日本では当たり前になっているのが、車検制度ですが、海外では車検制度がない国が多いようです。
海外で車検がある場合でも、日本と同じように手数料はかかります。
車検のない国では、車を所有するドライバーが自身の責任において、日常から車の状態を保つよう点検整備を実施することが求められています。
この記事では、海外の車検と日本の車検の違いや日本の車検が高いといわれる理由を解説しています。
海外の車検事情
日本では自動車が公道を走るうえで義務付けられている車検制度ですが、海外の車検事情はどのようになっているのでしょうか。
この章では、日本と海外の車検事情について、紹介します。
車検制度が厳しい国一覧
日本は海外に比べて車検制度が厳しく費用も高いイメージをおもちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には車検制度は国によって異なります。
日本・ドイツ・イギリスは、比較的車検制度が比較的厳しい国です。
国 | 特徴 |
---|---|
日本 | ・車検制度の歴史は1951年に義務化 ・道路交通法でルール化されている |
ドイツ | ・車両各部の電気的、機械的な検査と排気ガスの検査 ・車検の期限を過ぎると罰金 |
イギリス | ・新車時の車検は4年だが新車以外は1年毎の車検 ・MOT検査(車検)をクリアしないと費用をかけて改修 |
日本の車検制度は1951年に普通自動車(自家用車)が義務化され、さらに1973年には軽自動車にも適用されました。現在では例外なくすべての車両は車検を受けなければ公道を走行できません。
車検制度がない、または簡単な国
厳しい車検制度を取る国がある一方で、海外には車検制度がなかったり、または車検が簡単な国があったりします。
代表的な例として、アメリカ・カナダ・オーストラリアの例をご紹介します。
国 | 特徴 |
---|---|
アメリカ | ・車検制度なし ・州によっては独自の車検制度あり ・整備不良の車は州法によっては高い罰金が課せられる |
カナダ | ・車検制度なし ・自主的に定期点検を行う |
オーストラリア | ・車検制度なし ・登録料を支払う必要あり(1年毎) ・3年以上経過した車は指定工場で点検、その後は毎年検査を受ける |
アメリカで見られるように車検制度はないものの、自動車の点検や整備は行う必要はあるようです。
整備不良の車両が見つかれば、高い罰金が課せられるケースもあります。
海外と日本の車検制度の違い
日本では自動車を所有するうえでは、当たり前となっている車検制度ですが、海外を見回すと、実は車検制度がある国のほうが少数派です。
ここでは、海外と日本の車検制度の違いについて紹介します。
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費用
日本の車検費用は高いイメージですが、自動車の安全を確認する費用である「検査手数料」を比べると比較的安い部類に入ります。
日本と海外の「検査手数料」の相場を以下のようにまとめたので、比較してみましょう。
日本 | 3,000円未満 |
---|---|
イギリス | 10,000円以下 |
フランス | 10,000円以下 |
韓国 | 3,000円程度 |
オーストラリア | 3,000円程度 |
ドイツ | 3,000円程度 |
シンガポール | 約4,000円 |
年数
一般的に車検と呼ばれている車検は、正式名称は「自動車検査登録制度」といわれ、道路交通法で義務付けられています。
定められた期間に保安基準を満たす検査を受けないと公道を走行することはできません。
日本での車検の有効期間は、新規検査(新車)で3年、新車以外で2年です。
2回目以降の車検は、車検証記載にある有効期間を延長して継続して乗車するため「継続検査(継続車検)」とも呼ばれます。
海外の新車での車検事情は、以下のとおりです。
- 有効期間4年:フランス・アメリカのカリフォルニア・イタリア・フランス
- 有効期間3年:イギリス・ドイツ・スウェーデン
継続検査が1年という国も存在しますが、継続検査期間が日本と同じなのは、ドイツのみです。
日本の車検制度は先進諸国のなかでは厳しい方に位置付けられます。
日本の車検が高いといわれる理由
日本の車検が高いといわれる理由は、車検の際に法定費用とされる「自動車重量税」と「自賠責保険」を更新する義務があるため、海外と比べると車検関連の費用が高くなります。
税金と保険は自動車によって異なるものの、約50,000円以上の費用となり、費用の半分以上が法定費用となるのです。
自動車の安全を確認する費用である「検査手数料」は、海外と比べても安い部類に入るものの、税金と同じく、法律で加入が義務付けられている保険により、海外と比べると費用が高くなります。
日本の車検制度はおかしい?自動車検査制度等の抜本的見直しについて
日本の車検制度は、公道を走行するうえで「整備不良の車両を走行させない」未然に事故を防ぐことからも必要な制度であることは理解できます。自家用自動車から営業用自動車までの全ての車両が定期的に整備を行うことで、安全な状態を保てるようになるからです。
日本の車検制度も一部見直されるので、詳しく解説していきます。
車検を受けられる期間の変更
2024年6月25日、国土交通省より道路運送車両法施行規則を改正し、車検を受けられる期間を変更すると発表されました。
これまでは、車検証の有効満了日の1ヶ月前に受検できたものが、2ヶ月前から受検することが可能となります。
もちろん残存する旧車検証の有効期間を失うことなく、これまでと変わらず新車検証に更新できるため、何も心配いりません。
改正の背景は以下の図で分かるように、車検需要が年度末に集中している点です。
- 自動車ユーザーが整備や車検の予約が取りづらくなる
- 自動車整備士の残業や休日出勤に追われる
これらの問題解消を図るため、この改正は、2025年4月1日から施行されます。
引用:国土交通省(来年4月より、車検を受けられる期間が延びます)
自動車検査証の電子化
道路運送車両法施行規則等が改正され、普通自動車は2023年1月4日から、軽自動車は2024年1月4日から新規検査や継続検査を行った自動車を対象に電子化した自動車検査証の交付がスタートしました。
自動車検査証の電子化により、記載事項の簡素化や従来のA4からA6相当に変更され、持ち運びや保管を容易に行えます。
また、小型化された車検証には、ICタグ(チップ)が搭載されているのもポイントです。
【2024年3月時点でのICタグに記録されている情報】
- 車検証の有効期間
- 車両所有者の氏名・住所
- 車両使用者の住所
- 車両使用者の本拠の位置
専用のアプリに読み取らせることが可能で、車検証情報をいつでもどこでも確認可能できます。
OBD2車検の導入
OBD車検とは、ドライバーが行う運転中の認知、判断、操作などの自動運転技術が搭載された車両に対し、「On Board Diagnostics」というツールを使用した車検です。
OBD車検が義務化されるのは、国産車は2024年10月からとなり、輸入車は2025年10月から義務化されます。主な対象車種は、国産車では年式が2021年10月以降の車両、輸入車では2022年10月以降の車両です。
OBD車検のメリットは、以下のとおりです。
- 警告ランプの内容を詳しく把握できる
- 不具合のチェック漏れといったヒューマンエラーを防止
- 警告ランプが点く前の異常を検知
このような仕組みにより、精度の高い車検が可能となります。
まとめ
車検のない国では、車を所有するドライバーが自身の責任において、日常から車の状態を保つよう点検整備を実施することが求められています。
自動車の安全を確認する費用である検査手数料は、海外の車検のある国と比べても高くありません。
日本の車検が高いといわれる理由は、「自動車重量税」と「自賠責保険」を更新する義務があるため、海外と比べると車検に関わる費用が高くなります。
日本の車検制度は、公道を走行するうえで「整備不良の車両を走行させない」のは、未然に事故を防ぐことからも重要です。
日本で公道をしっかり走行するには、定期点検や車検を確実に受検しましょう。
車検のご予約や点検は、全国各地にプロの整備士が多数在籍しているセイビ―に、お気軽にご相談ください。