車のファンベルト(Vベルト)って何と感じている人は多いですよね。
ファンベルトとは車の発電機やエンジンを冷却するシステムを動かすために重要な部品です。
今回の記事では、そんなファンベルトの役割や仕組み、寿命などについて詳しく解説していきます。
目次
ファンベルト(Vベルト)とは?
ファンベルトとは、エンジンの動力周りの動きを補機に伝える働きをしているゴム製のベルトです。
ファンベルトが働くことによって、エンジンの冷却やバッテリーの充電ができます。
他にも、エアコンのコンプレッサーやハンドル操作が軽くなるパワーステアリングなどにもファンベルトの動きが関わっています。
まさに、エンジン周辺でも重要なパーツと言えるでしょう。
もともとは、ラジエーターの冷却ファンを動かすためのベルトを指していましたが、最近では電動式のファンも主流となっています。
そのため、ベルトは不要になりつつありますが、エンジンルーム内に使われているベルト部品全般をまとめてファンベルトと呼ばれるようになりました。
エンジン動力を伝達するファンベルト(Vベルト)
自動車には、エンジンの動力を利用することで動く構成部品が多数付いています。
例えば、カーエアコン、バッテリーを充電する電力を発電するオルタネーター・ダイナモ(発電機)、オーバーヒート防止の為の冷却水を循環させるポンプ等です。
これらの「部品・機器」と「エンジン」を繋いで動力を伝達しているのが「Vベルト」です。Vベルトにより、エンジンが回転した時に、これらの機器も一緒に回るようになります。
「エンジンからの動力を伝達する役目」、それがベルトの役割となります。
Vベルトの設置場所:エンジンとプーリー
Vベルトは、エンジンに付随する「プーリー」と呼ばれる部品を介して、エンジン動力を伝達しています。図で見ると分かりやすいでしょう。
プーリーは円形で回転するようになっています。プーリーには、ベルトをハメる為の溝があり、この溝がベルトをガッチリと掴むことで、エンジンの動力をしっかりと伝達することが出来ます。
断面形状が異なる2種類のVベルト
このプーリーの溝は「2種類」あります。形が異なる溝に、ベルトをカチッとはめる必要がありますので、必然的にベルトの種類も2種類存在します。2種類のベルトの違いは断面形状です。
- Vベルト:断面が台形
- Vリブドベルト:断面がギザギザ
プーリーとの「接地面積を広く取る」ために、台形やギザギザの構造になっています。これにより、大きな摩擦力が生まれ、ベルトがプーリー上を滑ることなく確実にエンジン動力を伝えることが出来るのです。
それぞれの溝の形を図(左:Vベルト、右:Vリブベルト)で見てみましょう。
近年の車に使用されているのは「Vリブベルト」
絵で見れば明らかな通り、「Vリブドベルト」の方が、プーリーとの接地面積がギザギザで広く、グリップ力が優れています。
つまり、通常のVベルトよりもスリップしにくい構造になっています。また「リブ構造(凹凸形状)」になっていますので、ベルトの強度や耐久性でもVリブドベルトが勝ります。
従い、近年の車に使用されているエンジンベルトは、このVリブドベルトが主流です。
ファンベルトとタイミングベルトの3つの違い
よく勘違いが発生するのが「タイミングベルト」との違いです。異なる点は「役割」「取付場所」と「形状」の2つです。
違い1. ベルトとしての役割が違う
タイミングベルトは、エンジンの内部の重要部品「カムシャフト」を駆動させる役割を担います。
Vベルトは、エンジン外部に付随するエアコンやオルタネーターなどの補機類を作動させる為に使用されています。
違い2. ベルトが取り付いている場所が違う
エンジンの内部部品「カムシャフト」を動かすタイミングベルトはエンジン「内部」についています。
エンジンとは独立した部品(エアコン、オルタネーターなどの補機類)を作動させるVベルトは、エンジン「外部」についています。
違い3. ベルトの形状が違う
カムシャフトをはめ込むプーリーは、ギヤ構造になっています。
したがって、タイミングベルトもギヤに噛み込むような構造になっているのが特徴です。タイミングベルトは、エンジンそのものを動かす為の必須部品です。
タイミングベルトがスリップを起こすと、エンジンが壊れてしまう危険性があるため、タイミングベルトが絶対にスリップしないようにこの様な構造になっています。
対して、Vベルト(Vリブベルト)は補機部品を動かす部品なので、タイミングベルトほどギアに噛み込むような構造ではありません。
消耗品のVベルト:5万キロが交換目安
ゴム製のファンベルトは装着されているのがエンジン横のため、エンジンの熱やベルトの伸び縮みにより劣化していきます。
それによりクラックがひび割れなどがでてしまい、ベルト鳴きが発生します。
「キュルキュル音」「キーキー音」といった音が聞こえたら、必ずメカニックに車を点検してもらいましょう。
交換目安は5万キロ
Vベルトの寿命はおよそ6万~10万Kmほどと言われています。
しかし、寿命まで使用を継続すると、様々な不具合が起こります。その為、一般的には「5万キロ」を目安に定期交換を行うことが大切です。
ベルトが切れると発生する不具合5つ
ベルトの劣化を放置し、寿命を迎えると、ゴム製のベルトは切れてしまいます。ベルトが切れると発生する車の不具合は6つです。
- エンジン停止
- オーバーヒート
- パワステが効かない
- エアコンが効かない
- 切れたベルトが他の部品を破損する
このような不具合が起きる前にしっかりと定期交換することが大切です。
ベルト鳴きは寿命の合図
エンジンを掛けた時や交差点を曲がるときに「キュルキュル」や「キー」っとなるベルト鳴き。
これはベルトに寿命が近づいている合図となります。
切れてしまうとトラブルが発生しますので、必ずベルトを点検・交換しましょう。もちろん、ベルト鳴きが聞こえる前に、定期交換をすることがベストです。
交換費用:5,000-15,000円、作業時間:30分-1時間
Vベルトの交換費用は「5千円から1万5千円」、作業時間は「30分から1時間」となるのが一般的です。値段に幅があるのは、車種によってベルトの本数や、エンジン周辺の構造が異なり、作業工程が変わるためです。
Vベルトの「寿命」「交換時期」「切れると発生する車の故障5つ詳細」「交換費用」「交換作業の注意点」などの詳細については以下記事をご参照下さい。
エンジンVベルトの寿命と交換方法・費用を解説!
エンジンVベルトとは各部品をつないで動力を伝える部品です。Vベルトはゴム部品なので5万キロを目安に交換が必要です。交換しないとベルト鳴き・切れなどトラブルを引き起こします。この記事ではVベルトの交換時期や費用・時間について解説します。
https://seibii.co.jp/blog/contents/v-belt-lifespan-change-expense/#5-6-10
ファンベルトを交換できる4つの場所
ファンベルトの交換はカーディーラーや自動車工場だけでなく、ガソリンスタンドやカーショップでも対応してもらえます。
ただし、車種によっては専用部品を使わなければ交換できないため、ディーラーでしか交換してもらえない場合もあるため、注意しましょう。
また、交換の際に不備が出てくると、車自体のトラブルになりかねません。
そのため、お店に依頼する場合は、専門知識を持った整備士が対応してくれる場所を選びましょう。
ディーラー
ディーラーで交換してもらう場合、メーカーや車種に合わせた整備手順で交換してもらえるため、安全で確実と言えるでしょう。
ディーラーで交換してもらう場合、交換部品は純正品となってしまうため、修理費用が割高になってしまいます。
交換部品を持ち込んで依頼する場合は多少費用を抑えられる場合もありますが、ディーラーによってはそのような対応は受け付けていないケースもあるため、事前に確認しましょう。
整備工場
自動車整備工場での交換もプロの整備士が作業を行うため、交換技術は高いと言えるでしょう。
交換部品は工場が取り扱っているものの中から選ぶため、純正品より費用が抑えられる場合もあるでしょう。
ただし、メーカーや車種によっては交換できる部品を取り扱っていなかった場合があり、整備工場での対応を断られることもあります。
また、土日祝日は営業していないことも多いため、休日に利用したい人にとっては不便に感じるでしょう。
カーショップ
オートバックスやイエローハット、コバックなどのカーショップでもファンベルトの交換を行っている場合も多いです。
しかも、交換パーツを安く買える場合もあるため、費用を抑えたい人におすすめと言えるでしょう。
また、休日も営業しているため、利用しやすい部分もありがたいです。
ただし、ショップに整備士がいないカーショップでは、提携する整備工場に交換作業を依頼している場合もあります。
車種によっては対応していないことで断られる場合もあるため、事前に確認しましょう。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドでも、ファンベルトの交換作業を依頼できることがあります。
近所のガソリンスタンドで対応可能であれば、給油と同時に点検や交換もできて便利です。
しかし、整備士がいない場合は対応していないこともあり、対応していても品質に疑問があったりなど、確実性や安全性に欠ける部分もあります。
ファンベルトの交換を正しくされていないなどのトラブルにつながるため、しっかりと対応してもらえるか見極めた上で利用しましょう。
Vベルト交換なら出張整備のSeibii
Seibii(セイビー )では、国家資格を有する整備士・メカニックがお客様のご自宅や職場の駐車場にお伺いし、その場でお車の整備、修理、パーツ取り付けを行います。
セイビーのベルト交換では純正同等品の部品をご用意して、プロのメカニックが作業するので安心して作業を任せられます!