを保管するのが難しい方は検討してみても良いかもしれません。
タイヤをローテーションさせる
スタッドレスタイヤをローテーション(前後左右でのタイヤの入れ替え)して使用すると、タイヤを長持ちさせられます。
ローテーションのタイミングは5,000km毎が目安ですが、正しいローテーションの仕方を「4輪同サイズのケース」で解説します。
FF車の場合は前輪をそのまま後輪に移動し右後輪は左前輪に、左後輪は右前輪にローテーションさせます。
またFF車のフロントタイヤは駆動輪と操舵輪を兼ね備えているので、早めの交換を意識してください。
FR車と4WD車の場合は後輪をそのまま前輪に移動し、右前輪は左後輪に、左前輪は右後輪にローテーションさせます。
タイヤの偏摩耗は運転のクセにも左右されますので、ローテーションの際はタイヤの摩耗状況をよく確認し、適切なローテーションを心掛けることが大切です。
しかし中にはスタッドレスタイヤの効果を得るため、回転方向を指定しているものもあります。
タイヤの側面に回転方向を指示する矢印(→)が記載されていますので、ローテーションの際は矢印の方向に逆らわないように注意してください。
夏は使わない
夏季期間にスタッドレスタイヤを履き続けると、著しいゴムの摩耗を招きます。夏季期間は道路の表面温度が60℃を超えることもあり、摩擦も大きくゴムが溶けやすくなるので注意が必要です。
またタイヤの空気圧が低いと発熱の異常負荷がかかり、バーストする恐れもあります。
夏はきちんとサマータイヤに履き替え、スタッドレスタイヤを休ませることが大切です。
まとめ
命の危険もあるスタッドレスタイヤの状態は、雪道を走行する上で非常に重要です。
スリップサインや経過年数だけではなく、タイヤに傷などがないかも確認し常に安全運転を心がけてください。
空気圧や保管方法にも気を遣い、スタッドレスタイヤの恩恵を十分に受けられるよう管理も適切に行うことが大切です。