エンジンが動き出すきっかけを与えるセルモーター。
タイヤやバッテリーなどと比べると交換頻度が少ない部品ですが、故障するとエンジンが動かなくなるため寿命や状態に合わせて交換する必要があります。
そんなセルモーターはどのくらいで交換が必要なのでしょうか。
今回の記事では、セルモーターの交換目安や交換方法、費用をご紹介します。
目次
セルモーターとは
セルモーターとは、エンジン始動の際にエンジンに動き出すきっかけを与える部品です。
走行中のエンジンは吸気・圧縮・膨張・排気の4工程を繰り返し走行に必要な動力を生み出していますが、止まっている状態から動き出すためには外からの力が必要です。
この外からの力をエンジンに与えるのがセルモーターの役割で、キーを回すもしくはスタートボタンを押すことを合図にバッテリーからセルモーターに電力が供給され回転を始めます。
回転を始めたセルモーターはエンジンの内部にあるピニオンギアと噛み合い、クランクシャフトを回転させます。こうして停止状態のエンジンが動き出すのです。
セルモーターが故障した場合には、何度も始動しないとエンジンがかからない・全く車が動かないなどの不具合がでることも。
いつもと違う症状を感じたら早めに交換や修理を行う必要があります。
セルモーターの交換目安
セルモーターの寿命は使用開始から15年もしくは走行距離15万km程度とされています。
寿命目安が近くなったら予防的に交換しておくと安心でしょう。
長距離走行が少ない車はエンジンの始動回数が多くなるため、セルモーターの劣化が早い可能性があります。
そのため使用開始から10年もしくは10万km以上走行したら交換を検討した方がいいでしょう。
また、次のような症状が出ている場合はセルモーターにトラブルが発生しているかもしれません。
【セルモーター故障の前兆】
- エンジンの始動に時間がかかる
- セルモーターの音が小さくなった
- 「キュルキュル」という回転音がいつもと違う
上記のような前兆が出たら、完全にセルモーターが動かなくなる前に交換を行いましょう。
セルモーターの寿命を伸ばすには
使用開始から15年、もしくは走行距離15万km程度が寿命とされるセルモーターですが、車の使い方によっては早く劣化が進む場合があります。
「少しでも長く使いたい」という方は次の3つに注意しましょう。
- 純正品を使用する
- セルモーターは最後まで回し切る
- 異常を感じたらすぐに点検を行う
セルモーターは純正品以外を使用することもできますが、少しでも長く使用したいのであればメーカーが推奨する部品を選びましょう。
リビルト品の場合でも保証が付いているものがほとんどなので万が一交換後にトラブルが発生しても安心です。
またイグニッションキーを回して始動するタイプの車の場合、少しだけセルモーターを回してエンジンをかける人がいますが、この始動方法はセルモーターだけでなくエンジンにもダメージを与える可能性があります。
しっかりとセルモーターを回し切り、エンジンが始動したらすぐに手を離すよう心がけてください。短すぎず、長すぎず適切なタイミングで手を離すことが大切です。
「いつもと音が違う」「エンジンがかかりにくい」と感じた場合はなるべく早く整備工場やディーラーに点検を依頼しましょう。
早期にメンテナンスを行なえば、ブラシなど内部部品の交換で済む可能性がありますが、そのまま使い続けると他の部品にまで影響を及ぼし、セルモーターごと交換が必要になる可能性があります。
セルモーターが回らない原因
セルモーターが回らない原因としては、次の3つが考えられます。
- バッテリー上がり
- セルモーターの故障
- イグニッションスイッチの故障
セルモーターが回らない不具合の原因として特に多いのがバッテリー上がりです。
セルモーターはバッテリーから供給される電力をもとに回転を始めるため、バッテリーにトラブルが発生している場合には正常に動きません。
エンジンがかからない場合にはまずバッテリーを疑いましょう。
バッテリーに問題がない場合は、セルモーターの故障が考えられます。
セルモーターの内部には電気を流すためのブラシが取り付けられており、このブラシは徐々に摩耗していきます。摩耗が進むとうまく電流をながせなくなり、エンジンがかからない・かかりにくいといったトラブルの原因に繋がります。
バッテリーとセルモーターのどちらにも原因がない場合は、イグニッションキーやスイッチが故障しているかもしれません。
車の始動時には、スイッチを押すもしくはキーを回すことを合図にバッテリーからセルモーターへ電力を供給しますが、この合図が正常に送られない場合にはエンジンがかからなくなります。
セルモーターが回らないときにチェックするポイント
セルモーターが回らない場合には次の3つをチェックしましょう。
- エンジンがかかる状態になっているか
- バッテリーの電圧は正常か
- ガソリンは十分にあるか
セルモーターが回らない状態の場合、意外とあるのが操作ミスです。
オートマ車の場合は、シフトレバーが「P」の位置にあり、しっかりとブレーキを踏みながらエンジンの始動をしているかを確認しましょう。
マニュアル車の場合はクラッチをしっかりと踏めていない可能性もあります。
操作ミスがなければガソリン量やバッテリーの状態が正常かを確認してください。
操作方法・バッテリー電圧・ガソリン量のいずれも問題がない場合は、セルモーターやイグニッションスイッチにトラブルが発生している可能性があります。
エンジンがかからない場合の対処方法
バッテリー上がりが原因でエンジンがかからない場合は、他の車から電気を分けてもらう「ジャンピングスタート」が可能です。
ジャンピングスタートをするには、電気を分けてくれる救護車とバッテリー同士をつなぐケーブルが必要となりますので、あらかじめ車に積んでおくと安心です。
またセルモーターが原因でエンジンがかからない場合の対処法としては、セルモーターを直接棒などで叩く方法があります。
ただしこの方法はあくまでも応急処置となりますので、エンジン始動後すみやかにディーラーや整備工場等で点検・交換を行なってください。
エンジンがかからない場合の対処法として「押し掛け」も有名ですが、この方法はオートマ車では使用できません。
さらに2人以上の力が必要となりますので、あまり現実的ではないと考えたほうがいいでしょう。
セルモーター交換の方法と費用を比較!
セルモーターが故障してしまった場合、交換にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
ここからは業者ごとの費用と特徴をご紹介します。
ディーラー
ディーラーでは専門性の高い整備を受けられるのが特徴です。
使用するパーツもほとんどが純正品のため、交換後にトラブルが発生する可能性は低いと考えていいでしょう。
交換費用は他の業者と比較すると割高で、セルモーター交換の場合は部品代と工賃で5~7万円がかかります。
カー用品店
カー用品店は、店舗数が多く待ち時間も比較的短いという特徴がありますが、セルモーターの交換など高度な作業になると対応できない店舗もあります。
カー用品店で交換を考えている場合は、事前に対応してもらえるかどうか確認した方がいいでしょう。
価格面ではディーラーよりも安く、セルモーターを交換する場合は4~6万円程度が相場です。
整備工場
整備工場ではセルモーターの交換は得意分野ですが、業者によって設定価格や技術力に差があります。
費用相場は4~7万円程度ですが、依頼先によっては数万円の差が出ることも。事前に費用を確認した方が安心しましょう。
Seibii(セイビー)
出張整備に対応したSeibiiにセルモーターの交換を依頼する場合の交換費用は44,000~59,800円です。
※輸入車の場合は部品確認後に金額をご案内させていただきます。
費用には部品代や出張費用も含まれており、後から高額な請求をされる心配もありません。
スマホやパソコンからの予約で自宅や職場に整備士が出張。その場で作業ができますので「なかなか時間が取れない」「車が全く動かない」という方にもおすすめです。
まとめ
消耗部品のひとつであるセルモーター。
使用開始から15年もしくは15万kmと寿命が比較的長い部品ではありますが、万が一故障した場合には車が完全に動かなくなる可能性があります。
異音やエンジンのかかりにくさを感じたらできるだけ早く修理や交換を行うようにしてください。