車のブレーキパッドはブレーキの制動力にかかわる重要な部品です。
今回の記事ではブレーキパッドの交換時期を見極める方法や交換にかかる費用、さらに費用を抑えるコツを紹介します。
また、自分でブレーキパッドを交換する方法や大切な注意点もお伝えしているので、ぜひ参考にしてメンテナンスに役立ててください。
目次
ブレーキパッドとは
ブレーキパッドとはブレーキローター内に組み込まれている、車のブレーキ制動を司る重要な部品です。
2枚1組になっており、ブレーキローターの両側から挟み込むような形で搭載されています。
ブレーキをかけるとパッドがブレーキローターを強力に挟み込み、その摩擦力でタイヤの回転を停止させる仕組みになっています。
自転車にも車同様ブレーキをかけた際にタイヤを両側から挟み込む部品が装着されているので、同じような仕組みと捉えていただければ分かりやすいと思います。
ブレーキパッドの役割
ブレーキパッドとは、部品内のディスクをはさみ、摩擦でローターの回転を止める役割を持っています。
車のブレーキには、ディスクブレーキとドラムブレーキの2種類あります。
最近では、放熱性が優れているという観点から、ほぼすべての車種の前輪にディスクブレーキが採用されています。
後輪はドラムブレーキを採用している場合とディスクブレーキを採用している場合があります。
スポーツカーやミニバン、高級車には、ディスクブレーキを採用していることが多いです。
ディスクブレーキはブレーキローターをブレーキキャリパーに取り付けられたブレーキパッドの摩擦で回転を止めます。
この回転を止めることで、自動車自体も止められます。
ブレーキパッドは車を止めるためにも重要なパーツのため、消耗したら必ず交換しましょう。
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ブレーキパッドの交換の目安
ブレーキ周りのメンテナンスは怠ると命の危険があり、見逃せないメンテナンス内容の一つです。
ブレーキパッドが消耗しているとブレーキをかけた時の制動力が弱まり、車が停止するまで時間がかかってしまいます。
ここでは自分でできる、ブレーキパッドの交換タイミングを見極める方法を3つ解説します。
厚さを見る
ブレーキパッドの交換時期はパッドの厚みを確認するのが一番確実です。
厚さの確認方法は車体からタイヤ・ホイールを引き抜き、ブレーキキャリパーの点検窓からブレーキパッドの厚みを目視します。
ブレーキパッドの厚みはメーカーによって多少異なりますが、新品状態で10mmほどです。厚みが5mmくらいなら次の定期点検や車検のタイミングで交換してください。
3mm以下は早めの交換を推奨しますが2mm以下ならば、直ちに交換しましょう。
ブレーキパッドの摩擦力が少ないとブレーキの効きが悪く、重大な事故につながる恐れがあります。
音で確認する
全ての商品ではありませんがブレーキパッドには「パッドウェアインジケーター」と呼ばれる、ドライバーにパッドの交換時期を知らせてくれる機能が備わっています。
パッドウェアインジケーターは「機械式」と「電子式」があり、車種によって確認方法が異なりますので覚えておいてください。
機械式
多くの国産車が採用する機械式はブレーキパッドの残量が少なくなると、ブレーキ時に「キーキー」という甲高い音で知らせてくれます。
ただし、走り始めや気温の影響で音が鳴る場合がありますし、スポーツ走行向けのブレーキパッドは特性上音が鳴りやすいので、混同しないように注意してください。
電子式
電子式はブレーキパッド残量が少なくなると、コックピットのインフォメーションディスプレイに警告灯が表示されます。
国産高級車や輸入車は電子式を採用しているケースが多く、交換時期を判断しやすいメリットがあります。
走行距離で確認する
一般的にブレーキパッドは走行距離10,000kmに対して1mmほど摩耗します。
ただし、ストップ&ゴーが多い街中ではブレーキパッドは消耗しやすく、高速道路をメインに走る車はブレーキを踏む回数が少ないためあまり摩耗しません。
ブレーキパッドの交換に必要な費用
ブレーキパッドの交換には新しいブレーキパッド代金と交換に伴う工賃が必要です。
ブレーキパッドはフロント用とリア用に分かれ、それぞれ左右で1セットです。
ここではブレーキパッドの交換に必要な費用と、工賃を安く抑える方法3つを解説します。
本体価格
ブレーキパッドの本体価格は車の大きさによって違います。軽自動車はフロント・リアともに7,000円程度、普通車はフロント・リア各8,000円ほどです。
制動力が求められる大型ミニバンや高級車、スポーツカーはブレーキパッドの面積が大きいため、本体価格が15,000円以上になることも珍しくありません。
交換工賃
ブレーキパッドの交換工賃は本体価格同様、車種によって大きく変わります。
工賃の目安は軽自動車で1セット6,000円程度、普通車は1セット8,000円ほどです。
大型のブレーキパッドを採用する車種は1セット10,000円を超えることもあります。命にかかわる部分ですので、交換のタイミングはしっかり守りましょう。
交換費用を安くする方法
ブレーキパッドの交換にかかる費用を少しでも抑えたい方は、以下の方法を参考にしてください。
①社外品のブレーキパッドに交換する
社外品のブレーキパッドは純正品に比べ安価なものが多く、性能も同等あるいはそれ以上の製品も存在します。
また、ブレーキパッドはブレーキを踏んだ際の反応(ブレーキフィール)が製品ごとに異なるので、社外品のブレーキパッドを試してみたい方にもおすすめです。
②ディーラーではなくカー用品店やガソリンスタンドに依頼する
ブレーキパッド交換に限らずディーラーの工賃は高い傾向にあり、店舗によってはカー用品店やガソリンスタンドの1.5倍近くになるケースもあります。
カー用品店やガソリンスタンドに交換を依頼する場合は、工賃と実績が納得できる店舗へ依頼してください。
また、キャンペーンやポイント制度を取り入れている店舗もありますので、うまく活用してお得に交換しましょう。
③車検や12ヶ月点検時にブレーキパッドを一緒に交換してもらう
車検や12ヶ月点検時にブレーキパッドを一緒に交換してもらうと、工賃を節約できます。
交換は車をリフトアップしホイールを外す必要がありますが、車検や点検時でも同様の作業を行うため、一緒に交換してもらうことで作業時間や工程をカットできるのです。
交換タイミングが車検や12ヶ月点検に重なる方は、一緒にブレーキパッドの交換を依頼してみてください。
ブレーキパッドの交換にかかる時間
ブレーキパッドの交換にかかる時間はディーラー・カー用品店・ガソリンスタンド問わず、30分〜1時間程度です。
ただし、混雑しやすい休日や繁忙期は作業時間が大幅にズレ込みますので、事前に予約をして時間のロスを少なくしましょう。
ブレーキパッドを自分で交換する方法
ブレーキパッドは自分で交換できますが、手順を間違えると同乗者や歩行者などを危険に晒します。そのため、基本的には業者にお願いすることを推奨します。
ここではあくまで参考として、どういった作業をしているのかということを紹介します。
用意する物
新しいブレーキパッドはカー用品店やインターネットショップで購入できます。
購入の際は必ず適合車種を確認し、自分の車が該当しているかチェックしてください。
- 十字レンチ
- ジャッキ
- 作業手袋
- コンビネーションレンチ
- トルクレンチ
- C型クランプ
手順
ブレーキパッドの交換手順は下記の5ステップで行いましょう。
- タイヤ・ホイールを取り外す
- ブレーキキャリパーを開ける
- 新しいブレーキパッドに交換
- 逆の手順で元に戻す
- 確認作業
1.タイヤ・ホイールを取り外す
まずはエンジンルーム内のブレーキフルードの残量を確認します。ブレーキパッドが摩耗していれば、フルード液面はLOWER(下限)に近いところにあるはずです。
ですが、フルードの液面がLOWERに近くない場合もありますので、出来ればフルードを予め抜いておいて、新しいブレーキパット取り付け時のピストン戻しでフルードが溢れないようにすると良いでしょう。
その後、ジャッキで車体を持ち上げタイヤ・ホイールを取り外します。
2.ブレーキキャリパーを開ける
ブレーキキャリパーの下側のボルトを取り外し、ブレーキキャリパーを上に持ち上げます。
3.新しいブレーキパッドに交換
古いブレーキパッドを取り外し、ブレーキキャリパーのピストンにC型クランプをセットしてください。次にC型クランプを締め付け、ピストンを引っ込めます。
古いブレーキパットが摩耗している分ピストンが出ている状態ですが、ピストンを引っ込めておかないと新しいブレーキパッドは入りません。
新しいブレーキパッドを取り付けたらブレーキキャリパーを戻し、ボルトを締め付けて固定します。
4.逆の手順で元に戻す
タイヤ・ホイールを車体に組み込みホイールナットを仮締めします。ジャッキを下ろしたら完全にホイールナットを増し締めしてください。
5.確認作業
エンジンルーム内のブレーキフルード量を確認し、UPPER(上限)とLOWER(下限)の間にフルードの液面があれば大丈夫です。
ですが、この状態で車を走らせても全くブレーキは効きません。
エンジンを始動していない状態でブレーキペダルを30回くらい踏み込むと、ピストンがブレーキパッドを押し込みブレーキペダルの感覚が戻っていきます。
この作業は車を走行させる前に、必ず行ってください!
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ブレーキパッド以外にもブレーキ周りで整備したほうがいい箇所
ブレーキパッド以外にも、以下のパーツは整備したほうがいいでしょう。
- マスターシリンダー
- キャリパー
- ブレーキローター
- ブレーキフルード
ブレーキフルードは消耗品のため、定期的な交換が必要です。
劣化した状態で使い値付けてしまうと、ブレーキフルードの沸点が下がってしまい、ペーパーロック現象を引き起こしてしまい、ブレーキが効かなくなってしまいます。
基本的には車検整備時にチェックするため、問題があれば交換してもらえるので、心配はいりません。
ただし、ブレーキフルードが茶色や黒に変色している場合は、車検前でも交換したほうが良いでしょう。
ブレーキパッド交換は国の認証・指定工場でしか整備できない
ブレーキ交換やブレーキフルード交換をショップや工場に依頼する際は、国の認証を受けているか確認しましょう。
車のパーツの中でも、ブレーキやエンジン、サスペンションなど重要なパーツの分解や整備は、国から認証、指定工場で行わなければいけません。
ほとんどの大手カー用品店やカーディーラーは国から認証されているため、問題ありません。
だが、小さなショップなどは国の認証を受けずに分解整備を行っていることも稀にあります。
点検整備記録簿や分解整備記録簿に「認証整備工場名」と「認証番号」の両方が記載されていない場合は、国からの認証を受けずに分解整備を行っている可能性があります。
違法な運営方法なので、安全性が必ずしも保証されないため、避けたほうがいいでしょう。
見分け方として、「認証整備工場の標識」が掲載されていれば問題なく整備を任せられるショップだとわかります。
ブレーキパッドを自分で交換するときの注意点
ブレーキパッドを自分で交換するときは、次の2つの注意点を必ず守ってください。
また、点検整備記録簿への記載が必要不可欠です。
試しに走行してみる
ブレーキパッドの交換とブレーキペダルの動作確認が終わったら、必ずテスト走行をしてください。
安全なところで徐行しながら、改めてブレーキの効き具合を確かめます。
しっかり停まれるかはもちろん、以前と同じ踏み込み量でブレーキがかかるか確認しましょう。
少しでも違和感を抱いたらレッカーサービスなどを利用して、近くの整備工場等で検査してもらうことをおすすめします。
交換できるのは本人のみ
ブレーキパッドの交換は自分の車のみ可能で、他人のブレーキパッドの交換は法律により禁止されています。
たとえ整備資格を持っていてもブレーキパッドの分解・交換は、分解整備項目に該当するため、認証工場や指定工場内で行わなければならないので注意が必要です。
まとめ
ブレーキパッドは命にも関わる車にとって大切な部品ですが、自分で交換のタイミングを見分けることができます。
また、自分でブレーキパッドの交換もできますが基本的には業者の方に依頼することを推奨します。
ぜひ、この記事を参考にしてブレーキパッドのメンテナンスを怠らず、同乗者や歩行者たちを安心させられる車に仕上げてください。