自動車整備士は国家資格を持つ技術職です。
自動車が好きで自動車整備士になった方は多いかと思います。
しかし会社がサービス残業が多いブラック企業であったり、年収が低いということを理由に、せっかく取った資格を諦め他業種への転職を考えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
「好きなことで稼ぐのは難しい」とよく言われることかと思いますが、自動車整備士として独立して収入を増やせば難しくありません。
職場環境のストレスから解放され、自分次第で年収アップも見込めます。
そこで今回の記事では、個人事業主となることを決意した自動車整備士に向け、独立しようとした場合に心配になりがちな収入面と手続き面の不安解消方法について解説していきます。
整備士の収入面の不安は収入源を増やすことで解消する!
収入が安定していることは会社員である大きなメリットですが、自動車整備士が個人事業主として独立した場合、当然ながらそれがなくなります。
安定した収入がなくなってしまうことは不安だと思いますが、その不安は「収入源を増やすこと」で解決しましょう。
自動車整備士が独立した場合、働く時間や働く場所を自分で自由に決めることができます。
それと同様に自動車整備士として独立した場合は、仕事を1本に決めることなく、アルバイトやブログ運営などを併用することが可能です。
自動車整備士の資格を持っていることで「自分の整備顧客を増やす」ことのみに注力してしまいがちです。
しかし独立した数年は顧客数が少なく、大きく稼げないことが多いかと思います。
最初はできる限り収入源を増やしましょう。
様々な仕事を経験することで知識が増え、例えば講師の依頼が来たり本を出したりと仕事の幅が広がる可能性もあります。
いろんなことに挑戦してみることをおすすめします。
今回は整備士スキルを活かせる、以下の4つをご紹介します。
- 整備関連の仕事を業務受託する
- 自動車やバイクの中古車販売(パーツ売買)をする
- ガソリンスタンドなどでアルバイトをする
- 整備関連のブログやYouTubeを開設して、収益化を狙う
整備関連の仕事を業務受託する
自動車整備士が個人事業主として独立した数年は、顧客の数もまだ少なく、収入が少ない可能性が高いです。
空いた時間は整備関連の業務を受けることで収入を増やすようにしましょう。
業務を受ける際に説明を受けるかと思いますが、この場合のポイントは、お客さんの契約相手は業務委託先であるということです。
お客さんと仲良くなったからといって、業務委託先を中抜きして直接契約してしまうことは禁止されていることが大半かと思います。
違反した場合は、同じ業務委託先から二度と業務を受けられなくなる可能性もありますので、この点には十分注意した方が良いでしょう。
業務委託先としては、知り合いのガレージで仕事がないか頼んでみたり、求人情報サイトで業務委託を検索することもできます。
またSeibiiでの整備のお仕事も業務委託となっています。
詳細を知りたい方は以下をご参考にして、お気軽にお問い合わせください!
自動車やバイクの中古車販売(パーツ売買)をする
独立した自動車整備士が収入を増やす方法のひとつとして、自動車やバイクの中古車販売・パーツ販売があります。
中古品の販売には古物商の許可、廃車の引き取りには自動車引取業の許可、といった具合に事前手続きが必要となりますが、自動車整備士としての知見を活かすことができる収入源です。
中古車や中古バイクの仕入先ですが、下取りで0円となってしまった車や不動車などを狙うと価格が抑えられます。
所有者としては安くてもいいから値段がついてほしい、早く手放したい、と考えている場合が多いので、オークションサイトや地元のマッチングサービスなどで探し、それらを整備して売るといいでしょう。
またパーツ販売に関しては、手元に不用品があれば仕入値なくすぐに収益に繋げることが可能です。
不用品の販売であれば古物商の許可はいらないので、手軽に始めることができます。
ガソリンスタンドなどでアルバイトをする
個人事業主として独立して数年は、「個人事業主の仕事だけで手一杯」という状況は考えにくいかと思います。
空いた時間はアルバイトして個人事業主の収入を補いましょう。
勤務先としては、時間に融通の利きやすいコンビニやガソリンスタンドといった職場がおすすめです。
ガソリンスタンドでのアルバイトは資格は不要ですが、危険物取扱者の資格があると優遇されることが多くなります。
危険物取扱者の資格は自動車整備士がプラスアルファとして取る資格でもあるので、本業との相乗効果も高く、意欲をもって取り組めるでしょう。
またアルバイト勤務する良い点は、アルバイト先の社会保険に加入できる場合がある点です。
週に20時間以上や1年以上継続して勤務する見込みがある、など、副収入の条件としては
厳しめですが、社会保険料を安く抑えることができるので、検討してみてください。
整備関連のブログやYouTubeを開設して、収益化を狙う
自動車整備士が個人事業主として独立した場合に、整備関連のブログやYouTubeを開設して収益化を狙うことも収入アップとなる方法の一つです。
ブログやYouTubeを開設した場合の主な収入は、広告収入、及びアフィリエイト収入の二つです。
自動車整備士であれば、専門学校の広告や工具・部品などの商品紹介で収入を得ることができます。
この2点で収入を得るためには、たくさんの人が閲覧してくれるようなコンテンツを作らなければならず、すぐに収入が増える訳ではありません。
しかし一度収益を生むような構造を作ってしまえば、何もしなくともお金が入ってきます。
ブログやYouTubeで収入を得る方法は、様々な方法があるので自分にあった方法を探して挑戦してみましょう!
整備士が独立した時の手続きの不安は4つのポイントを抑え解消する!
収入が安定していること以外にも、会社員でいることのメリットがあります。
それは、会社員である場合、税金や社会保険などの手続きをすべて会社が行ってくれるということです。
しかし自動車整備士に限らずですが、独立する場合は会社がやってくれていた手続きをすべて自分が行うことになります。
何から始めていいか、どう進めればいいかさっぱり分からない、というのがよくある状況なのではないでしょうか。
独立する際に直面するそれぞれの手続きに関する不安は、以下の「4つのポイント」を抑えて解消しましょう!
- 退職の手続き
- 健康保険の加入手続き
- 国民年金の加入手続き
- 税金の手続き
整備士独立手続き①まずは退職の手続き
高校や専門学校、大学を卒業して、「さて独立するぞ!」という方はなかなかいません。
多くの方は会社を辞めた上で独立するかと思います。
独立するためには、まずはしっかり退職の手続きを取りましょう。
退職の手続きを行うことで今後に必要な書類が貰えます。
-
上司に退職の意思を伝える
会社によっては就業規則に決まりがあります。
退職希望日が認められない場合もありますので、早めに行動すると良いでしょう。 -
退職届の提出
こちらも会社の就業規則にしたがって提出してください。 -
後任者に引継ぎをする
口頭や書類などで担当業務の引継ぎをしましょう。 -
必要書類の受け渡し
健康保険証や貸与備品は返却します。
年金手帳、資格喪失証明書、離職票などを受け取ります。 -
退職
退職については会社が手続きの案内をしてくれるので、そこまで悩むことは無いと思いますが、退職の手続きを予め知っておくことでスムーズに進めることが出来ます!
整備士独立手続き②真っ先に社会保険の手続き
会社を退職すると、健康保険証を会社に返却することになります。
健康保険証が手元にない状態でケガや病気をしてしまい病院の受診した場合、診察料は全額自己負担です。
のちに手続きをすれば負担した7割は返却されますが、時間も手間もかかります。
万が一のためにも、退職したら真っ先に健康保険の加入手続きを行いましょう。
加入の際にどんな書類が必要かについては、加入先によって異なります。
健康保険の加入には3パターンありますので、簡単に解説します。
- 国民健康保険に加入する
- 配偶者の扶養に入る
- 任意継続被保険者制度を利用する
国民健康保険に加入する
独立した自動車整備士が配偶者の扶養に入らず、任意継続被保険者制度を利用しない場合、国民健康保険に加入することになります。
よく言われていることですが、保険料は前年の所得に応じて算出されるため、国民健康保険の保険料は高いです。
独立したことで会社員の時より収入がぐっと下がってしまったとしても、独立初年度は会社員時代の収入に応じた保険料が徴収されることになります。
この点は予め確認して注意しておきましょう。
また扶養者がいる場合は、その方の分も国民健康保険の加入手続きが必要となりますのでご注意ください。
手続きはお住まいの地域の役所に出向いて行います。
加入手続きに必要な書類については、地域によって異なりますので役所の窓口にお問い合わせください。
配偶者の扶養に入る
健康保険は必ず加入しなければならないものですが、配偶者が働いている方の場合は、配偶者の扶養に入れる場合があります。
配偶者が法人の健康保険加入者で、独立した際の1年間の収入が130万円未満であれば扶養に入れる可能性が高いです。
収入に関しては見通しが立たないことが多いかと思います。
130万円を超える可能性が低いと思われる方は一旦扶養に入っておいて、130万円を超えることが分かった場合に扶養から外れるようにしてもいいかもしれません。
加入手続きに必要な書類については、配偶者の加入する健康保険の問い合わせ窓口に確認してください。
任意継続被保険者制度を利用する
独立した自動車整備士が配偶者の扶養に入らない場合は、自分で健康保険に加入する必要があります。
国民健康保険に加入することが一般的ですが、退職前の会社の健康保険に引き続き加入することもできます。
それが任意継続被保険者制度です。
国民健康保険の保険料は高いと言われていますが、その理由の一つに扶養の概念がないことが挙げられます。
一方、会社員の社会保険には扶養という概念があり、配偶者やお子様などを扶養者とする場合、保険料を追加で払う必要はありません。
任意継続被保険者制度は会社の社会保険なので、扶養という概念があります。
配偶者やお子様がいる場合、任意継続被保険者制度を利用した方が国民健康保険と比べ保険料が安くなる可能性がありますので、検討してみてください。
ただし、任意継続被保険者制度を利用できる期間は退職後2年間に限られます。
加入手続きに必要な書類については、加入する健康保険の問い合わせ窓口に確認してください。
整備士独立手続き③忘れずに国民年金の手続き
自動車整備士が独立して個人事業主になった場合、国民年金に加入する必要があります。
健康保険とは異なり、国民年金以外に選択肢はありません。
忘れずに加入の手続きをとりましょう。
国民年金の保険料は所得にかかわらず、毎月固定額で、その固定額は毎年変動します(令和4年の場合、月額16,590円)。
扶養者がいる場合は、その方の分の加入手続きも必要となりますので忘れずに対応ください。
国民健康保険と同様に手続きはお住まいの地域の役所に出向いて行います。
加入手続きに必要な書類については、同じように地域によって異なりますので役所の窓口にお問い合わせください。
整備士独立手続き④最後に税金の手続き
自動車整備士が独立して個人事業主となった場合、最後に税金の手続きを行いましょう。
税金の手続きとは、開業届を出すことです。
開業届は、新たに事業を開始した方が税務署に提出する書類となります。
住居や事務所がある地域を管轄する税務署に、開業から1か月以内に提出してください。
独立した初年度の確定申告書が開業の証となりますので、開業届は提出しなくても問題にはなりません。
しかし何かと必要になる書類でもあるので、提出しておけば必要となった際に慌てずに済みます。
開業から1か月を過ぎた場合でも受け付けてもらえますので、まだ提出していないという方は気が付いた時に出しましょう。
税金の手続きとしては他に確定申告があります。
ですが確定申告は年1回、2〜3月の時期と対応する時期が決まっています。
確定申告が独立直後となることは多くないかと思いますので、独立直後は一旦は気にしなくて良いでしょう。
まとめ
今回の記事では、独立を決意した自動車整備士に向け、独立する際に不安に思うポイントや解消方法について解説しました。
会社を退職したことで安定した収入はなくなってしまいますが、収入源を増やし、メインの仕事を大きくしていくことで会社員の時以上に稼ぐことは十分可能です。
また最初はとっつきにくい手続きに関しても、やってしまえば難しいものではないことに気が付くはずです。
人生100年時代、定年がなくいつまでも働き続けられるのは独立する強みです。
この記事が少しでも、独立を志す自動車整備士の方々のお役に立てたら幸いです。
(この記事は、2022年10月時点の法令等に基づいて作成されています。)