近年話題となった送迎バスの置き去り。
悲しい事故を背景に令和4年12月、国土交通省は「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン」を策定し、2023年4月からは置き去り防止装置の設置が義務化されます。
送迎バスの置き去り防止装置とは、どんな機能が備わっているのでしょうか。
今回の記事では置き去り防止装置の概要と国交省の策定したガイドラインを分かりやすくご紹介します。
目次
送迎バスに置き去り防止について
安心して子どもを預けられるはずの保育施設にて、相次いで発生した送迎バスの置き去り事故。
事故の原因はバス降車時にバスの中に残っている園児がいないかの確認や降車時の人数確認を正しく行なっていないことにありました。
このような痛ましい事故を背景に策定されたのが今回ご紹介するガイドラインです。
【国土交通省】送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドラインを策定しました
運転手・乗務員ともに降車時の確認を徹底することはもちろん、ヒューマンエラーによる確認漏れが起きないよう安全装置の装備が義務付けられました。
車内置き去り防止装置とは?
車内置き去り防止装置は、降車時のマニュアルが遵守されていない等のヒューマンエラーを防ぎ、確認が確実に行なわれるようにするための装置です。
ブザーやカメラ・センサー等で運転手や乗務員に確認を促し、万が一子どもが車内に取り残されてしまった場合には、外に危険を知らせることができます。
国交省の置き去り防止装置ガイドライン
置き去り防止装置ガイドラインの内容を簡単にまとめると、次の内容となります。
- ヒューマンエラーを補完し、子どもの所在確認が確実に行なわれることを目的としたガイドライン
- 置き去り防止装置の開発の方向性や満たすべき要件を定めている
ではどのような機能を持つ装置が置き去り防止装置として認められるのでしょうか。
置き去り防止装置に必要な機能
車内置き去り防止装置は、チェック漏れを防ぐ「降車時確認式」、万が一子どもが車内に置き去りになってしまった場合に存在を検知する「自動検知式」の2つの方法を対象としています。
ここではガイドラインに基づいた機能について詳しく解説します。
置き去り防止の方式:降車時確認式
降車確認式は、運転手や乗務員に車内の確認を促す装置です。
エンジン停止後には「車内確認を行なってください」等の音声やブザーによる警報が発せられ、車内後部に取り付けられた装置を操作することで警報は止まります。
基本的には車内向けの警報装置となりますが、一定時間警報の停止操作が行なわれなかった場合には、車外に向けた警報等で置き去りの可能性があることを外に知らせます。
こちらの方法は、運転手や乗務員自らチェックを行ない警報を解除するという非常にシンプルな方法ではありますが、確認漏れを防ぐ効果は大きいと期待されています。
置き去り防止の方式:自動検知式
自動検知式は万が一子どもが車内に取り残されてしまった場合に外に警報を発する装置です。
エンジン停止から一定時間が経過するとセンサーによる検知が開始され、子どもを検知すると車外に警報で非常事態を知らせます。
こちらの方法は、万が一確認忘れや見落としが発生した場合にも有効ですが、運転手や乗務員の確認が不要になるわけではありません。
共通の要件
ご紹介した機能以外にも置き去り防止装置として認められるために必要な共通要件も定められています。
- 万が一運転手や乗務員が確認を怠った場合は15分以内に車外へ警報を発する(自動検知式の場合は15分以内にカメラやセンサーを開始させる)
- いたずら防止のため警報を解除する装置は子どもが触れない場所に設置する
- 耐温性、耐震性、防水、防塵等、十分な耐久性を有する
- 故障等装置が正常に動かなくなった場合にはアラーム等で運転手や乗務員に通知を行う
各方式に定められた機能に加え、ご紹介した4つを満たすものが置き去り防止装置として認められます。
置き去り防止装置を選ぶ際はこれらの要件を満たす製品を購入するようにしましょう。
置き去り防止装置の購入と取り付け方法は?設置業者の選び方についても解説!
送迎バスに置き去り防止装置を取り付ける際に製品や取り付け方法が分からない事業者様は多いと思います。置き去り防止装置はガイドライン認定製品から選び、取り付け業者も慎重に選定することが重要です。ここでは製品の購入や取り付けについて詳しく解説していきます。
https://seibii.co.jp/blog/contents/school_bus_device_installation/
安全装置ガイドラインを満たす製品
2023年1月現在、置き去り防止装置として要件を満たすとされている製品は以下の通りです。
【降車時確認式】
- 株式会社アルネット・AZ326C
- 株式会社アルネット・AZ426C
【併用式】
- 株式会社コアテックシステム・SBP005
- 株式会社コアテックシステム・SBP006
- 加藤電機株式会社・BS700S
- 加藤電機株式会社・BS700M
- 加藤電機株式会社・BS700C
商品によっては、ガイドラインの条件を満たす機能以外にも「異常検知のメール通知」「GPS位置情報の取得」「AIカメラによる画像伝送」など、より安心・安全な機能を搭載した装置も。
ガイドラインが策定されてから日が浅いこともあり、現時点で認められている製品はご紹介した7つとなりますが、今後さまざまなメーカーからの発表が予想されます。
(参考)
送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置リスト/内閣府
置き去り防止装置の設置方法
置き去り防止装置は、制御装置やスピーカー・ボタン・ケーブル等がセットで販売されています。
設置は複数の配線を車両につなぐ必要がため、全く整備の知識がない場合は難しいかもしれません。
そのため置き去り防止装置を設置する場合は適切な業者を選定してお願いする必要があります。
置き去り防止装置の設置もOK!出張整備のセイビー
2023年4月から送迎バスへの設置が義務付けられる置き去り防止装置。
「適切な取り付け業者をみつけられるか不安」「複数台の送迎用自動車に設置が必要で大変」という保育施設の担当者様も多いのではないでしょうか?
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【セイビーで取り付け予定の置き去り防止装置】
下記の製品はガイドラインの条件を満たしており、置き去り防止装置に必要な「降車時確認方式」と「自動検知式」の二つを併用した装置です。
ホーネット車内置き去り防止安全装置/KATO-DENKI
置き去り防止についてのお問い合わせは下記より、お気軽にお問い合わせください。
置き去り防止装置まとめ
2023年4月から義務化される置き去り防止装置は、「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン」で定められた要件を満たす製品を使用する必要があります。
置き去り防止装置は、制御装置やセンサー・カメラ・スピーカーなどを車両に取り付ける必要があり、子どものいたずらを防ぐための設置場所も定められています。
「ご購入を決めているが取付業者が決まっていない」「取り付け台数が多くて大変」という場合は、プロに取り付けをお願いすることをお勧めいたします。
製品の用意・取り付け・補助金申請などもあるため、取り付け予定がある方は今のうちに準備しておきましょう。