滑りやすい冬の路面で安全に走行するためには欠かせないスタッドレスタイヤ。様々なタイヤメーカーから販売されているため、どれを選べばいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回の記事ではそんな方に向けてスタッドレスタイヤを選ぶときのポイントや価格相場・メーカー比較を行います。
これからスタッドレスタイヤを購入しようと考えている方はぜひ参考にしてください。
スタッドレスタイヤの交換時期や方法についても知りたい方はこちらも合わせてご覧ください。
スタッドレスタイヤの交換時期はいつ?交換方法やベストな保管場所についても伝授
スタッドレスタイヤを交換するにあたって、交換時期やその方法など、初めての人はわからないことがたくさんあるかと思います。この記事ではスタッドレスタイヤを交換するのにベストな時期はいつなのか、どんな方法があるか等、交換にまつわる情報をお届けします。
https://seibii.co.jp/blog/contents/snow-tire-change-timing/

スタッドレスタイヤとは
スタッドレスタイヤとは積雪や凍結など凍った路面の状況下でも、安全に走行することを目的とした冬用タイヤのことを指します。
構造としてはトレッド面にノーマルタイヤよりも深い溝(スリッド)があり、深い溝が雪を噛んでより強いグリップ力を発揮するようになっています。またスタッドレスタイヤには細かい切れ込みがあり、凍った路面の上にできる水膜を取り込むことで安定した走行を再現しています。
より強いグリップ力を再現するために、金属鋲を使用するスパイクタイヤとは違い、スタッド(鋲)を使わずにグリップ力を発揮することからスタッドレスと呼ばれます。
スタッドレスタイヤを選ぶときのポイント6つ
スタッドレスタイヤは製品ごとに特性が異なるため、自分の使い方に合ったものを選ぶことが大切です。
ここからは、スタッドレスタイヤ購入の際に注目して欲しい6つのポイントについてご紹介します。
1.氷上性能
氷上性能は、溶けた雪が凍結してしまった道路を指す「アイスバーン」で、いかに滑りにくく、制動距離を短くできるかを示します。
冬の路面の中でも、アイスバーンは特にドライバーが危険を感じる場所でもありますので、気温が低く路面が凍結しやすい地域にお住まいの方は氷上性能に注目してスタッドレスタイヤを選ぶと安心でしょう。
2.雪上性能
雪上性能は積雪路面を走行する際に、どれだけ性能を発揮できるかを示します。
柔らかい新雪の上を走行する際に起こりやすいタイヤの空回りや、溶け始めた雪が原因で起こるスリップなどを防いでくれますので、積雪路面を走る可能性がある方は雪上性能が高いものを選ぶことをおすすめします。
3.高速性能
お住まいの地域によっては「年に数回の雪に備えタイヤを交換している」「乾いた路面を走ることがほとんど」という方も多いでしょう。
そんな方には高速性能の高いスタッドレスタイヤがおすすめです。
高速性能はスピードを出した際にどれだけ安定した走行ができるかを示すもので、この性能が高いタイヤなら車体が不安定になりやすい高速道路なども安心して走行することができます。
4.燃費性能
スタッドレスタイヤは、積雪路面や凍結路面でもグリップ力を発揮させるために柔らかい特殊なゴムを使用しており、通常の乾いた路面を走行する際には、ノーマルタイヤよりも地面とタイヤの接地面が増えることで、燃費が落ちる傾向があります。
最近では燃費性能に特化したスタッドレスタイヤも登場していますので、冬の季節でも乾いた路面を走行する機会が多い方は、燃費性能を重視してタイヤを選ぶことをおすすめします。
5.寿命・耐摩耗性
寿命・耐摩性とは、どれだけもちがいいかを示すもので、この性能が高いほどタイヤの溝の減りが遅く、通常のスタッドレスタイヤよりも長く走ることができます。
しかし寿命・耐摩性が高いほどグリップ力が低下すると言われていますので、雪が降りやすかったり、路面が凍結しやすかったりする地域にお住まいの方は、氷上性能や雪上性能に特化したタイヤを購入した方が安心でしょう。
6.タイヤの素材
タイヤが地面と接地する部分を「トレッド」と呼び、このトレッド面に使用される複合ゴムを「コンパウンド」といいます。
このコンパウンドは天然ゴムや合成ゴム、添加物を混合することで作られており、その割合でタイヤの性能が変わるのです。
天然ゴムには「接着性が良い」「破壊強度が強い」という特徴があり、合成ゴムは「劣化に強い」など様々な特徴を持つものが開発されています。
使用している素材によって特性が異なりますので、スタッドレスタイヤを選ぶ際にはぜひタイヤに使われているゴムの素材にも注目してみてください。
スタッドレスタイヤの価格相場
スタッドレスタイヤはサイズやブランドによって価格が異なります。
ここからはサイズ別、販売国別で価格相場をご紹介しますので、ぜひ製品を選ぶ参考にしてください。
タイヤサイズ別の価格相場
タイヤはサイズが大きくなるほど価格が高くなる傾向があり、軽自動車に多く使用されている13~14インチのタイヤであれば1本5,000程度で購入することができますが、20インチ以上になると1本50,000円を超えることも珍しくありません。
サイズ別の価格相場は以下の通りです。
タイヤサイズ | 価格相場/1本 |
---|---|
13インチ以下 | 3,800〜7,000円/1本 |
14~15インチ | 4,000〜20,000円/1本 |
16~17インチ | 6,000〜30,000円/1本 |
18~19インチ | 10,000〜70,000円/1本 |
20インチ以上 | 23,000〜75,000円/1本 |
国内ブランド/海外ブランドの価格相場は以下の通りです。
ブランド | 価格相場/1本 |
---|---|
国産ブランド | 10,000〜17,000円/1本 |
欧州ブランド | 7,000〜17,000円/1本 |
北米ブランド | 8,000〜15,000円/1本 |
アジアブランド | 5,000〜9,000円/1本 |
スタッドレスタイヤメーカー6社の性能/制動距離比較
スタッドレスタイヤは、販売されるメーカーによっても性能が異なります。
ここからは人気タイヤメーカーの6社のスタッドレスタイヤの性能/制動距離を比較します。
※制動距離はタイヤ公正取引協議会のデーターを参考にしています。
(タイヤ公式取引協議会:https://www.tftc.gr.jp/)
ブリヂストン
世界でも高いシェアを誇る日本のタイヤメーカーのブリヂストン。
日本企業ならではの徹底した品質管理が特徴で、高い氷上性能が人気のスタッドレスタイヤ「BLIZZAK」は、雪が多い北海道・北東北主要5都市でも高い装着率を誇っています。
乗用車用
「BLIZZAK」の乗用車用ブランド「BLIZZAK VRX3」では氷上ブレーキの性能比較で13.18mを記録しました。
従来のVRX2と比較すると2.93m制動距離が短くなっており、より安全な走行ができることが分かります。
※試験速度:20km/hから0km/h
SUV/4×4専用
ブリヂストンの「BLIZZAK」では、SUV用スタッドレスタイヤとして「BLIZZAK DM-V3」を販売しています。
車高が高く、重量が重いため制動距離が伸びやすいというSUVでも「SUV専用パタン」を採用することで12.15mの制動距離を実現。
従来モデルと比較しても、1.16m制動距離が短くなり、凍結した路面でも安心して走行することが可能です。
※試験速度:20km/hから0km/h
ヨコハマタイヤ
横浜ゴムが展開するタイヤブランドヨコハマタイヤは、モータースポーツ向けのタイヤの開発に熱心に取り組んでいることでも有名です。
今回はそんなヨコハマタイヤが販売する「IceGUARD」の性能を比較します。
乗用車用
ヨコハマの乗用車用スタッドレスとして有名な「IceGUARD」は、2002年に初代が発売され、現在は7代目となる「IceGUARD iG70」が販売されています。
従来品と比べ氷上性能が向上し、制動距離は12.5mから11.0mへ短縮。他メーカーと比べても、高い氷上性能を実現しています。
※試験速度:20km/hから0km/h
SUV/4×4専用
ヨコハマの「IceGUARD」ではSUV用のスタッドレスタイヤとして「IceGUARD G075」を販売しています。
進化した「スーパー吸水ゴム」新設計のトレッドパターンの採用で氷上の制動距離は11.9mを実現しています。
※試験速度:20km/hから0km/h
ダンロップ
住友ゴム工業が販売する、イギリス発祥のタイヤブランド「ダンロップ」。
1889年創業とタイヤメーカーの中でも歴史が深いダンロップからは「WINETR MAXX」をピックアップしてスタッドレスタイヤの性能を比較します。
乗用車用
ダンロップで人気の乗用車用スタッドレス「WINTER MAXX03」では、氷とタイヤの密着までの時間を短縮する新アプローチを採用することで、従来よりも氷上性能の向上を実現しました。
制動距離は14.5mで従来品と比べると3.1mの短縮に成功。さらに効果が長く続くことも人気の理由のひとつとなっています。
※試験速度:20km/hから0km/h
SUV/4×専用
ダンロップが販売する「WINTER MAXX」にはSUV専用タイヤとして「WINTTER MAXX SJ+8」が販売されています。
このブランドには、深雪に強く効きが長持ちするという特徴があり、氷上の制動距離は15.5mで従来品から2.2mの短縮に成功しました。
※試験速度:20km/hから0km/h
トーヨー
トーヨータイヤは兵庫県伊丹市に本社を置く日本のタイヤメーカーです。
国内では4位のシェアを獲得しており、特にミニバン専用タイヤの「TRANPATH」が有名です。
乗用車用
トーヨーが販売する乗用車用スタッドレスとしては「OBSERVE GARIT GIZ」をピックアップしてご紹介します。
OBSERVE GARIT GIZはバランスの取れた氷上性能が人気のブランドで、氷上の制動距離は42.3mとなっています。
※試験速度:40km/hから0km/h
ミニバン/SUV/4×4専用
トーヨーからは背の高いハイト系の車特有のふらつきを抑えたスタッドレスタイヤ「Winter TRANPATH TX」が販売されており、操縦安定性と氷上性能が高い評価を受けています。
Winter TRANPATH TXの氷上の制動距離は49.14mとなります。
※試験速度:40km/hから0km/h
グッドイヤー
世界的に見てもシェアが高いアメリカのタイヤメーカー「グッドイヤー」が提供するスタッドレスタイヤは、コストパフォーマンスが高いと日本国内でも人気を獲得しています。
そんなグッドイヤーからは「ICE NAVI」で性能の比較を行います。
乗用車用
乗用車用スタッドレスタイヤ「ICENAVI8」では、左右非対称のパターンを採用することで、氷上性能の向上に成功しました。
そんなICENAVI8の氷上での制動距離は、9.97mとなります。
※試験速度:20km/h
SUV/4×4専用
グッドイヤーではSUV用スタッドレスタイヤとして「ICENAVI SUV」が販売されています。
このICE NAVIは雪道ではもちろん、構造強化によりドライ性能も引き上げることで様々な路面に対応できるタイヤとなっています。
氷上での制動距離は、13.0mです。
※試験速度20km/h
ミシュラン
ミシュランはフランスに本拠地を置くタイヤメーカーで、世界ではブリヂストンと並ぶシェア率を誇る人気メーカーです。
そんなミシュランからは「X-ICE」をピックアップし、性能の比較を行います。
乗用車用
ミシュランが乗用車用スタッドレスとして販売する「X-ICE 3+」は様々な環境の路面で高い性能を発揮できるよう開発されたタイヤで、凍結路面や積雪路面はもちろん、ドライ・ウェット路面でも安定したグリップ性能を発揮します。
氷上の制動距離は18.2mです。
※試験速度25kmから0km/h
SUV/4×4専用
ミシュランの「X-ICE」シリーズにはSUV専用モデルとして「X-ICE SNOW SUV」が販売されています。
トレッドパターンや性能は「X-ICE」と同等とされていますが、剛性を高めることでハンドリングの向上などを実現しています。
タイヤメーカー別の市場シェア
米専門誌『タイヤビジネス」による「Global Tire Company Rankings」によると、2018年の世界のタイヤ市場規模は US$168,625百万ドル(約18兆5千億円*1)で、2016年の $151,000百万ドルと比べると、2年間で約12%ほど成長しています。
その中でも最も売上が高かったのはブリヂストンでタイヤの売上高は $24,982百万ドル(約2兆7千億円)と、業界全体の約15%を占めます。2位はフランスのミシュランで業界の約14%の売上、3位はアメリカのグッドイヤー業界の8.5%の売上でした。上記の3社だけで業界全体の約4割を占めていることがわかります。
まとめ
冬の安全な走行には欠かせないスタッドレスタイヤですが、一口にスタッドレスといってもメーカーや種類が豊富でどれを選べばいいか分からない方も多いと思います。
今回の記事ではそんな方に向けてタイヤの選び方から価格相場、メーカーごとの性能をご紹介しました。
使い方によって適したタイヤが異なりますので、スタッドレスタイヤを購入する際にはぜひ参考にしてください。