「車検が切れたままの車を運転するとどうなる?」
「車検を受け忘れた場合はどうすればよい?」
このような悩みを抱えていませんか?
車検切れの車で公道を運転する行為は違反となり、免許停止処分や罰金などの罰則対象となる可能性があるため注意が必要です。
もし車検の受け忘れに気づいた場合は自分で運転せずに、車検業者へ依頼を行う必要があります。
そこで本記事では、車検切れ状態の車を運転した場合の罰則やリスク、車検切れに気づいた際の対処法を解説します。
目次
車検切れの車は運転してはいけない!
車検切れの車を運転する行為は道路運送車両法の違反となるため、車検が切れたままの車は公道を運転できません。
これは、道路運送車両法の第58条で以下のように明記されています。
「自動車(国土交通省令で定める軽自動車(以下「検査対象外軽自動車」という。)及び小型特殊自動車を除く。以下この章において同じ。)は、この章に定めるところにより、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならない。」
引用:e-Gov法 昭和二十六年法律第百八十五号 道路運送車両法 第五章 道路運送車両の検査等(自動車の検査及び自動車検査証)第五十八条
この法律に違反してしまうと、罰金や免許停止などの罰則対象となってしまいます。
また、自賠責保険が切れた状態で車を運転する場合は、より重い罰則を受けるため注意が必要です。
車検切れに気づいたら、適切な処置を行いましょう。
車検の有効期間
車検の有効期間は車種によって異なりますが、普通自動車・軽自動車は新車登録から初回が3年で2回目以降が2年と決められています。
車検は満了日前であればいつでも受けられますが、車検満了日の1ヶ月前よりも早く受けると有効期間を満たす前に車検が切り替わるため、前回の車検で支払った費用分を損するおそれがあります。
たとえば、車検満了日が2024年7月1日で、その3ヶ月前の2024年4月1日に受けると次回の車検満了日が2026年4月1日となるため、本来有効な3ヶ月間が無駄になってしまうのです。
そのため、車検は有効期間の1ヶ月前から満了日の間に受けることをおすすめします。
車検を受ける際は車検までの期間が空きすぎず、有効満了日のギリギリにならないようにある程度余裕を持った計画が重要です。
車検切れの車の実態
平成28年に国土交通省が行った「ナンバー読取装置による無車検車両実態調査結果」によると、調査対象者の0.27%の車が車検切れのまま運転している可能性があると公表しています。
仮に現在もこの数値のままであると仮定して現在の国内における自動車保有車両数に当てはめると、令和6年4月現在の自動車保有車両数は約8,000万台のため、そのうち約20万台は無車検車両であると推測できます。
つまり、400台に1台は無車検車ということです。なっていることになります。
【状況別】車検切れの車を運転した場合の罰則
車検切れで車を運転した場合の罰則は、駐車違反やスピード違反などの罰則よりも重い罰を受ける可能性があ
ります。
ここでは、無車検や無保険運転をした場合の罰則について解説します。
車検切れの車で運転した場合
処分の種類 | 処分の内容 |
---|---|
行政処分 | 違反点数6点、30日の免許停止処分(前歴無し) |
刑事処分 | 6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金 |
行政処分は、違反点数6点と、前歴がない人で30日間の免許停止処分を受けます。
過去3年間に違反点数がある方は合計した点数によって免停期間がさらに長くなり、累積で15点以上となると免許取消しとなってしまうため、注意が必要です。
ただし、車検が切れたままの車を駐車場で保管する場合は違反の対象ではありません。
自賠責保険切れの車で運転した場合
処分の種類 | 処分の内容 |
---|---|
行政処分 | 違反点数6点、30日の免許停止処分 |
刑事処分 | 1年以下の懲役、または50万円以下の罰金 |
自賠責保険を更新していない状態で、車を運転する行為は違反です。
違反点数6点で30日間の免停処分、さらに1年以下の懲役または50万円以下の罰金といった車検切れ運転の罰則よりも重い刑事処分が科されるでしょう。
車検切れ・自賠責保険切れの車で運転した場合
処分の種類 | 処分の内容 |
---|---|
行政処分 | 違反点数12点、90日間の免許停止処分 |
刑事処分 | 1年6ヶ月以下の懲役、または80万円以下の罰金 |
車検と自賠責保険の両方が切れた状態で、公道を運転するとさらに重い罰則になります。
自賠責保険は、車検のときに加入手続きを行うため、両方とも切れている可能性が高いです。
行政処分は、違反点数12点で90日間の免停処分となります。
さらに、刑事処分も1年6カ月以下の懲役または80万円以下の罰金と罰則が厳しくなるため、車検切れ・自賠責保険切れに注意が必要です。
車検切れの車を運転して事故が起きた場合のリスク
車検切れのまま車を運転して、事故を起こした場合のリスクを解説します。
物損事故と人身事故で罰則やリスクが異なるため、ここでご紹介するリスクをしっかりと確認して、無車検・無保険運転をしないように注意しましょう。
物損事故の場合
車検切れの車を運転して物損事故を起こした場合は「車検切れで運転した場合の罰則」と同じ処分を受けます。
さらに、自賠責保険切れも起こしている場合は「車検切れ・自賠責保険切れの状態で運転した場合の罰則」を科されるため、基本的に無車検・無保険運転の罰則と同様です。
ただし、事故を起こしたときの状況によって、罰則が追加される可能性もあります。
例えば、一時停止違反・信号無視・飲酒運転などが原因で事故を起こした場合は、道路交通法違反の処分が追加されます。
また、自分に過失があり、相手の車や住宅の壁などが破損した場合は、賠償責任が伴うでしょう。
さらに、車検切れのままで運転して事故を起こすと任意保険を使えないケースもあります。
賠償額を実費で支払う可能性があるため注意が必要です。
人身事故の場合
車検切れで運転して人身事故を起こすと、道路運送車両法による「無車検・無保険運転」の行政処分・刑事処分に加えて、道路交通法・自動車運転死傷行為処罰法の刑事処分を受ける可能性があります。
行政処分は、車検切れ・自賠責保険切れ・その他の道路交通法違反による罰則に加えて、被害者の怪我に応じた事故点数が加算されます。
また、道路交通法と自動車運転死傷行為処罰法に基づいて、危険運転致死傷罪や過失運転致死傷罪などの重い懲罰刑を受ける可能性があるため注意が必要です。
車検切れで運転するとばれる?
車検切れの状態で車を運転する場合、警察とすれ違わなくてもばれる可能性はあります。
「近くの整備工場に運ぶだけ」と安易に運転すると、道路運送車両法違反の罰則を受けるリスクがあるため、車検切れでの運転は絶対にしないようにしましょう。
ここでは、車検切れの運転がばれてしまう原因をご紹介します。
ナンバー読み取り装置で発覚する
ナンバー読み取り装置によって、車検切れがばれる可能性もあります。
日本は「Nシステム」と呼ばれるナンバー読み取り装置を全国の道路に設置しており、それでナンバーをスキャンされると車検切れかどうかが分かってしまうためです。
Nシステムは従来、犯罪車両の追跡をするために設置されましたが、現在はMOTASと連携して、車検切れの車も取り締まっています。
MOTASとは、自動車登録検査業務電子情報処理システムのことで、全国の陸運支局に登録している情報を一元管理できるシステムです。
このように車検切れを取り締まるシステムも設置されているため、公道を運転するとばれる可能性が高いといえます。
事故・交通違反で発覚する
車検が切れたままの車を運転して事故や交通違反を起こすと、車検切れがばれるリスクがあります。
事故や交通違反を起こすと車検証は確認されるため、その際に有効期間も判明してしまうためです。
万が一、人身事故を起こして相手に怪我をさせてしまうと、前述したように重い罰則が科される可能性があるため、注意が必要です。
無車検車・無保険車通報窓口から通報される
「無車検車・無保険車通報窓口」に通報されてばれてしまうケースも考えられます。
無車検車・無保険車通報窓口とは、国土交通省が設置した第3者から通報できる窓口です。
国土交通省は、さまざまな無車検車・無保険車対策を講じているものの、依然としてなくならないことから第3者の協力を得るために設置しています。
車検切れに気づいた場合の対処法
車検切れに気づいた場合の対処法をご紹介します。
車検切れに気づいたら「運転しない」を徹底し、以下の対処法を実施しましょう。
引き取りサービスを利用する
車の引き取りサービスを利用して、車検を行ってくれるディーラーや整備工場などに運んでもらいましょう。
引取りサービス業者では、積載車により車検切れの車を店舗や整備工場まで運んでくれ、そのまま車検も通して車を納車してくれるサービスを行っている業者もあります。
ただし、引き取りサービスや車検を通して納車してもらう際は、費用がかかるため事前に確認しておきましょう。
仮ナンバーを発行する
仮ナンバーを発行してもらい、車検を行う整備工場まで運ぶ方法があります。
仮ナンバーとは自動車臨時運行許可のことで、車検切れの車を整備工場まで運ぶ目的で特例的に運行を許可する制度です。
運行の目的・経路・期間などを役所に申請すれば発行できます。
ただし、あくまでも車検を受けるための臨時のナンバーのため、申請しているルート以外の運転はできない点に注意が必要です。
出張車検を利用する
車検切れに気づいたら、出張車検を依頼する方法もあります。
出張車検とは、自宅や指定した場所に出張し、整備や車検を行うサービスです。
車のある場所にプロの整備士が来てくれるため、車を動かす必要がなく、車検切れで運転するリスクがないため安心して利用できます。
出張車検の「セイビー」では、車検切れの車の点検整備を行い、仮ナンバーの申請や返却などの車検手続きまですべて代行してくれるため、自宅にいるだけで車検が完了します。
無料の電話相談も可能なため、車検切れの車を車検に出したい場合は出張車検の「セイビー」までお気軽にお問い合わせください。
抹消登録をする
しばらく乗っていない車の車検切れを発見した場合は、廃車手続きを行うのも1つの方法です。
廃車とは車の登録を抹消することで、完全に廃車にする「永久抹消登録」だけではなく、一時的に車を廃車扱いにする「一時抹消登録」もあります。
現在は乗っていなくてもまた乗る可能性がある場合は、一時抹消登録がおすすめです。
車検切れで車を所有していると自動車税の支払いが必要となりますが、一時抹消登録をすることで自動車税の支払いもなくなります。
出張買取サービスで売却する
車検切れで車に乗る予定がない場合は、売却する方法もあります。
車の買取サービスには、出張買取に対応している業者もあるため、店舗に持ち込むことなく売却が可能です。
実際に、車検は10万円程度の費用が必要となる場合があります。
もし今後乗る予定がない場合は車検費用が無駄になる可能性があるため、車の売却も頭に入れておくとよいでしょう。
車検切れの車を車検に出す費用
車検が切れた車でも、車検期間が残っている車でも、車検自体にかかる費用は変わりません。
ただし、車検が切れた車では公道を走行することができないため、レッカー代や車の引き取り費用が追加で発生する可能性があります。
また、長期間放置された車や、故障個所がある車の場合には、車検に合格するために整備が必要な場合も。
通常よりも車検の総額が高額になる可能性が高いと考えたほうがいいでしょう。
車の移動費用も整備費用も、車検を依頼する業者によって設定金額が異なります。費用を抑えたい場合には、複数の業者から見積もりを取り、比較をすることがおすすめです。
車検切れの車を運転しないための方法
車検切れの車を運転しないための方法をご紹介します。
車検切れの車を運転しないためには「運転する前に車検切れに気づく」「車検期間の満了日を事前に把握し、切れる前に車検を受ける」など、車検期間満了日の把握が重要です。
車検証・電子車検証を確認する
車検期間満了日の確認は、車検証・電子車検証で行えます。
車検証の「有効期間の満了する日」に記載の日付が、車検期間満了日です。
ただし、2023年1月より電子車検証に切り替わっており、電子車検証は車検期間満了日の記載がありません。
閲覧するには「車検証閲覧アプリ」をダウンロードし、電子車検証の下部にある「ICタグ」を読み取る必要があります。
「確認するたびに読み取るのは面倒だ」という方は、アプリ上でPDFファイルをダウンロードできるため、印刷して保存しておくとよいでしょう。
車検ステッカーを確認する
車のフロントガラスに貼ってある車検ステッカー(検査標章)で、車検期間満了日を確認できます。
車検ステッカーは運転席から見やすい位置に貼ってあるため、運転する際に定期的に確認するように心がけましょう。
なお、2023年7月3日より、車検ステッカーの貼る位置がフロントガラスの右上(左ハンドルは左上)に変更されています。
これまでは、フロントガラスの上部中央に貼られていましたが、より運転者から見やすい位置に変更しています。
万が一車検ステッカーを貼らずに公道を走ると、道路運送車両法の第66条の違反となり、50万円以下の罰金が科されるため必ず貼り付けましょう。
ダイヤルステッカーと間違えないようにする
車検ステッカーを確認する際は、ダイヤルステッカーと間違えないようにしましょう。
ダイヤルステッカーはフロントガラスに貼られている丸いシールで、年に1回の法定点検の期日を表しています。
中央に次回の点検期限の「年」、その数字の周りの白くなっている数字が「月」を表しており、車検期間満了日と間違えやすいため注意してください。
なお、ダイヤルステッカーはフロントガラスに貼る義務はないため、貼られていない車もあります。
貼り付けている場合は間違えないようにしましょう。
事故相手が車検切れの場合はどうなる?
事故の加害者が車検切れ(無車検)だった場合、本来は相手が車の修理費や治療費などを支払う必要があります。しかし、加害者側に支払い能力がない場合には賠償金を支払ってもらえない可能性も。
支払いに応じてもらえない場合には、差し押さえによる強制執行を行うという方法もありますが、相手が自己破産の手続きをした場合には、お金を支払ってもらえない場合があります。
無車検や無保険により、被害者側が十分な補償を受けられない場合には、事故被害者救済のための「政府保証事業」の適用が可能です。
万が一無車検・無保険の車と事故を起こしてしまった場合に備え、制度を理解しておくことをおすすめします。
国土交通省 政府保証事業:
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jibaiseki/public_payment/index.html
車検切れでの運転に関するよくある質問
車検切れでの運転に関するよくある質問をご紹介します。
車検切れになる当日は運転できますか?
車検満了日の当日は、運転が可能です。
たとえば、2024年5月31日が期限の場合、2024年6月1日になると車検が切れます。
そのため2024年5月31日までに車検を済ませる必要があります。
車検を受ける際は予約が必要な整備工場が多く、車検期間の1ヶ月前には動き出さないと間に合わない可能性があるため、車検期間ギリギリまで放置せず、計画的に実施しましょう。
車検切れの車を所有しているだけで罰則を受けますか?
車検切れの車を所有するだけで、罰則を受けることはありません。
車検切れの車で公道を運転すると、罰則を受けるため注意が必要です。
車検切れの車を運転したい場合は、車引き取りサービスを利用して整備工場に運ぶか、出張車検を利用して車検を受けましょう。
車検切れの車を運転して事故を起こした場合、任意保険は適用されますか?
車検切れの車で事故を起こした場合、任意保険に加入中であれば原則適用されます。
任意保険は、自賠責保険の対象範囲以外も補償対象としていますが、任意保険それぞれの契約内容によって「どこまで補償されるか」が異なります。
たとえば「無車検車での事故は保証対象ではない」と明記されていると、任意保険に加入していても適用されません。
車検切れの車で事故を起こすと任意保険を適用できない可能性もあるため、無車検車運転は絶対にやめましょう。
車検切れで運転できない車の車検はセイビーがおすすめ
車検切れで運転できない場合の車検は、出張車検「セイビー」がおすすめです。
セイビーは、自宅や指定された場所に整備士を派遣し、車検や整備を行うサービスで、車検切れの車にも迅速に対応できます。
車検切れの車の場合、ディーラーや整備工場に依頼するとレッカー代がかかりますが、セイビーは車がある場所に出向いて対応するためレッカー代はかかりません。
さらに、仮ナンバーの面倒な手続きや返却もすべてスタッフが対応するため、負担や手間も軽減できます。
出張費も無料で迅速に対応してくれるため、車検切れに気づいて対応に困った場合はセイビーにご相談ください。
まとめ
車検切れの車は、公道を運転することができません。
無車検車運転をした場合は道路運送車両法の違反となり、免停処分や懲役・罰金が科される可能性があります。
日頃から車検満了期間を確認し、無車検・無保険運転をしないことが重要です。
車検切れに気づいた場合は、車引き取りサービスや出張車検を利用するなど、自分で運転しない方法で車検を受けましょう。