新型コロナ禍の異例の行楽シーズンとなった8月。新車では軽自動車の回復力の強さが見て取れます。中古車は価格は戻ってきているものの、取引台数は弱いままです。車のトラブル・ロードサービス救援総件数、カー用品店「来店客数」「売上」共に例年並に戻りました。新車販売台数、中古車販売台数、ロードサービス最大手JAF「ロードサービス救援統計」、カー用品販売最大手のオートバックス「月次売上速報」、中古自動車オークション最大手USS「成約台数・台当たり成約単価」、新車販売台数を元に車の整備・修理業界2020年8月の概況を纏めました。
目次
2020年8月:新車・中古車販売状況
新車販売台数 - 軽自動車の回復力
2020年8月の新車販売台数は32万6,436台でした。
- 前月(2020年7月)比 : 17.64%減
- 昨年(2019年8月)比 : 16.00%減
軽自動車の回復力は、普通車に比べて強いです。
- 前月(2020年7月)比 : 18.08%減
- 昨年(2020年8月)比 : 11.84%減
新車販売ランキングTOP10
車種・ブランド別の販売ランキングを確認しましょう。何年も販売絶好調なホンダN-BOX。2019年12月から9ヶ月連続1位を記録しています。
- N-BOX(ホンダ) 14,514台
- ヤリス(トヨタ) 11,856台
- スペーシア(スズキ) 10,579台
- ライズ(トヨタ) 9,391台
- タント(ダイハツ) 9,151台
- カローラ(トヨタ) 8,751台
- ムーヴ(ダイハツ) 7,594台
- フィット(ホンダ) 7,158台
- アルファード(トヨタ) 7,103台
10.ハスラー(スズキ) 6,384台
車種・ブランド別販売台数上位20車は図の通りです。
中古車:業者間オークション成約状況
業界最大手USSの中古車販売状況(業者間取引 = BtoB)を確認しましょう。2020年8月の業者間オークション成約台数は118,526台、平均車両単価は77万3,000円となりました。
前月比、前年比は以下の通りです。価格は戻ってきましたが、台数はまだまだ弱い状況と言えます。
成約台数
- 前月(2020年7月)比 : 21.45%減
- 昨年(2020年8月)比 : 10.04%減
成約単価
- 前月(2020年7月)比 : 4.8%減
- 昨年(2020年8月)比 : 9.18%増
2020年8月:クルマの整備・修理・アフターパーツ業界概況
経済活動再開に伴い、車の利用頻度が通常に戻りつつあります。そんな社会情勢を反映し、車のトラブル・ロードサービス救援総件数は略例年通りとなりました。また、カー用品最大手のオートバックスでは「来店客数」「売上」共に例年並に戻りました。
総救援出動(ロードサービス実施)件数
2020年8月のJAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は17万8,760件でした。前年比で微減、前月比で微増しました。例年、8月はロードサービスの救援件数が増加しますが、今年も例年通りの傾向が見られました。
全国JAF総救援出動件数:178,760件
- 前月(2020年7月)比 : 7.91%増
- 昨年(2019年8月)比 : 6.63%減
バッテリー上がり(過放電)件数
「バッテリー上がり」に因る2020年8月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は、5万3,365件でした。前年比では減少、前月比では増加しました。コロナ禍の行楽シーズンらしい結果であったと言えます。
全国バッテリー上がり件数:53,365件
- 前月(2020年7月)比 : 7.69%増
- 昨年(2019年8月)比 : 6.31%減
バッテリーの劣化・破損(要バッテリー交換)
「バッテリー劣化・破損」に因る2020年8月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は12,996件でした。
7ヶ月連続で昨年比プラスで推移しており、旺盛なバッテリー交換需要が継続していることがわかります。
全国バッテリ−劣化・破損件数:9,222件
- 前月(2020年7月)比 : 40.92%増
- 昨年(2019年8月)比 : 5.99%増
オートバックスのバッテリー販売売上
オートバックスの販売売上を見ると、バッテリー需要の旺盛さがよくわかります。
アイドリングストップ車用バッテリーが継続的に好調。金額・数量ともに前年超え。
売上高は前年同月比0.6%増。
- (参考)2021年4月期(2020年4月-2020年6月)のバッテリー売上:20億円 ※参考
タイヤのパンク・バースト・エア不足
「タイヤのパンク・バースト・エア不足」に因る2020年8月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は33,522件でした。
全国のタイヤのパンク・バースト件数:33,522件
- 前月(2020年7月)比 : 1.07%減
- 昨年(2019年8月)比 : 9.17%減
オルタネーター・ダイナモ故障
エンジンがかからない主要原因の1つであるオルタネーター(発電機)の故障。例年、8月がピークとなります。今年も7月比70%増と、件数が大きく増えました。オルターネーターに因る2020年8月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は6,021件でした。
全国のオルタネーター・ダイナモ故障件数:6,021件
- 前月(2020年7月)比 : 70.52%増
- 昨年(2019年8月)比 : 0.94%増
スターター・セルモーター故障
オルタネーター・ダイナモと並び、エンジンがかからない際の主要原因の1つです。オルタネーター・ダイナモと同様に、8月が需要のピークとなります。スターター・セルモーターに因る2020年7月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は2,591件でした。
全国のスターター・セルモーター故障件数:2,591件
- 前月(2020年7月)比 : 13.69%増
- 昨年(2019年8月)比 : 10.28%減
スパークプラグ故障件数推移
エンジンが掛からない際の主因の1つです。スパークプラグと合わせてイグニッションコイルが故障しているケースも多いです。
2020年8月の件数の開示はありませんでした。例年、冬場になると数が増える故障です。
全国スパークプラグ故障故障件数:N/A
- 前月(2020年6月)比 : N/A
- 昨年(2019年7月)比 : N/A
カー用品・アフターパーツ等販売状況
オートバックスの月次速報(店舗売上)を元に、各商品の販売状況を見ていきます。
タイヤ・ホイール販売状況
- 消費税「増税」前駆け込み需要が見られた前年比では減少したが、ほぼ例年通り
- 昨年比:8.9%減(金額ベース)
ドライブレコーダー・カーナビ等カーエレクトロニクス販売状況
- 6月末のあおり運転罰則強化を受けドライブレコーダーが大幅に前年を超えた一方で、カーカビの販売不振継続。
- 前年比:4.1%減(金額ベース)
エンジンオイル販売・交換状況
- 金額・数量ともに前年同水準を維持
- 前年比 0.3%減(金額ベース)
参照サイトと注意事項
この記事は以下の公開情報を基に作成しています。この場を借りて、情報公開に感謝申し上げます。
- JAF:ロードサービス救援データ
- 株式会社オートバックスセブン:2021年3月期8月度月次売上概況(速報)についてのお知らせ
- 株式会社ユー・エス・エス:IRニュース
- 一般社団法人日本自動車販売協会連合会:統計データ
- 一般社団法人 全国軽自動車協会連合会:統計資料
数字の注意
- JAFのロードサービスシェアは約50%で国内1位です。
- USSの中古自動車業者間オークション(BtoB)はシェア約40%で国内1位です。
- オートバックスのカー用品販売シェアは、公開されていませんが、国内最大手です。
- 従い、本記事記載の「ロードサービス救援件数」「カー用品販売状況」「中古車販売状況」等は、必ずしも日本全体の数字・傾向を表しているとは言えませんので、ご注意ください。
- なお、JAF救援実施件数は「一般道路」「四輪自動車」を前提に記載しており、高速道路上での救援件数は含めていません。日本全国では約2倍の出動要請があったと考えられます。