車検切れの車に乗っている際、事故を起こしてしまったらどうなるのでしょうか?
実は、車検切れの車を公道で運転する場合の罰則・罰金と、車検切れの車を運転して事故を起こした場合の罰則・罰金は異なります。
当然、後者の罰則・罰金が重く、経済的・社会的なダメージは大きなものになるでしょう。
本記事では、車検切れの車に乗って事故を起こした場合の罰則・罰金について詳しく解説するために、車検切れの車を公道で運転した場合と事故を起こした場合の両方の罰則・罰金について詳しく説明します。
車検切れの車を所有している、もしくは車検が切れそうな方は、ぜひ参考にしてください。
目次
車検切れの車の割合と国土交通省の取り締まりの強化について
平成28年(2016年)度の調査結果によると、車検切れの車の割合は0.27%です。
このうち、登録車は0.19%、軽自動車は0.41%でした。
割合としては低いものの、札幌市・広島市・松山市・福岡市・那覇市の一部地域での調査結果です。
詳しく調査すれば、車検切れの車の割合が変わる可能性もあります。
これを受けて、国土交通省は無車検車両の使用者に対し注意喚起を行っています。
さらに以下の5つも実施して、取り締まりを強化しているようです。
- 車検切れ1年以内の車両の使用者に対して無車検運行の注意喚起ハガキを送付
- ナンバー読み取り装置を使用した調査
- 無車検・無保険車通報窓口に通報の合った車両に対し注意文書を送付
- 警察と連携して実施する街頭検査等の際に無車検車両運転者に対し直接指導
- 車検ステッカーを視認性の高いものに変更
参考:国土交通省「無車検車両の使用者に対し注意喚起を行っています」
車検切れの車で公道を走ったときの罰則・罰金
車検切れの車で公道を走行した場合、道路運送車両法に基づいて罰則が科せられます。
車検切れと自賠責保険切れの場合では内容が異なるため、それぞれ解説します。
車検切れの場合
車検切れの車を公道で運行した場合、道路運送車両法第58条に違反する行為とされ、同法の第108条に基づく処罰が科せられます。
違反点数・罰則と罰金・行政処分の内容は、以下のとおりです。
違反点数 | 6点 |
罰則と罰金 | 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
行政処分 | 免許停止(前歴がない場合30日) |
違反点数6点は、免許停止となる点数です。
つまり、車検切れの車で公道を走った場合1度の違反で免許停止となります。
さらに、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるため、経済的なダメージも大きいでしょう。
懲役刑になれば、社会的なダメージも大きくなります。
自賠責保険が切れている場合
自賠責保険が切れた状態で運行すると、自動車損害賠償保障法第5条の違反となります。
自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法で加入が義務付けられている強制保険です。
多くの場合、車検の期限が切れる1か月後に自賠責保険の期限が切れるよう設定されるため、車検を受けない場合自賠責保険も自動的に期限切れとなるケースが多くあります。
もし自賠責保険のみが期限切れとなってしまうと、道路運送車両法第86条の3の1号によって罰則・罰金が科せられます。
違反点数・罰則と罰金・行政処分の内容は、以下のとおりです。
違反点数 | 6点 |
罰則と罰金 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
行政処分 | 免許停止(前歴がない場合30日) |
車検切れの場合と比べて、懲役期間が長く、罰金の額も高いことが特徴です。
違反点数も6点のため、1度の違反で免許停止となってしまいます。
車検・自賠責保険ともに切れている場合
車検切れ・自賠責保険切れの車を公道で運行した場合、2つの違反行為を同時に犯したとして罰則がさらに重くなります。
違反点数 | 6点 |
罰則と罰金 | 1年6か月以下の懲役または80万円以下の罰金 |
行政処分 | 免許停止(90日) |
違反点数は変わりませんが、1度の違反で免許停止になる点数です。
行政処分については、車検切れ・自賠責保険切れの場合に1か月プラスして90日間免許停止となります。
また、罰則は1年6か月の懲役または80万円以下の罰金と、車検切れ・自賠責保険切れの罰則・罰金をそれぞれ足した期間と金額になっています。
自賠責保険の期限は車検の期限から1か月後に切れるようになっているケースが多いです。
そのため、車検切れから1か月以上たってしまった場合は、公道を走らずに車検に通しましょう。
車検切れの車で交通事故を起こしたときの罰則・罰金
車検切れの車で公道を走る場合と、交通事故を起こしたときでは罰則・罰金が異なります。
車検切れでも免許停止となりますが、さらに重い罰則が科せられる可能性が高いです。
懲役刑・罰金
車検切れの車で交通事故を起こすと、運転運送車両法や自動車損害賠償責任保険法に基づく罰則が科せられるだけではありません。
人身事故によって死傷させた場合には、危険運転致死傷罪や過失運転致死傷罪に問われる可能性もあります。
危険運転致死傷罪 | 人身事故の場合…15年以下の懲役刑 死亡させた場合…1年以上の有期懲役 |
過失運転致死傷罪 | 7年以下の懲役もしくは禁錮
または100万円以下の罰金 |
※有期懲役…期限が定められた懲役刑。最短1か月、最長20年の範囲で刑務所に収監される。
車検切れにおける罰則や対処方法を知りたい方は「
車検切れを徹底解説|罰則・運転した場合・なぜバレるか・対処方法など
車検切れの車で公道を走行した場合、罰則があります。万が一、車検が切れてしまった場合はどうすればいいのでしょうか。今回の記事では、車検切れの車を運転した場合の罰則や、車検が切れてしまった後、更新する方法などを紹介します。
https://seibii.co.jp/blog/contents/shaken_expiration

免許停止処分・免許取り消し処分
車検切れの車で事故を起こした場合、罰則として免許停止処分が下されることがあります。
また、重大な違反や車検切れでの運転をくり返して悪質だと判断されれば、免許取り消し処分となる可能性も高いです。
免許停止処分となると、一定期間免許を取得できない「欠格期間」が発生します。
運転免許がないと運転できないため、普段の生活に車が欠かせない人にとっては、かなり不便になってしまうでしょう。
さらに、一時停止違反や信号無視もあればさらに罰則が厳しくなるほか、人身事故で重傷を負わせたり過失の度合いが高かったりすれば、自動車運転致死傷処罰法による罰則が加わることもあります。
車検切れの車での事故における保険適用の有無
車検切れで事故を起こした場合、気になるのが保険適用の有無です。
強制保険である自賠責保険はもちろん、任意保険に加入している場合は適用されるのでしょうか。
自賠責保険
車検切れの場合、自賠責保険切れとなっているケースも多いです。
そのため、車検切れ・自賠責保険切れで事故を起こした場合、損害額は自己負担となります。
自賠責保険が適用される場合、人身事故に対する賠償は傷害が最大120万円、後遺障害部分には75万~4000万円と賠償額が決められています。
しかし、自賠責保険が切れている場合は保険が適用されないため、かなりの負担額になるでしょう。
任意保険
車検切れの車で交通事故を起こした場合、任意保険は自賠責保険が有効でない状態でも一部適用されるケースがあります。
しかし、多くの場合は自賠責保険が有効であることが条件に含まれているため、保険金が払われません。
そのため、任意保険の期限が切れていなくても自賠責保険の期限が切れていることで、事故における損害をすべて自己負担しなくてはならなくなります。
【懲役・罰金以外】車検切れで事故を起こしてしまった際のリスク
車検切れの車で事故を起こすと懲役・罰金が科せられます。
しかし、リスクはそれだけではありません。
罰則・罰金に付随して、経済的・社会的なリスクを背負う可能性もあります。
経済的なリスク
車検切れで事故を起こしてしまうと、まず懲役や罰金の刑事罰だけでなく、経済的なリスクが大きいです。
なぜなら、保険が適用されず自己負担が発生するためです。
具体的には、相手方への賠償金、車両修理費用、医療費などが全て自己負担となります。
例えば、相手の車が高級車であった場合、その修理費用は数百万円に達することもありますし、被害者が重傷を負った場合、医療費や慰謝料も高額になる可能性もあるでしょう。
このような経済的リスクを避けるためにも、定期的な車検の実施は非常に重要です。
社会的なリスク
車検切れで事故を起こしてしまうと、懲役や罰金の刑事罰に加えて、社会的なリスクも非常に大きいです。
まず、信用が大きく損なわれることが考えられます。
事故を起こした事実が公になると、職場や地域社会での評価が低下し、仕事を失う可能性もあるでしょう。
具体例として、会社員が車検切れで事故を起こした場合、その無責任さが問題視され、解雇や降格といった処分を受けることがあります。
また、家庭内でもトラブルが生じるかもしれません。
家族や友人との信頼関係が揺らぎ、孤立するリスクもあります。
さらに、事故によって相手方に重傷を負わせた場合、その責任が社会的に非難され、メディアによる報道で一層の社会的圧力を受けることも考えられるでしょう。
結論として、車検切れでの事故は社会的信用を失墜させ、多くの社会的リスクを伴うため、定期的な車検の実施は必須です。
車検切れの車に乗って「もらい事故」に遭った場合はどうなる?
車検切れの車に乗って「もらい事故」に遭った場合、駆け付けた警官に運転免許証・車検証・自賠責保険証の提示を求められて車検切れが発覚するケースもあります。
この場合修理代や罰金・罰則はどうなるのか解説します。
車の修理代は?
そもそも、もらい事故とは以下のように被害者に過失が認められない事故のことです。
- 停車中に後ろから追突
- 対向車がセンターラインを越えて正面衝突
- 青信号の交差点を進んでいたら赤信号で侵入してきた車が衝突
被害者に過失がないため、車検切れであっても修理代やケガの治療費などが請求できます。
ただし、物損の場合は原則として慰謝料の請求は認められません。
人損であれば休業損害やケガを負ったことに対する慰謝料を請求できますが、物損の場合は精神的苦痛などがともなわないため、慰謝料の請求はできません。
罰則・罰金はある?
もらい事故であっても、車検切れの車を公道で運転したことに変わりはありません。
「車検切れの車で公道を走ったときの罰則・罰金」で説明した罰則・罰金が科せられます。
車検切れの車での事故に関するよくある質問
車検切れの車での事故に関しては、以下のような質問がよくあります。
一つひとつ丁寧に回答するため、不安がある方は参考にしてください。
車検切れはなぜバレるの?
車検切れがバレるパターンはいくつかあります。
- 交通違反・事故・故障
- 一般人による通報
- 検問や見回り
交通違反や事故の処理中に車検証や自賠責保険証の提示を求められて発覚することや、ガソリンスタンドの店員や通行人などによって通報されること、検問や見回りでバレるパターンが多いようです。
ただし、交通違反や事故、検問以外の場合であれば、すぐに違反とはならない可能性があります。
それは停車していて運転をしていないケースです。
そもそも、車検切れの車が違反とされるのは公道で運転した場合です。
つまり、運転していなければ違反になりません。
「車検が切れたから自宅に置いて動かしていない」
「抹消登録する予定で車検切れの車を保管している」
このようなパターンであれば、注意されることはあるもののすぐに逮捕とはならないでしょう。
車検切れで事故を起こした場合の過失割合は?
車検切れで事故を起こした場合、過失割合への影響はありません。
その理由は、車検切れは事故の原因とは直接的に関係のないことであるからです。
しかし、車検を実施していないことによって整備不良となり、それが事故の原因と判断された場合は、過失割合に影響を及ぼすこともあります。
事故相手が車検切れ・自賠責保険切れのときはどうなる?
事故相手が車検切れ・自賠責保険切れの場合、支払能力がないことを理由に修理代などがきちんと支払われない可能性があります。
「相手に支払い能力がなかったら過失がなくても泣き寝入りするしかないのか」
このように思われるかもしれませんが、そうではありません。
自賠責保険が切れていた場合は、被害者を救済する政府保障事業が利用可能です。
加害者の代わりに国土交通省がお金を払ってくれる制度であり、被害者から保険会社へ請求書類を提出すると、国土交通省から賠償金が支払われます。
なお、政府保障事業の利用・請求は、保険代理店では受け付けていません。
直接、損害保険会社(共済組合)の窓口に請求しましょう。
政府保障事業の詳しい内容や受付窓口を知りたい方は、国土交通省「損賠賠償を受けるときは?」をご覧ください。
車検切れの車を車検に通すにはどうしたらよい?
車検切れの車を車検に通すには、仮ナンバーを取得して動かすしかありません。
車検切れの車は公道を走らせることができないため、車のレッカー移動も不可です。
しかし、仮ナンバーを取得する時間がなかったり、やり方がわからなかったりしてなかなか車検に通せない方もいるでしょう。
そのようなときは、出張車検のセイビーがおすすめです。
出張車検のセイビーなら、車検切れの車両でも仮ナンバー取得等もすべて含めて対応可能です。
各種書類を準備して仮ナンバーを取得して、車検切れ車両を対応いたします。
まとめ
車検切れの車で公道を走ったときの罰則・罰金、事故を起こしたときの罰則・罰金がわかりました。
車検切れの車を公道で走ると、免許停止・懲役・罰金・行政処分が科せられます。
これらは経済的にはもちろん、社会的リスクもかなり大きいです。
車検切れの車で事故を起こすと、さらに重い処分も考えられます。
車検切れだけでなく自賠責保険も切れていれば、請求された賠償額が支払えず、財産を手放すことになるでしょう。
今までの生活を守るためにも、車検切れの車を公道で走らせないでください。
「車の車検が切れてしまった」
「車検切れの車の仮ナンバー取得が難しい」
このように車の車検切れでお困りの方は、出張車検のセイビーにお任せください。
出張で作業させていただくので、車検切れでも安心して車検を取得することが出来ます。
仮ナンバーの取得に必要な書類の準備もすべて対応いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。