セイビー公式YouTubeチャンネルで11月7日にアップした動画でも取り上げております、
「車内のテレビ視聴の車検が通らない可能性」について整備士目線で解説していきたいと思います。
セイビーでは、テレビキャンセラーの取り付けのご依頼を多くいただいています。
今後新車のご購入を検討されている方や、すでにテレビキャンセラーを取り付け済みの方でも、今後の動向が気になるところだと思います。本記事を参考にしていただければと思います。
なぜこのような話題が出てきたのか?
なぜこのような話題が出てきたか?
この話題の発端は、車検にOBD(車載式故障診断装置)検査が追加されたことです。
この検査は2024年10月からスタートし、運転支援装置や排ガス装置の異常データを診断機で読み取り、診断結果に異常がないかを確認する項目が追加されました。
故障診断機を繋いだときに特定のエラーがあると車検不適合とみなされます。
OBDを差し込んで異常値が表示された場合、車検に不合格となります。
検査項目と対象車両について
検査項目は以下です。
参照:国土交通省「車載式故障診断装置を活用した自動車検査手法のあり方について」
① 排出ガス等発散防止装置
- 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(以下「細目告示」とい う。)第 41 条及び第 119 条並びに別添 48 に規定された装置
② 運転支援技術
- アンチロックブレーキシステム(ABS)
- 横滑り防止装置(ESC/EVSC)
- 自動ブレーキ(AEB/AEBS)
- ブレーキアシストシステム(BAS)
- 車両接近通報装置
③ 自動運転技術
- UN/ACSF で審議され UN 規則が成立した自動運転技術(Category A, B1, C 及び緊急操舵技術(ESF)
検査項目に追加される可能性がある項目
将来検査項目に追加される可能性のあるものは以下の通りです。
- 車線逸脱警報装置(LDWS)
- オートライトシステム
- 先進ライト(自動切替型、自動防眩型、配光可変型等の前照灯)
- ふらつき注意喚起装置
- 視界情報提供装置(バック/サイドカメラ、アラウンドビュー等)
- 車両周辺障害物注意喚起装置(周辺ソナー)
- 運転者異常時対応システム
より車検が複雑になっていきます。
OBD検査の対象車両
OBD検査の対象車両は以下の通りです。
ただし、③の適用日については、自動車側の対応や検査実施機関・自動車整備工場における準備に要する期間等を考慮して、変更される可能性があります。
参照:国土交通省「車載式故障診断装置を活用した自動車検査手法のあり方について」
① 型式指定自動車または多仕様自動車7
② 乗用車、バス、トラック(M1, M2, M3, N1, N2, N3)
③ 2021 年以降の新型車(輸入自動車は 2022 年以降)
テレビキャンセラー装置の影響
テレビキャンセラーがOBD車検にどのような影響を及ぼすかについて解説します。
故障診断機を接続した際、テレビキャンセラーを装着していると特定の条件下でナビゲーションシステムにエラーコードが記録されることがあります。
このエラーコードが不具合コードとして認識されると、車検に不合格となる可能性があるため、テレビキャンセラーを取り外す必要がある場合もあります。
実際の事例として、メーカーオプションナビにテレビキャンセラーをつけている車両が車検不適合と判断されたケースがあります。
故障診断機が「信号が入りません」というエラーコードを検出し、ナビゲーションの通信システムに問題があると判断されたためです。
テレビキャンセラーを取り付ける方も多いので、今後は特別な通達で除外される可能性や、テレビキャンセラーメーカーによる対策が行われることが予想されます。
しかし、テレビキャンセラーの作動には信号の遮断が含まれるため、抜本的な対策は難しいと考えられます。
社外ナビであれば車両本体のユニットとは通信しないので問題は起きにくいと思われますが、純正ナビの場合は車検不適合になる可能性が高いでしょう。
まとめ
OBD車検は始まったばかりで情報が少なく、テレビキャンセラーによって車検が不適合になるケースについては国土交通省も想定していない可能性があります。
OBD車検の導入によって、他にも想定外のケースが増えることが予想されますので、今後もセイビーではしっかり情報を蓄積していきたいと思います。
セイビーのYouTubeチャンネルでは、他にも車に関するいろいろなコンテンツを毎週配信中ですので、ぜひ参考にしてみてください。