エンジンが動き出すきっかけを与えるセルモーター。
タイヤやバッテリーなどと比べると交換頻度が少ない部品ですが、故障するとエンジンが動かなくなるため寿命や状態に合わせて交換する必要があります。
そんなセルモーターはどのくらいで交換が必要なのでしょうか。
今回の記事では、セルモーターの交換目安や交換方法、費用をご紹介します。
目次
セルモーターとは
![]()
セルモーターとは、エンジン始動の際にエンジンに動き出すきっかけを与える部品です。「セルモーター」「スターターモーター」「セル」のように三種類の呼び方があり、すべて同じ部品を指します。
走行中のエンジンは吸気・圧縮・膨張・排気の4工程を繰り返し走行に必要な動力を生み出していますが、止まっている状態から動き出すためには外からの力が必要です。
![]()
この外からの力をエンジンに与えるのがセルモーターの役割で、セルモーターは上の図のように、エンジンとトランスミッションのつなぎ目あたりにあります。キーを回すもしくはスタートボタンを押すことを合図にバッテリーからセルモーターに電力が供給され回転を始めます。
回転を始めたセルモーターはエンジンの内部にあるピニオンギアと噛み合い、クランクシャフトを回転させます。こうして停止状態のエンジンが動き出すのです。
セルモーターが故障した場合には、何度も始動しないとエンジンがかからない・全く車が動かないなどの不具合がでることも。
いつもと違う症状を感じたら早めに交換や修理を行う必要があります。
セルモーターの交換時期はいつ?「15年15万キロ」を基準にすべき理由
![]()
セルモーターの寿命は使用開始から15年もしくは走行距離15万km程度とされています。
寿命目安が近くなったら予防的に交換しておくと安心でしょう。
長距離走行が少ない車はエンジンの始動回数が多くなるため、セルモーターの劣化が早い可能性があります。
そのため使用開始から10年もしくは10万km以上走行したら交換を検討した方がいいでしょう。
また、次のような症状が出ている場合はセルモーターにトラブルが発生しているかもしれません。
【セルモーター故障の前兆】
- エンジンの始動に時間がかかる
3~4秒ほど時間がかかるようになった - セルモーターの音が小さくなった
低くて重苦しい音がするようになった - 「キュルキュル」という回転音がいつもと違う
「シュン……シュン……シュン…………ブォン!」
上記のような前兆が出たら、完全にセルモーターが動かなくなる前に交換を行いましょう。
セルモーターの寿命を伸ばすには
使用開始から15年、もしくは走行距離15万km程度が寿命とされるセルモーターですが、車の使い方によっては早く劣化が進む場合があります。
「少しでも長く使いたい」という方は次の3つに注意しましょう。
- 信頼性の高い純正品やリビルト品を使用する
- セルモーターを適切に回し切り、始動後はすぐ離す
- 異常を感じたらすぐに点検を行う
純正品や高品質なリビルト品は、内部のブラシやギアの耐久性がメーカー基準で最適化されています。安価すぎる粗悪な社外品は、耐熱性や精度が低く、早期故障や周囲の電装系へ悪影響を及ぼすリスクがあります。長期的な維持を考えるなら、保証がしっかりした信頼できる部品を選ぶことが、結果的に寿命を延ばす最も確実な投資となります。
また中途半端なクランキングは、エンジンが始動できず再始動を繰り返すことになり、モーターへの負荷を増大させます。逆に始動後も回し続けると、高回転するエンジンに引きずられて内部が異常加熱し、焼き付きの原因になります。しっかりとセルモーターを回し切り、エンジンが始動したらすぐに手を離すよう心がけてください。短すぎず、長すぎず適切なタイミングで手を離すことが大切です。「一発で確実に始動させ、かかった瞬間に指を離す」というメリハリのある操作が、内部パーツの摩耗を最小限に抑えるコツです。
「いつもと音が違う」「エンジンがかかりにくい」と感じた場合はなるべく早く整備工場やディーラーに点検を依頼しましょう。回転が重い、始動に時間がかかるといった予兆は、内部ブラシの摩耗や潤滑不足のサインです。早期にメンテナンスを行なえば、ブラシなど内部部品の交換で済む可能性がありますが、そのまま使い続けると内部でショートを起こしたり、エンジン側の歯車を傷めるなど、被害が拡大して高額な修理に繋がりかねません。軽微な段階で分解清掃や消耗部品の交換を行う「予防整備」を徹底することで、セルモーター本体の寿命を最大限に引き延ばすことが可能です。
セルモーターが回らない原因
![]()
セルモーターが回らない原因としては、次の3つが考えられます。
- バッテリー上がり
- セルモーターの故障
- イグニッションスイッチの故障
セルモーターが回らない不具合の原因として特に多いのがバッテリー上がりです。
エンジンがかからない場合には、まずバッテリーを疑いましょう。
セルモーターはバッテリーから供給される電力をもとに回転を始めるため、バッテリーにトラブルが発生している場合には正常に動きません。
バッテリーに問題がない場合は、セルモーターの故障が考えられます。
バッテリー上がりは車全体の電力不足が原因のため、ヘッドライトの減光やパワーウィンドウの鈍化など、あらゆる電装品の動きが弱々しくなります。
対してセルモーターの故障は、ライトや計器類は正常に動作しているにもかかわらず、エンジン始動の操作にだけ全く反応しなくなるのが特徴です。
セルモーターの内部には電気を流すためのブラシが取り付けられており、このブラシは徐々に摩耗していきます。摩耗が進むとうまく電流をながせなくなり、エンジンがかからない・かかりにくいといったトラブルの原因に繋がります。
バッテリーとセルモーターのどちらにも原因がない場合は、イグニッションキーやスイッチが故障しているかもしれません。
車の始動時には、スイッチを押すもしくはキーを回すことを合図にバッテリーからセルモーターへ電力を供給しますが、この合図が正常に送られない場合にはエンジンがかからなくなります。
セルモーターが回らないときにチェックするポイント
セルモーターが回らない場合には次の3ステップで確認しましょう。
- エンジンがかかる状態になっているか
- バッテリーの電圧は正常か
- ガソリンは十分にあるか
セルモーターが回らない状態の場合、意外とあるのが操作ミスです。
オートマ車の場合は、シフトレバーが「P」の位置にあり、しっかりとブレーキを踏みながらエンジンの始動をしているかを確認しましょう。
マニュアル車の場合はクラッチをしっかりと踏めていない可能性もあります。
操作ミスがなければガソリン量やバッテリーの状態が正常かを確認してください。
操作方法・バッテリー電圧・ガソリン量のいずれも問題がない場合は、セルモーターやイグニッションスイッチにトラブルが発生している可能性があります。
エンジンがかからない場合の対処方法
![]()
バッテリー上がりが原因でエンジンがかからない場合は、他の車から電気を分けてもらう「ジャンピングスタート」が可能です。
ジャンピングスタートの手順は以下2つです。
1.ケーブルの接続
2.エンジンの始動と取り外し
まず、赤のケーブルを「故障車のプラス端子→救護車のプラス端子」の順で繋ぎ、続けて黒のケーブルを「救護車のマイナス端子→故障車のエンジン付近の未塗装の金属部」へ確実に接続します。
次に、救護車のエンジンをかけて回転数を少し高めに保った状態で、故障車のエンジンを始動させ、無事にかかったら火花が飛ばないよう繋いだ時と「逆の順序」で丁寧にケーブルを外します。
ジャンピングスタートをするには、電気を分けてくれる救護車とバッテリー同士をつなぐケーブルが必要となりますので、あらかじめ車に積んでおくと安心です。
またセルモーターが原因でエンジンがかからない場合の対処法としては、セルモーターを直接棒などで叩く方法があります。
ただしこの方法はあくまでも応急処置となりますので、エンジン始動後すみやかにディーラーや整備工場等で点検・交換を行なってください。
エンジンがかからない場合の対処法として「押し掛け」も有名ですが、この方法はオートマ車では使用できません。
さらに2人以上の力が必要となりますので、あまり現実的ではないと考えたほうがいいでしょう。
セルモーターを自分で交換できる?DIYの手順と難易度
「工賃を浮かせて自分で直してみたい」と考える方も多いかもしれませんが、結論からお伝えすると、セルモーター交換のDIY難易度は非常に高いです。
オイル交換やバッテリー交換とは異なり、エンジンの深層部にセルモーターがあるため、初心者向けの作業ではありません。ここでは、その難易度の理由と大まかな流れを解説します。
1.DIY交換の難易度
セルモーターは、エンジンとトランスミッションの隙間に潜り込むように配置されています。そのため、作業の難しさは以下の点に集約されます。
作業スペースの狭さ: 上から手が入らない車種が多く、車体をジャッキアップして下から潜り込む作業が一般的です。
電気的なリスク: バッテリーのプラス線が直接つながっているため、手順を誤ると大きなショートを起こし、他の電子機器を破壊する恐れがあります。
固着したボルト: 熱にさらされる場所なので、ボルトが非常に硬く締まっていることが多く、無理をするとボルトをねじ切ってしまうリスクがあります。
2.必要な工具
一般的なドライバーセットだけでは太刀打ちできません。最低でも以下の工具が必要です。
ラチェットハンドルとエクステンションバー: 奥まった場所にあるボルトに届かせるため、長さを延長する棒が必須です。
トルクレンチ: 取り付け時の締め付け不足は振動による脱落を招き、締めすぎは破損を招きます。規定値で締めるためのプロ用工具です。
ジャッキとウマ(リジットラック): 車体の下に入る場合、車載ジャッキだけでは命に関わるため、強固な固定器具が絶対に欠かせません。
3. 交換手順
車種により異なりますが、基本的には以下の4ステップです。
1.バッテリーのマイナス端子を外す: これを忘れると、作業中に火花が散り、最悪の場合車両火災に繋がります。
2.周辺部品の取り外し: セルモーターを見える状態にするため、エアクリーナーボックスやインテークマニホールドなどを外す必要があります。
3.配線と固定ボルトの取り外し: モーターに繋がっている太い電線を外し、本体を固定している長いボルトを慎重に緩めます。
4.新品の装着と復元: 逆の手順で新品を取り付けます。最後に正常にクランキングするか動作確認を行います。
セルモーターは、一度失敗して車が動かなくなると、整備工場までレッカー移動するしかなくなります。また、ボルトを一本折るだけで、修理費が数倍に跳ね上がることも珍しくありません。
「自分の手に負えそうにないな」と少しでも感じた場合は、迷わずプロの整備士に依頼することをおすすめします。 確実な作業と安心を買うという意味では、工賃を支払う価値は十分にあります。
セルモーター交換の方法と費用を比較!
![]()
| 業者 | 部品代の目安 | 工賃の目安 | 合計目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ディーラー | 高め(純正品) | 高め | 5〜7万円 | 品質が安心、割高 |
| カー用品店 | 中程度 | 中程度 | 4〜6万円 | 店舗によって対応差あり |
| 整備工場 | 中~高め | 中程度 | 4〜7万円 | 業者によって差が大きい |
| Seibii | リビルト品 | 出張費込み | 4.4〜6万円 | 自宅まで出張、最短当日 |
セルモーターが故障してしまった場合、交換にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
ここからは業者ごとの費用と特徴をご紹介します。
ディーラー
ディーラーでは専門性の高い整備を受けられるのが特徴です。
使用するパーツもほとんどが純正品のため、交換後にトラブルが発生する可能性は低いと考えていいでしょう。万が一、交換後に不具合が出た場合でも、「部品保証(一般的に1年または2万km前後)」がしっかりと付帯しているため、アフターフォローの面でも非常に安心です。
交換費用は他の業者と比較すると割高で、セルモーター交換の場合は部品代と工賃で5~7万円がかかります。
カー用品店
カー用品店は、店舗数が多く待ち時間も比較的短いという特徴がありますが、セルモーターの交換など高度な作業になると対応できない店舗もあります。
特に輸入車や、セルモーターの配置が複雑で特殊な工具を要する車種の場合は、作業を断られるケースも少なくありません。カー用品店で交換を考えている場合は、事前に対応してもらえるかどうか確認した方がいいでしょう。
価格面ではディーラーよりも安く、セルモーターを交換する場合は4~6万円程度が相場です。
多くの場合、新品よりも安価なリビルト品を選択できるため、修理費用を賢く抑えることが可能です。さらに、独自のポイント還元や会員特典が受けられることも多いため、普段から利用している特定のチェーン店がある方にとっては、実質的なコストをさらに下げられるお得な選択肢となります。
整備工場
整備工場ではセルモーターの交換は得意分野ですが、業者によって設定価格や技術力に差があります。
費用相場は4~7万円程度ですが、依頼先によっては数万円の差が出ることも。事前に費用を確認した方が安心できるでしょう。
一概に「安ければ良い」わけではなく、過去の実績や口コミ、説明の丁寧さなどを踏まえて信頼できる工場を選ぶことが大切です。事前に見積もりを取り、総額だけでなくどのような部品を使うのかまでしっかり確認した上で依頼すると安心です。
Seibii(セイビー)
出張整備に対応したSeibiiにセルモーターの交換を依頼する場合の交換費用は44,000~59,800円です。
※輸入車の場合は部品確認後に金額をご案内させていただきます。
費用には部品代や出張費用も含まれており、後から高額な請求をされる心配もありません。
スマホやパソコンからの予約で自宅や職場に整備士が出張。その場で作業ができますので「なかなか時間が取れない」「車が全く動かない」という方にもおすすめです。
まとめ
消耗部品のひとつであるセルモーター。
使用開始から15年もしくは15万kmと寿命が比較的長い部品ではありますが、万が一故障した場合には車が完全に動かなくなる可能性があります。
異音やエンジンのかかりにくさを感じたらできるだけ早く修理や交換を行うようにしてください。