中古車は、乗りたい車を安価に入手できる、消費者には欠かせない重要な選択肢です。1台を長く利用するといったエコな観点でも、今後ますます市場が拡大していくでしょう。
一方で、残念なことに、購入後の品質トラブルが後を経ちません。大手・有名な中古車ディーラーあっても例外ではありません。
この記事では、Seibiiの整備士が、中古車を購入する前に確認している項目について纏めました。
目次
事前にチェックするべき13項目
- ボディー
- メーター類・警告灯(ダッシュボード内)
- ライト
- タイヤ
- ショックアブソーバー(サスペンション)
- 液体関連(ウォッシャー液、エンジンオイル、ブレーキフルード、冷却水)
- ブレーキ関連
- エンジンとその周辺部品
- バッテリー
- トランスミッション
- 排気関連
- エアコン関連
- 窓の動作(パワーウィンドウ)
1. ボディ
まず最初に車体(ボディ)を確認しましょう。車体の確認は、簡単に見える部分のみならず、車体の下や中などくまなく確認することが重要です。
小さな傷やヘコみは、比較的少額に修理することができますし、車の性能への影響も殆どありません。気にするか、しないかは、好みにもよります。
一方で、大きな損傷があったことが想定される場合、ボディ以外の重大な部品への損傷を確認しなければいけません。車体の下やボンネットの中など、外からは見えない部分のサビやヘコみを確認することは、重大な故障を発見する為に欠かせないチェック項目です。たとえば、エンジンルームなどに不自然な溶接跡や塗装の色が違うところなどがあると、修理を行ってる車両の可能性が高くなります。
2. メーター類・警告灯
車のダッシュボード(運転席のハンドルの奥!)は、車の状態をドライバーに知らせる重要な役割を果たしている場所です。皆さんにも馴染みのある、速度計(スピードメーター)、走行距離、温度計、ガソリン残高、警告灯などが搭載されています。
これらメーター類全てが正常に機能していなければ当然困りますし、中古車購入直後にダッシュボードに警告灯が表示されていては困りますよね。万が一、購入前に警告灯の点灯が確認されて場合や、異常が確認される場合には、事前に整備士に検査をしてもらいましょう。
また、車検証に走行距離が記載されていますので、車検証の距離とメーターの距離に不自然な誤差が無いこととを確認すると安心です。
3. ライト
車のライトは、夜間の安全な走行や、他の車との事故防止の為に正しく点灯していることが義務付けられています。また、ライトの点灯状態の他に、各レンズが割れてないかもチェックしましょう。レンズが割れていると車検に通りません。
ヘッドライト
ハイビームとロービームの両方が正しく機能することを確認しましょう。
ブレーキライト
ブレーキランプが機能していない状態で車両を運転することは、違反と同時に大変危険です。
方向指示器
左右きちんと動作してることを、前方後方から確認しましょう。
ハザードライト
道中に故障したときに他のドライバーに車両の存在を知らせる重要なライトです。
4. タイヤ
タイヤは最も身近な自動車を構成する部品の1つですが、最も重要なパーツといっても過言ではありません。車の全てとも言える「走る」「曲がる」「止まる」「(重さを)支える」の全て置いて重大な役割を果たしているからです。中古車を購入する前に、必ずタイヤの状態を確認してください。
具体的には以下の3項目です。
- 空気圧 : 空気圧の充填は、ガソリンスタンドなどでも無料で行なってくれます。
- 摩耗(擦り減り)具合 : タイヤの溝の深さを計測します。
- 摩耗の偏り : 4つのタイヤの内、一部のタイヤのみ偏って摩耗している場合は、ローテーションを行うことで改善できます
パンクやバースト(破裂)はそれ以前の問題と言えるでしょう。
5. ショックアブソーバー(サスペンション)
ショックアブソーバーとは、サスペンションの一部で、バネの伸び縮みにより車体にかかる衝撃を減衰する重要な部品です。前所有者が無理な運転を繰り返していた場合、痛んでいる場合があります。
車体の前後左右(サスペンションの上)に体重をかけて押すことで、ショックアブソーバーがきちんと作動しているかを簡易的に確認することができます。部品が問題なく機能している場合、体重をかけると、車体はゆっくりと沈み、ゆっくりと元に戻ります。
車両を押す際は、ボディーの角を押すようにしましょう。トランクやボンネットを押すとヘコんでしまう危険性があります。
6. 液体関連(ウォッシャー液、エンジンオイル、ブレーキフルード、エンジン冷却水)
車には、様々な液体が使われていますが、各々が重要な役割を果たしています。いずれも消耗品ですので、中古車を購入する前に、前所有者が、それら液体類を適切に交換を実施していたか、①残量、②状態、③目視できる範囲で漏れがないか、を確認しましょう。
ウォッシャー液
- 車のフロントガラスを綺麗に保ちます。
- ウォッシャー液を実際に出してみて、窓ガラスの前面に噴霧されるか確認しましょう
- ウォッシャー液のタンクの漏れや亀裂、ノズルが適正に機能するかも要チェックです。
エンジンオイル
- エンジンの動作を正常に保ちます。
- オイルフィルター(エレメント)が汚れていないか、汚れている場合には新品と交換が必要です。
- エンジンオイルが「黒く」「粗く」見える場合は交換が必須です。また、「泡」や「チョコレート」のように見えるオイルは、冷却液がエンジンに漏れている場合があります。
- また、エンジンルームには、エンジンオイルを交換した記録ステッカーが貼っている車両があります。これを確認することで、前のオーナーがきちんとメンテナンスを行っていたかの目安となります。
エンジン冷却水
- エンジンのオーバーヒートを防ぎます。
- 寒冷地の場合、エンジンやホース類にダメージを与えないように、液体の凍結を防ぎます。
- 時間の経過とともに劣しますので、適切な交換が必須です。
ブレーキフルード
- 油圧式ブレーキで使用される作動油で、ブレーキの適切な動作を担保します。
- 状態が適正なブレーキフルードは「透明な茶色」です。ブレーキフルードが「暗く見える」場合、交換が必須でしょう。
パワステフルード
- ハンドル操作を維持する為の圧力を維持し、車両の操作を容易にする重要なオイルです。
- 適正な状態であれば「透明」「琥珀」「ピンク」です。「茶色」や「黒」の場合、交換が必須と言えるでしょう。
7. ブレーキ
ブレーキが重要であること、言うまでもありません。
ブレーキには、ドラムブレーキとディスクブレーキの2種類があり現在は、ディスクブレーキが主流となっています。
ディスクブレーキは、①ブレーキローター(ディスク)②ブレーキキャリパー③ブレーキホース ④ブレーキパッドの4つで構成されており、ブレーキペダルを踏む、ブレーキキャリパーの中にあるブレーキパッドが押し出されて、ブレーキローターを挟無ことで車を止めます。それら部品は消耗品ですので、車の全所有者が適切にメンテナンスをしていたか確認する必要があります。具体的には以下の通りです。
ブレーキローター(ディスク)
後述のブレーキパッドで挟むのがブレーキローターです。従い、ブレーキパッドと同様に摩耗していきます。不均一な摩耗や、サビが無いか確認しましょう。ダメージが大きい場合は交換が必須です。
ブレーキキャリパー
外から判断するのは難しいですが、泥などで汚れているとブレーキが漏れていたり、動きが悪くなっている可能性が考えられます。
ブレーキホース
ブレーキホースからフルードが漏れていないか確認します。また、ホースの一部にこぶのような盛り上がった部分があると、ホースが破裂し、ブレーキが利かなくなる可能性があるので大変危険です。
ブレーキパッド
ブレーキパッドは、使用を重ねるとともに、摩耗していきます。パッドが減ったまま車の使用を続けると、ブレーキが効かず、重大な事故に繋がります。一般的には、パッドの摩擦材が厚み3mm以下になると交換時期と言われます。
8. エンジンとその周辺部品
エンジンは車の動力源であり、最重要部品の1つで、様々な役割を果たす部品が取り付けられています。
音
エンジンを掛ける時、エンジンがアイドリングしている時、軽くアクセルを踏み、吹かしてみましょう。神経質に音を気にする必要はありません。今までに聞いたこともないようなガラガラやカタカタ音が聞こえなければエンジンは問題ないと判断できるでしょう。
液体漏れ
また、4に記載の液体類の状態確認とも被りますが、ラジエーターからエンジンまでの全てのホース類を確認し、液体の漏れが無いか、の目視確認も重要です。
ベルト
エンジンからの動力を各部品に伝える役割を担うのがベルトです。各ベルトに「亀裂」「摩耗」「伸び」が無いか確認しましょう。ベルトの中には、エアコンを作動させる「ファンベルト(コンプレッサーベルト)」を含みます。
フィルター
エンジンには、ゴミや汚れを防ぐ為の、フィルターが付いています。このフィルターは汚れが溜まりやすく、交換が大切ですが、適切に交換されていないケースが多く見られますので、必ず確認しましょう。フィルター交換を適切に行なっていないと、空気を適切に送ることができず、燃費の悪化に繋がります。
周辺部品(スターター、オルタネーター、イグニッション類)
スターター、オルタネーターが適切に機能していることを確認しましょう。液体漏れの二次被害としてスターターやオルタネーターが正常に作動していないケースも多く見られます。
また、イグニッション類(エンジン点火)も確認しましょう。異常がある場合、運転席のメーターにランプが点灯します。
9. バッテリー
意外と見逃しがちなバッテリーの状態確認。車の前の所有者が、一度でもバッテリー上がりを起こした車両は、たとえジャンピングで動く状態に戻せたとしても、すぐにダメになってしまいます。バッテリー残量が低下していないことを確認することが重要です。
10. トランスミッション
走行距離が長かったり、前の所有者が無理な運転を繰り返していた場合には、トランスミッションが金属疲労を起こし、正常に作動しない場合があります。
ATかMTかで確認すべき項目は異なりますが、エンジンをかけ、トランスミッションがスムーズに作動し、ギアチェンジをスムースに行うことができるか確認しましょう。
AT車(オートマ車)の場合、ギヤをチェンジした時のショックを確認することが重要です。不自然にガクッとなるようだと、今までオイル交換を行っていない可能性があります。
11. 排気関連
車の排気システムが正常であることは、正しく安全に車を乗るのに欠かせません。車の前オーナーが改造などを施していた場合には、丁寧に確認をする必要があります。排気の匂いが強い場合、エキゾーストマニホールド、マフラー、テールパイプなどに排気漏れがある可能性があります。また、排気ガスのセンサー(O2センサー)の不具合も考えられます。
エキゾーストマニホールド
エンジンの排気を正常に行うために必要な部品です。車内で排気臭がする場合は、漏れがある可能性高く、修理が必要である可能性があります。
触媒コンバーター
触媒コンバーターは排出物質(汚染物質)を洗浄する役割を担います。排気が腐った卵のような臭いがする場合は、触媒コンバーターが詰まっているか、故障している可能性があります。
マフラー
マフラーは、排気システムに関連する音を減らす(消音する)部品です。マフラーが損傷している場合、一酸化炭素が車内に吹き込まれる重大な事故を起こし得ます。
また、エンジンをかけた時など大量の白煙が出て止まらない場合は要注意です。臭いを嗅いでみてオイルの焼けた匂いがなければ問題ないですが、オイルの焼けた匂いがある場合はエンジンに不具合がある可能性があります。
12. エアコン関連
中古車購入後のトラブルとして多く見られるのがエアコンの不調です。購入前に、エンジンをかけ、エアコンの動作を必ず確認しましょう。
冷房
空気が冷えない場合、コンプレッサーの故障やベルトが破損している可能性や、エアコンガスが少なくなっていることも考えられます。
暖房
冷房に比べて、エンジンの熱を利用する暖房が壊れることは稀です。温風が適切に吹き出すか確認しましょう。
匂い
エアコンから吹き出す風の匂いを確認しましょう。カビの匂いや悪臭がする場合、エバポレーター内でカビが発生している可能性があります。
音
冷房と暖房を切り替えた時にカタカタ音やジー音がないことを確認しましょう。エアコン内部の切り替えモーターが壊れていると異音が発生します。
13. 窓の動作(パワーウィンドウ)
中古車購入後の品質トラブルとして、エアコン同様に多く見られるトラブルが窓の故障です。エンジンをかけ、窓がしっかり動作するか、左右前後くまなく開け閉めを行い、動作や音に以上が無いか確認しましょう。
また、窓枠のゴムも併せてチェックしましょう。窓を動かしたときに一緒にゴムも動くようだと、窓のモーターや骨組みに負担が掛かり故障の原因となってしまいます。
中古車を安心して購入する為には、ここにあげた13項目以外にも確認するべき事項は沢山あります。また、この13項目を、車の知識が無い一般の方がチェックすることは、現実的には難しいとも言えるでしょう。
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