ディーラーナンバー(回送運行許可)は、業務上、ナンバーの付いていない車を移動させる必要がある場合に発行されるものです。
仮ナンバーとは異なり、運行経路などを申請する必要はありませんが、取得条件が限られており、取得後も定められた管理が必要です。
今回の記事では、ディーラーナンバーの取得条件や管理方法、交付後の実態調査項目などを紹介します。
目次
仮ナンバーとディーラーナンバーの違い
仮ナンバーとディーラーナンバーはナンバーとしての種類が違います。
仮ナンバーは車の所有者自身が取得できるナンバーで、下記の時に取得できます。
- 車検切れの車を引き渡す場合
- ナンバーが盗難にあった/破損した場合
- 新しく買った未登録車の新規検査や新規登録をする場合
ですがディーラーナンバーは通称「業者ナンバー」とも言われており、基本的には業者の人しか取得することが出来ません。
そのため車検切れ等でDIYでユーザー車検を取得する場合は、仮ナンバーを取得する必要があるので、その場合は下記の記事を参考にしてください。
仮ナンバー取得ガイド/取得に必要な書類から取付、注意点まで解説
仮ナンバーを取得するには、書類を用意し、役所に申請をする必要があります。今回の記事では、仮ナンバーの役割や利用できるタイミング、申請方法などを紹介します。仮ナンバーは使用できる場面が限られているため事前に確認しておきましょう!
https://seibii.co.jp/blog/contents/temporary_number_plate
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ディーラーナンバーが取得できる条件
ディーラーナンバー(回送運行許可)は全ての人が申請できるわけではなく、運行実績等が必要となります。
具体的には、1年で臨時運輸許可証(仮ナンバー)を7回以上取得し、車検を受けたという実績の証明が必要です。
ディーラーナンバーを取得したい場合には、以下の書類を7回分以上用意しましょう。
- 臨時運行許可証の写し
- 臨時運行許可証を受けた車の分解整備記録簿
- 臨時運行許可証を受けた車の車検前の車検証
- 臨時運行許可証を受けた車の車検後の車検証
上記は全てコピーで問題ありません。
また、業者によっては上記以外の取得条件が定められます。
今回は、製造業者・販売業者・陸送業者・分解整備業者の取得条件を紹介します。
※運輸局により条件が異なる場合がございますので、事前に確認をすることをおすすめします。
車の製造業者
車のメーカーなど、製造業者におけるディーラーナンバーの取得条件は「1ヵ月平均の車両制作数が10台以上」となります。
車の販売業者
車を販売している業者におけるディーラーナンバーの取得条件は、新車販売業者の場合「1ヵ月の平均販売車両数が10台以」となります。
また輸入車販売業者の場合は「1ヵ月の平均販売車両数が5台以上」が条件です。
販売する車両が中古か新車かは問いません。
車の陸送業者
陸送業者におけるディーラーナンバーの取得条件は、以下の通りです。
- 製造または販売を業とするものと、1年以上の回送委託契約を締結していること
- 回送自動車の運行管理に自ら責任を負うものであること
- 陸送業務に直接従事する運転者数が常時10名以上であること
貨物自動車運送事業者・貨物利用運送事業者の場合は、上記に加え「回送業務に従事する運転者および積載車を有すること」の条件に当てはまる必要があります。
また、湾港運送事業者の場合は「埠頭の区間内か埠頭内で回送業務が行われること」が追加の条件となります。
車の分解整備業者
分解整備業者におけるディーラーナンバーの取得条件は「直近1年間の臨時運行許可証の運行実績が7台以上であること」となります。
また、この7台は、自らが特定整備をした自動車が対象です。
ディーラーナンバーの取得方法
ディーラーナンバー(回送運行許可)の条件をクリアしたら、申請が可能です。
ここからはディーラーナンバーの申請方法を紹介します。
貸与前にディーラーナンバー自体に自賠責保険をかける
ディーラーナンバーを利用する場合には、自賠責保険をディーラーナンバーにかける必要があります。
自賠責保険がかかっていないと、ナンバー貸与が受けられませんので注意が必要です。
また、自賠責保険は、1組のディーラーナンバーに対して1口加入しなければなりません。有効期限と貸与枚数に合わせて加入を行ってください。
必要書類を準備する
ディーラーナンバーの申請には、次の書類が必要です。
- 回送運行許可申請書
- 運転者等に対する法令関係研修の実施計画
- 管理責任者等の配置計画を記載した書面
- 社内取扱い内規を記載した書面
- 各種業とすることの書面(関連団体会員であることの書面等)
- 実績等を証明する書面
- 事務所外観・内観の写真
- 保管庫の写真
- 営業所までの周辺地図または写真
申請に必要な書類は、運輸局により異なる場合があります。事前に管轄の運輸局に確認しておくとスムーズに申請が進むでしょう。
運輸支局に申請する
条件をクリアし、必要書類を用意したら管轄の運輸支局に申請を行います。
もちろん、自分で申請を行うこともできますが、手間を省きたい場合には整備振興会に依頼することがおすすめです。
整備振興会では、申請用紙の入手や書類の代書などを行ってくれます。
費用は地域によって異なりますが、無料~数千円で依頼が可能です。
書類審査、面接を受ける
申請完了後、書類審査や現地調査、面接が行われ、その後ディーラーナンバーが使えるようになります。仮ナンバーのようにすぐに使えるわけではありませんので、注意が必要です。
__全ての手続きが完了するまでには3週間~1ヵ月程度がかかります。
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ディーラーナンバー取得後の管理方法
ディーラーナンバーは、貸与されたのち、決められた方法で管理しなければなりません。
有効期限は1年以内なら自分で決められる
ディーラーナンバーの有効期限は1年以内であれば1ヵ月ごとに決めることができます。
ただし、運輸局によっては「初回の貸し出しは2ヵ月まで」と決められている場合も。必ずしも最初の貸し出しから1年使えるとは考えないほうがいいでしょう。
社内で取扱内規を作成する
取扱内規とは、ディーラーナンバーの利用に関するルールを決め、提出する書類です。
この書類は、各運輸局が定める「自動車回送運行の許可事務等の取扱要領」を基に作成します。
管理責任者を決める
ディーラーナンバーの利用前には、管理責任者・取扱責任者の選出が必要です。
管理責任者は、許可証の管理や確認体制の構築、運転者等に対する教育・指導・監督などを行います。
取扱責任者は、許可証等の管理、確認体制の構築等を行います。
確認者を決める
管理者とは、回送運行を行う自動車が保安基準に適合していることの確認や、運転者に対する教育・指導・監督を行うものです。
責任者とは異なり、営業所ごとに選任することができます。
運転者台帳に記録する
ディーラーナンバーを貸与された場合、事業者は所定の事項を記録する必要があります。
記録は営業所ごとに必要となりますので、抜け漏れがないよう注意が必要です。
ディーラーナンバーの保険について
ディーラーナンバーを利用するには、自賠責保険に加入する必要がありますが、万が一の事故を考えると、自賠責保険だけでは不安という方もいるのではないでしょうか。
ここからは保険の取り扱いについて紹介します。
事故を起こしてもその車の任意保険は使用できない
ディーラーナンバーで車の回送をしている際に事故を起こしてしまった場合、該当する車の任意保険を使用することはできません。
自動車整備業者や販売業者が起こした事故は免責の対象となります。
入ることのできる保険
ディーラーナンバーをつけた回送車の事故では任意保険の使用ができませんが、万が一に備えたい場合には「自動車管理者賠償責任保険」に加入ができます。
この保険は、任意保険の対人/対物に相当する保険で、回送車で事故を起こしてしまった場合にも利用が可能です。
車両の損害も補いたいという場合には「受託自動車賠償責任保険」に加入しましょう。
こちらの保険は、事故だけでなく、整備中に傷や凹みがついたなどの場合にも使うことができます。
以前は不正利用が多々あった
ディーラーナンバーは、有効期限が1年までと長く、日常的にナンバーのない車を移動する業者にとっては非常に便利なものです。
ただし、用途や条件が定められており、条件を外れた業者や用途外の使用は法律違反となります。
以前は申請している目的以外で使われるといったような不正利用も多々あり、現在では、取り締まりが強化されています。
不正利用はばれる?
不正利用が多く発覚したこともあり、現在では、申請の許可や、交付後の取り締まりも厳しくなっています。
不正利用はばれる危険性がありますので、正しく運用するようにしましょう。
実態調査が行われることも
不正利用をなくすために、突然、実態調査が行われることがあります。
正しく運用していれば問題はありませんので、日ごろから管理や利用方法に注意することが大切です。
実地調査では、次のような項目を確認されます。
- 実績の確認
- ディーラーナンバー関連の理解度確認
- 利用方法の確認
- 保管方法の確認
個人での申請は可能なのか
ディーラーナンバーは法人だけでなく、個人でも申請が可能です。
ただし、申請条件を満たしている必要がありますので、条件に満たない場合は仮ナンバーの利用を検討するのもひとつでしょう。
まとめ
ディーラーナンバー(回送運行許可)は、1枚を複数台で使用することができ、有効期限が長いため、回送台数が多い業者にとっては非常に便利なものです。
しかし、申請には条件をクリアする必要があり、交付後も決められた方法で管理をする必要があります。
また、以前、不正利用が多々発生したということもあり、最近では申請時のチェックや交付後の取り締まりが強化されていますので、正しく使用することを心がけましょう。