新型コロナ第二波が本格的な猛威をふるいだした12月。一方で安全なマイカーの利用率は高く推移し、車のトラブル・ロードサービス救援総件数、カー用品(来店客数、売上)販売共に、好調な結果となりました。新車販売台数、中古車販売台数、ロードサービス最大手JAF「ロードサービス救援統計」、カー用品販売最大手のオートバックス「月次売上速報」、中古自動車オークション最大手USS「成約台数・台当たり成約単価」、新車販売台数を元に車の整備・修理業界2020年12月の概況を纏めました。
目次
2020年12月:新車・中古車販売状況
新車販売台数 - 前年比で大きく回復
2020年12月の新車販売台数は37万9,6896台でした。昨年比で増加、前月比で減少となりました。
- 前月(2020年11月)比 : 7.70% 減
- 昨年(2019年12月)比 : 10.15% 増
新車販売ランキングTOP 10 : ヤリス首位三連覇
2020年9月、12ヶ月連続で1位記録を継続していたホンダ・N-BOXが、首位陥落しました。販売台数トップを奪ったのはトヨタ・ヤリス。2020年12月も販売トップを維持し、4ヶ月連続でヤリスが首位となりました。
- ヤリス(トヨタ) - 17,198台
- N-BOX(ホンダ) - 13,427台
- スペーシア(スズキ) - 10,747台
- タント(ダイハツ) - 9,574台
- ライズ(トヨタ) - 8,912台
- ルーミー(トヨタ) - 8,792台
- ムーヴ(ダイハツ) - 8,733台
- ルークス(日産) - 7,987台
- アルファード(トヨタ) - 7,962台
- カローラ(トヨタ) - 7,789台
車種・ブランド別販売台数上位20
中古車「業者間オークション成約状況」は市場が戻ってきた
業界最大手USSの中古車販売状況(業者間取引 = BtoB)を確認しましょう。2020年12月の業者間オークション成約台数は127,329台、平均車両単価は77万円となりました。価格も台数も先月に引き続き昨年比で強く、マイカー需要が旺盛であることが分かります。
前月比、前年比は以下の通りです。
成約台数
- 前月(2020年11月)比 : 12.24% 減
- 昨年(2020年12月)比 : 10.44% 増
成約単価
- 前月(2020年11月)比 : 5.17% 減
- 昨年(2020年12月)比 : 10.63% 増
2020年12月:クルマの整備・修理・アフターパーツ業界概況
車のトラブル・ロードサービス救援総件数は162,498件となりました。また、カー用品最大手のオートバックスでは「来店客数」「売上」共に昨年比増加と好調でした。
総救援出動(ロードサービス実施)件数
2020年12月のJAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は19万3,279件でした。前年比、前月比ともに増加しました。
全国JAF総救援出動件数:193,279件
- 前月(2020年11月)比 : 18.94%増
- 昨年(2019年12月)比 : 2.68%増
バッテリー上がり(過放電)件数
「バッテリー上がり」に因る2020年12月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は、7万49件でした。
全国バッテリー上がり件数:70,049件
- 前月(2020年11月)比 : 21.39% 増
- 昨年(2019年12月)比 : 3.12% 増
バッテリーの劣化・破損(要バッテリー交換)
「バッテリー劣化・破損」に因る2020年12月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は1万6,935件でした。2020年を通して昨年比プラスで推移しており、旺盛なバッテリー交換需要が継続していることがわかります。
全国バッテリ−劣化・破損件数:16,935件
前月(2020年11月)比 : 27.68% 増
昨年(2019年12月)比 : 23.33% 増
オートバックスのバッテリー販売売上
オートバックスの販売売上を見ると、バッテリー需要の旺盛さがよくわかります。
12月中旬以降の冷え込みにより需要が増加し、金額・数量ともに前年超え。
- (参考)2021年3月期(2020年10月-2020年12月)のバッテリー売上:31.6億円 ※参考
タイヤのパンク・バースト・エア不足
「タイヤのパンク・バースト・エア不足」に因る2020年12月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は29,932件でした。
全国のタイヤのパンク・バースト件数:29,932件
- 前月(2020年11月)比 : 0.24% 減
- 昨年(2019年12月)比 : 5.18% 減
オルタネーター・ダイナモ故障
エンジンがかからない主要原因の1つであるオルタネーター(発電機)の故障。例年、8月をピークにそこから現象に転じますが、今年も例年通りの傾向となっています。
全国のオルタネーター・ダイナモ故障件数:2,812件
- 前月(2020年11月)比 : 10.49% 増
- 昨年(2019年12月)比 : 6.08% 減
スターター・セルモーター故障
オルタネーター・ダイナモと並び、エンジンがかからない際の主要原因の1つです。オルタネーター・ダイナモと同様に、8月が需要のピークとなります。スターター・セルモーターに因る2020年12月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は数値が開示されていませんでした。
全国のスターター・セルモーター故障件数:N/A
- 前月(2020年11月)比 : N/A
- 昨年(2019年12月)比 : N/A
スパークプラグ故障件数推移
エンジンが掛からない際の主因の1つです。スパークプラグと合わせてイグニッションコイルが故障しているケースも多いです。
2020年12月のJAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は2,624件でした。
全国スパークプラグ故障故障件数:
- 前月(2020年11月)比 : N/A
- 昨年(2019年12月)比 : 17.28% 減
カー用品・アフターパーツ等販売状況
オートバックスの月次速報(店舗売上)を元に、各商品の販売状況を見ていきます。
タイヤ・ホイール販売状況
- 12月中旬からの冷え込みと、年末の寒波により日本海側の広範囲で降雪があり、スタッドレスタイヤが好調に推移。また、軽自動車用・SUV用サイズを中心にホイールも好調で、金額・数量ともに前年超え。
ドライブレコーダー・カーナビ等カーエレクトロニクス販売状況
- ドライブレコーダーは前年割れ
エンジンオイル販売・交換状況
- 年末年始の帰省前のメンテナンス需要が減退したことなどにより、金額・数量ともに前年割れ
参照サイトと注意事項
この記事は以下の公開情報を基に作成しています。この場を借りて、情報公開に感謝申し上げます。
- JAF:ロードサービス救援データ
- 株式会社オートバックスセブン:2021年3月期12月度月次売上概況(速報)についてのお知らせ
- 株式会社ユー・エス・エス:IRニュース
- 一般社団法人日本自動車販売協会連合会:統計データ
- 一般社団法人 全国軽自動車協会連合会:統計資料
数字の注意
- JAFのロードサービスシェアは約50%で国内1位です(Seibii推定)
- USSの中古自動車業者間オークション(BtoB)はシェア約40%で国内1位です。
- オートバックスのカー用品販売シェアは、公開されていませんが、国内最大手です。
- 従い、本記事記載の「ロードサービス救援件数」「カー用品販売状況」「中古車販売状況」等は、必ずしも日本全体の数字・傾向を表しているとは言えませんので、ご注意ください。
- なお、JAF救援実施件数は「一般道路」「四輪自動車」を前提に記載しており、高速道路上での救援件数は含めていません。日本全国では約2倍の出動要請があったと考えられます。