新型コロナの影響が本格化し始めた3月。車の整備業は政府から「国民の安定的な生活の確保」の為の事業として、事業継続を要請されています。JAFが公開する「ロードサービス救援統計」、カー用品販売最大手のオートバックスが公開する「月次売上速報」と共に、車の整備・修理業界2020年3月の概況に関し、纏めました。
目次
新型コロナ(COVID-19)と車の整備・修理業
新型コロナ(COVID-19)が、私たちの生活に大きな影響を及ぼしています。外出自粛制限により、経済活動が最低限に抑えられている一方で、政府は、国民の生活や安全を守る業種に対して、事業継続要請を出しています。
車の整備業は「事業継続要請」事業
2020年3月28日付け政府の発令にて、車の整備業は、「国民の安定的な生活の確保」の為の重要な産業として、スーパーなどと共に「事業の継続を求める」との要請が出ています。
以下事業者等については、「三つの密」を避けるための取組を講じていただきつつ、事業の継続を求める。
3.国民の安定的な生活の確保
⑩個人向けサービス(ネット配信、遠隔教育、ネット環境維持に係る設備・サ
ービス、自家用車等の整備等)
(一社)日本自動車整備振興会連合会、(一社)日本自動車販売協会連合会から「自動車整備業に携わる皆様へ」とのタイトルでメッセージが出ています。
尚、緊急事態宣言は2020年4月7日に発令されていますので、3月はその前の状態となります。
整備業の仲間のみなさん、一緒に頑張りましょう!
弊社にも「車の調子が悪い(異音がする)」「車が動かない」といったご連絡が増えています。これらに正しく対応できるのは整備士だけです。
社会の安全と皆様の生活を守る為、三密回避を徹底しつつ、車の整備・修理、頑張りましょう!
2020年3月:新車販売ランキング
- N-BOX(ホンダ):22,078台
- タント(ダイハツ):17,370台
- カローラ(トヨタ):16,327台
- スペーシア(スズキ):16,077台
- フィット(ホンダ):14,845台
2020年3月概況
3月の車の整備業・修理業・アフターマーケット界隈への影響は3つに集約されます。
- 「暖冬・降雪不足」によるタイヤ周りの売上減少
- 「新型コロナ」による外出自粛制限による一般整備・修理売上減少
- 「新型コロナ-車検期限伸長」による車検整備売上減少
車検期限延長
新型コロナ感染リスクを抑える為、国土交通省が複数回に渡り、自動車車検証の有効期間を伸長しています。
- 2020年2月28日発表:「自動車検査証の有効期間を4月30日まで伸長(対象:自動車検査証の有効期間が令和2年2月28日から3月31日までの自動車)」
- 2020年4月7日発表:「自動車検査証の有効期間を6月1日まで伸長(対象:自動車検査証の有効期間が満了する日が、4月8日から5月31日までのもの)」
- 2020年4月16日発表:「対象地域追加)」
例年、3-4月は車検対象車両が多いことから、多くの車検関連整備工場は繁忙期となります。従い、多くの車検関連業者が、昨年同月比での売上減となっています。オートバックス社の発表によると、車検・整備部門の台数・売上共に前年比割れ(台数▲15.9%、金額▲10.7%)となりました。
ロードサービス(救援)
全国的な暖冬・降雪不足の影響が引き続き見られた月でした。ロードサービス・救援関連では、昨年同月比で件数が増加、
カー用品等
他生活雑貨同様、車関連用品も、ウイルス対策用品が好調に売れています。特に社内用のウェットティッシュは前年比5倍以上の大幅伸張となっている。
総救援出動件数
- 全国JAF総救援出動件数:166,868件
- 2020年2月比:+0.94%
- 2019年3月比:▲5.91%
件数前提
- JAF救援実施件数(一般道路・四輪自動車)
バッテリー上がり(過放電)
- 全国バッテリー上がり件数:64,573件
- 2020年2月比:+1.62%
- 2019年3月比:▲2.67%
件数前提
- JAF救援実施件数(一般道路・四輪自動車)
タイヤのパンク・バースト・エア不足
- 全国のタイヤのパンク・バースト件数:28,279件
- 2020年2月比:+8.75%
- 2019年3月比:▲8.36%
件数前提
- JAF救援実施件数(一般道路・四輪自動車)
バッテリーの劣化・破損(要バッテリー交換)
- 全国バッテリ−劣化・破損件数:9,963件
- 2020年2月比:▲14.58%
- 2019年3月比:+13.86%
オートバックスのバッテリー販売売上
バッテリーの劣化・破損はバッテリー交換が必須です。従い、新品バッテリーの売上と連動します。アイドリングストップ車用バッテリーが好調を維持しているものの、3月中旬以降は「新型コロナによる外出自粛の影響」で販売量に影響が出ているとのこと。
- バッテリー販売量は2019年3月比+1.4%と増加
(参考)2019年10-12月のバッテリー売上
- 28億97百万円
件数前提
- JAF救援実施件数(一般道路・四輪自動車)
オルタネーター・ダイナモ故障
バッテリー上がりの主要原因の1つであるオルタネーター(発電機)の故障です。
- 全国のオルタネーター・ダイナモ故障件数:2,058件
- 2020年2月比:▲12.09%
- 2019年3月比:▲11.25%
件数前提
- JAF救援実施件数(一般道路・四輪自動車)
スターター・セルモーター故障
エンジンがかからない際の主要原因の1つです。
- 全国のスターター・セルモーター故障件数:1,804件
- 2020年2月比 : ▲4.30%
- 2019年3月比 : ▲14.22%
件数前提
- JAF救援実施件数(一般道路・四輪自動車)
スパークプラグ故障件数推移
- 全国スパークプラグ故障故障件数:2,557件
- 2020年2月比 : +3.56%
- 2019年3月比 : +24.91%
件数前提
- JAF救援実施件数(一般道路・四輪自動車)
タイヤ・関連用品販売状況
- 暖冬・降雪不足の影響が継続。
- タイヤの販売量は2019年3月比で▲13.7%
(参考)2019年10-12月の売上
174億51百万円(タイヤ)
34億9百万円(ホイール)
前提
- オートバックスの店舗売上
ドライブレコーダー販売状況
- カーアクセサリー・用品売上を牽引してきたドライブレコーダーは前年割れ
- カーナビゲーション販売の低調継続
- カーエレクトロニクス全体で、2019年3月比▲17.2%
(参考)2019年10-12月の売上
- 94億61百万円(カーエレクトロニクス全体)
前提
- オートバックスの店舗売上
エンジンオイル販売・交換状況
- エンジンオイルの販売量は2019年3月比▲3.9%と減少。
- 過去好調を維持してきたが、新型コロナによる外出自粛が原因か。
(参考)2019年10-12月の売上
33億48百万円(オイル販売のみ、交換工賃含まず)
前提
- オートバックスの店舗売上
参照サイト
この記事は以下2つの情報を基に作成しています。この場を借りて、情報公開に感謝申し上げます。
- JAF-ロードサービス救援データ
- 株式会社オートバックスセブン-2020年3月期 3月度 月次売上概況(速報)についてのお知らせ
- 株式会社オートバックスセブン-2020/3期(10-12月期)決算