解体屋さんやクルマ屋さんの敷地内に眠るクルマの数々。
なかにはまだ走れる状態ならば欲しい、部品取り車として活用したいという方もいらっしゃるでしょう。
この記事では「廃車がその後どうなるのか?」「もらうことができるのか?」ということを含めて、置き場にある廃車に関する疑問点について深掘りして解説していきます。。
廃車とは
廃車にする場合、「永久抹消登録」「一時抹消登録」の二つの選択肢があります。
永久抹消登録は該当車両を解体することです。
一時抹消登録はナンバーを返却することで、車検を受けなくても良い状態&自動車税の納税義務が発生しない状態にして車両を一時保管することが多いです。
最終的には永久抹消登録して解体、もしくは再度ナンバーを装着して車検を取得することも可能です。
ただ一般的に廃車とは、もう公道を走れず役目を終えたクルマという認識でしょう。
ですのでこの記事では「廃車=永久抹消登録された解体待ちのクルマ」として、解説を進めていきます。
廃車置き場の役割とは
廃車置き場の役割は、最終的に処分されるまでの一時的なクルマの保管場所です。
置き場にある廃車はどうなる?
廃車置き場にあるクルマは、その後どうなるのでしょうか?
基本的には、以下の2つのパターンに分類されます。
__- 解体された各パーツが流通・販売される
- 解体後にリサイクルされる__
解体されてパーツとして流通・販売される
解体されるクルマは事故車、不動車、過走行車からまだ現役で走れるクルマまでさまざまです。
何万点もの部品から構成される自動車の部品は、解体するクルマであってもまだまだ使えるものがたくさんあります。
これらは中古パーツとして販売され、整備・修理に活用されることもあります。
また、近年ではに海外での日本車ブームもあって海外からの部品需要も高いので、国内外問わず廃車から出た中古パーツが流通しています。
リサイクルされる
中古パーツとして販売できるものがない場合でも、クルマには貴重な資源となる部品がたくさん使われています。
たとえば、ワイヤーハーネス(配線)に使用されている銅や、ハイブリッド車などの燃料電池に使われているリチウムイオンなどは資源として高く売れるもののひとつです。
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また、自動車リサイクル法に基づきリサイクルされたパーツの一部を、自動車メーカー・輸入業者に引き渡します。__
いずれも後に、資源としてリサイクルされます。
参考URL:自動車リサイクル法とは?【経済産業省ホームページより】
走行可能な車が廃車置き場にある理由
走行可能なクルマが廃車置き場にあることも少なくはありません。
まだ走れるのになぜ、廃車になってしまうのか?と疑問に思う方もいるでしょう。
それらには以下のような理由が考えられます。
__- 中古車は修理費用が高いので修理をあきらめて廃車にした
- パーツ交換が困難で修理して乗り続けることを断念
- CEV(クリーンエネルギー自動車)補助金の影響__
それぞれについて掘り下げてみましょう。
中古車は修理費が高い
中古車として古くなったクルマは、年数経過や走行距離が増えたことによる経年劣化等で、各所整備や部品の交換が必要となる箇所が増えます。
古くなり交換部品の生産も終了していれば、残存する部品は需要と供給のバランスで値段が上がります。
そうなると、高額な整備・修理費用にさらなる拍車をかけることになります。
こうしたことを理由に、壊れてしまう前に…または、実際に壊れてその修理費用を耳にしたことで、クルマの乗り換えを決断するオーナーさんもいます。
パーツ交換が困難
上記のような場合なら、お金を掛ければなんとか…という望みもありますが、交換が必要な部品が廃盤で入手できないことも出てきます。
また、技術的に整備・修理が困難なこともあります。
こういった理由からどうしても手放さざる(廃車する)を得ないパターンもあります。
CEV(クリーンエネルギー自動車)補助金による影響
CEV(クリーンエネルギー自動車)補助金は、るエコなクルマへの乗り換えを促進するための補助金です。
エコなクルマ(クリーンエネルギー自動車)は従来のガソリンエンジン車と比較して、価格帯が高額なクルマが多いです。
そこで補助金を支給して価格差を縮めることで、エコなクルマへの買い替えを促進するというものです。
近年、世間の環境問題への意識の高まりから、最新のエコカーへの需要・乗り換えも右肩上がりとなっており、補助金はさらにそれを後押ししています。
こうした背景もあって、新しいクルマのどんどん乗り換えるユーザーも増え、廃車になるクルマのなかに、まだ走行することが可能なクルマが出てくる要因のひとつにもなっています。
また、クリーンエネルギー自動車とは以下を動力源とするクルマです。
- EV(電気自動車)
- PHV(プラグインハイブリッド自動車)
- FCV(燃料電池自動車)
- CDV(クリーンディーゼル自動車)
参考URL:一般社団法人次世代自動車振興センター
廃車置き場の車をもらう方法
いま乗っているクルマの部品取り車として、廃車置き場にあるクルマが欲しい。
また、復活させて自分が乗りたい場合はどうすればよいのでしょうか。
ちなみに、復活させてナンバーを取得して公道を走ることができるのは「一時抹消登録」しているクルマです。
一時抹消登録をしている置き場にあるクルマであれば、法的に譲渡してもらうことが可能です。
__一方で廃車=「永久抹消登録」したクルマは、復活させることはできないので注意しましょう。
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(そもそも解体した証明がないと、永久抹消登録はできない)
__さらに、永久抹消登録したクルマから部品を持ち出すこともできません。
部品取りをおこなうには、個人であっても「解体業」としての許可が必要です。__
自動車リサイクル法上は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金、廃棄物処理法の許可を受けていない場合は、廃棄物処理法の無許可営業として5年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金となります。
参考URL:環境省
所有者に交渉する
上記のことからもお分かりいただけるとは思いますが、根本的にクルマそのものをもらうことはできません。
欲しい部品がある場合は、廃車置き場の所有者(法的に部品取りをおこなうことができる解体業者)に、その部品を譲ってもらうか中古販売してもらいたい旨を交渉しましょう。
__交渉のうえで、その後どうするべきかは廃車置き場の所有者(解体業者)の指示に従うようにしましょう。
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無断の持ち出しは窃盗罪になるので注意
「廃車なんだから、廃棄物と同じでしょ?」こういう考え方は危険です。
ここまでの流れで、おおむねご理解いただけていると思いますが、廃車になったクルマの解体・部品の持ち出しは誰もができるわけではありません。
また、置き場にあるクルマは誰のものでもない廃棄物ではなく、あくまでその置き場の所有者のものです。
ボルト1本のような小さな部品ひとつであっても、無断で持ち出すようなことは窃盗罪に問われるので絶対にしないようしましょう。
まとめ
置き場にある廃車は、永久抹消登録された解体待ちのクルマです。
永久抹消登録されたクルマの解体・部品取りは、解体業として許可を受けた業者のみができます。
そのクルマの所有者は基本的には置き場の土地の所有者です。
クルマそのものはもちろんのこと、部品単体であっても勝手に持ち出すことはできないので、かならず所有者に連絡を取って交渉・指示に従うようにしましょう。
また、欲しいと目星をつけた置き場にあるクルマが、たまたま一時抹消登録されて一時保管されているクルマであれば、再度登録して公道を走ることができます。
その場合は「中古車」として販売してもらうことができる可能性もあります。
いずれにせよ、まずは置き場の所有者・業者に連絡を取ることからはじめましょう。