こんにちは、seibii自動車整備士の野仲です。
皆さん、クルマで一番重要な部品は何だと思いますか?
そうです、クルマで一番重要な部品は「タイヤ」です。
理由はとてもシンプルで、地面と唯一接触しているのがタイヤだからです。
自動車が前に進むも止まるもタイヤ次第というわけです。
タイヤと地面が接触している面積の合計はハガキ1枚分と言われます。そんなわずかな面積だからこそタイヤの性能は重要になります。
今回は、タイヤの種類とタイヤの役割をご紹介いたします。
タイヤの種類
タイヤは用途によって特徴が分かれており、いくつかの種類に分類できます。
ここでは、シーズン別と機能別という2つの括りに分けて、様々なタイヤの種類を見ていきましょう。
シーズン別のタイヤの種類
サマータイヤ
「サマー」という名前はついているものの、一般的なノーマルタイヤのことを指し、季節を問わず使うことができます。
7度を超える気温のもとでベストな走行性能を保ち、乾いた路面・濡れた路面の両方で乗り心地と安定性に優れています。
しかし、サマータイヤのゴムは気温の低下によって硬くなってしまう性質を持つため、冬場の凍った路面や雪道ではグリップ力が失われ、滑りやすく危険です。
スタッドレスタイヤ
寒い冬用のタイヤで、グリップ性能が高く、凍結・積雪した道路を走るのに特化しています。
雪や凍結した道路の上を走る際に滑らないように、スタッドレスタイヤの溝は通常のタイヤより深くなっています。
また、サイプと呼ばれる浅い切れ目が細かく入っており、凍った路面でもスリップしない工夫がなされているのです。
オールシーズンタイヤ
サマータイヤとスタッドレスタイヤの特性を併せ持った全天候型のタイヤで、季節を問わず使うことができます。
しかし、サマータイヤ、スタッドレスタイヤと比較すると、性能が劣るところがあります。
雪道では、サマータイヤと比べるとオールシーズンタイヤはグリップ力に優れており、多少の降雪や積雪には有効ですが、スタッドレスタイヤに比べると雪道での性能は劣ります。
また、一般的なドライ路面・ウェット路面では、オールシーズンタイヤはスタッドレスタイヤより優れていますが、サマータイヤには劣ります。
機能別のタイヤの種類
チューブタイヤ
タイヤの中にチューブが入っているタイヤです。自転車のタイヤをイメージしてもらうと分かりやすいと思います。
チューブタイヤのメリットはタイヤ本体や自動車のホイールを損傷しても、中のチューブに損傷がなければ使用できるということです。
価格が安くメンテナンス性も良いことから、トラックやバスなどに使用されます。
チューブレスタイヤ
チューブを使用しない代わりにタイヤとホイールを密着させて内部の空気を保つタイプのタイヤになります。
走行中にくぎなどが刺さっても急激に空気が減ることは無く、チューブタイヤに比べて安全性が高いと言えます。
近年の乗用車はチューブレスタイヤとなっています。
コンフォートタイヤ(標準タイヤ)
コンフォートタイヤとは、快適性と乗り心地を追求したタイヤです。
特徴としては、静粛性に優れているため走行中のノイズが抑えられ、走行時の振動も軽減するので乗り心地の良さに繋がっています。
また、ウェットグリップ性能に優れているので濡れた路面でも安定感があります。
コンフォートタイヤは、主要メーカーではほとんどが「低燃費タイヤ」として販売されており、燃費性能も高いことは魅力です。
一方で価格が高く、グリップ力や高速走行時の安定性ではスポーツタイヤに劣るところが弱点です。
オールテレーンタイヤ
オールテレーンタイヤは、日本語では「全地形型タイヤ」とも呼ばれ、四輪駆動車向けのタイヤです。
舗装された道路を安定して走るオンロード性能だけでなく、未舗装の荒れた路面を走るオフロード性能が高められており、砂利道や泥道のような悪路でも走ることができます。
オフロードを走る四輪駆動車向けのタイヤとして使われることが多いです。
剛性とグリップ性能に優れているため、浅い雪であれば雪道でも走行することができますが、凍結した道路は苦手でスタッドレスタイヤの安定性には劣ります。
ハイウェイテレーンタイヤ
オールテレーンタイヤの、オンロード性能を高めたタイヤです。
乗り心地と静粛性が高められているため、高速道路を走行する際のノイズを軽減し、長時間の移動や街を走行する場合でも、より快適で安定した乗り心地となっています。
街中での走行が多いものの、オフロードでの走行の機会がある人におすすめです。
マッドテレーンタイヤ
オールテレーンタイヤの、泥やぬかるみを走るためのオフロード走行時の性能を高めたタイヤです。オフロードレースやアウトドアレジャーでオフロードを走る機会が多い人に向いています。
スポーツタイヤ
スポーツタイヤというとレース用のタイヤを思い浮かべる方も多いと思いますが、公道を走ることを前提とし、スポーツドライビング向けに設計されたタイヤです。
大きな特徴としては、グリップ性能に特化し、走行性能が高いことにあります。
レーシングカー用のタイヤの技術を取り入れ、走りやテクニックを追求したタイヤです。
また、スポーツタイヤは静粛性や燃費の性能については他のタイヤに劣る面もあります。
リスクを伴う面も持ち合わせており、中・上級者向けのタイヤと言えるでしょう。
ランフラットタイヤ
くぎなどが刺さって完全に空気が抜けてしまっても、一定の速度なら走行が可能なタイヤです。
他のタイヤに比べるとタイヤの剛性が高く、タイヤのみで自動車の重量を支えることができます。
高級車に採用されることが多いですが、価格はほかのタイヤに比べて高くなっています。
シーリングタイヤ
シーリングタイヤは、パンクしたり釘が刺さったりすることがあっても走行可能なタイヤです。
同じくパンクしても走行できるランフラットタイヤは、ノーマルタイヤと比較した際に、乗り心地がゴツゴツとしていますが、シーリングタイヤは一般のタイヤと同じ構造なので、サイドウォールの硬さはノーマルタイヤと変わりません。
また、ランフラットタイヤほどの重量増加にならず、直径5mm以内のトレッド部の穴をシーラント剤が塞ぐことで、運転を続けることが可能になります。
一方、トレッド面以外のダメージには弱い点は検討する必要があります。
エコタイヤ
エコタイヤは低燃費タイヤとも呼ばれ、燃費性能に優れたタイヤです。
転がり抵抗を抑えることで低燃費性を高めるとともに、ウェットグリップ性能の基準値を満たし、安全性が保証されたタイヤのことを指します。
転がり抵抗を抑えると、タイヤが回転しやすくなる反面、グリップ力も低下する傾向にあります。
そこで、タイヤの性能の等級制度であるグレーディングシステムによって、d以上と判断され、ウェットグリップ性能が保証されたものがエコタイヤとして販売されています。
応急タイヤ
自動車に搭載している応急用タイヤです。通常のタイヤよりも幅が狭くなっており、車両に搭載してもスペースを取らないようになっています。
「テンポラリータイヤ」や「テンパータイヤ」とも呼ばれています。
近年の自動車には収納スペースの確保や燃費向上のための軽量化を目的として、応急用タイヤが載せられていない車両も多くあります。その代わりにパンク修理キットが車両に装備されています。
タイヤの役割
タイヤはクルマと地面をつなぐ唯一の部品です。そんなタイヤには4つの役割が与えられています。
1.荷重を支える
2.動力を伝える
3.衝撃を和らげる
4.方向を転換する
これらの役割を評価するために、タイヤ公正取引協議会では12の項目でタイヤの性能を評価しています。
- 転がり抵抗
- 燃費
- 騒音
- 車外(通過するときの騒音)
- ロードノイズ(公道での騒音)
- パターンノイズ(タイヤ本体が出す騒音)
4.制動
- ドライ
- ウェット
- 雪上
- 氷上
- 摩耗
- 偏摩耗
- ハイドロプレーニング
- 突起乗り越し
- 平均LAP、最速LAP(プロドライバーによるサーキット走行)
- 加速タイム
- 操縦安定性(レーンチェンジ、ヨーレイト)
- 操舵角
タイヤに起こる不具合現象
タイヤに起こる不具合の現象では主に2つあります。これらの不具合現象は走行中の自動車にとっては危険なものなります。
きちんとメンテナンスを行い、注意して走行することで回避することができます。
1.スタンディングウェーブ現象
タイヤの表面が波打つ現象をスタンディングウェーブ現象と言います。高速走行を行ったときに発生しやすく、タイヤの歪みが限界を超えるとバースト(タイヤの破裂)を引き起こします。
空気圧の低下により引き起こされるので、こまめに空気圧を適切に保つことでスタンディングウェーブ現象は回避することができます。
2. ハイドロプレーニング現象
水の溜まっている道路を高速で走行するときに、水上を滑走する状態になってしまうことハイドロプレーニング現象と言います。
自動車の操舵が利かなくなってしまうので大変危険です。
タイヤの溝が少ない状態で水たまりを走行するとハイドロプレーニング現象が起こりやすくなります。