スパークプラグの役割
ガソリンエンジンにはなくてはならない存在のスパークプラグですが名前は聞いたことがあってもよくわからないという方も多いのでは無いでしょうか?
そこで、まずはスパークプラグについてご説明します。
スパークプラグとは?
スパークプラグは、本体に高電圧を流すことで、先端から火花(スパーク)を発生させる部品になります。
自動車では、火花を発生させるスパークプラグ、高電圧を発生させるイグニッションコイル、プラグコードを含めて、点火系統と呼んでいます。
役割
エンジンにガソリンを送っても、それだけではエンジンは動きません。
そこで、スパークプラグがガソリンに火をつけ爆発させることで、エンジンは動力を得ることが出来て、自動車は自由に走ることができるのです。
プラグはどうやって火をつける?
スパークプラグとは、放電の力で混合気へ点火する装置です。
静電気を利用して、スパークプラグ本体にある中心電極に大きな電圧をかけると、行き場をなくした電気がスパークプラグの外側に取り付けられている電極に飛び出します。
スパークプラグ本体はエンジンの爆発を巻き起こすため、非常に故障しやすいパーツと言えるでしょう。
飛火
点火装置で作られた高電圧が、スパークプラグの中心電極と設置電極の間に加わると、電極間の絶縁が破れて電流が流れる放電現象が起こります。
この火花エネルギーにより、圧縮混合機に着火爆発が発生します。
定められた時期に正確かつ確実に強い火花を電極間に発生させて、混合気の燃焼のきっかけを作れます。
引用元:https://www.denso.com/jp/ja/products-and-services/automotive-service-parts-and-accessories/plug/video/spark.mp4
着火
電気火花による着火は、電極間の燃料粒子が火花放電により活性化されて科学反応を生み出します。
反応熱が発生し火炎核ができるため、この熱が周囲の混合気を活性化させて、やがて自分で燃焼を周囲に広げます。
しかし、電極の消炎作用のほうが火炎核の発熱より大きいとか遠隔は消滅します。
プラグキャップが広いと火炎核は大きくなり、消炎作用も小さくできるため確実な着火が期待できるでしょう。
引用元:https://youtu.be/bevLXI4HRK4
放電電圧の変化
点火装置は通常10〜30kVの二次電圧が発生します。
一次電流が遮断されると二次電圧が上昇して、スパークプラグの放電電圧に達し、火花が発生します。
容量電圧と呼ばれ、放電ははじめに二次回路に蓄えられた電気エネルギーによって生じて、電流は大きいが持続時間は短いです。
誘導火花と呼ばれるコイル電磁エネルギーは、電流が小さいが持続時間が長くなっています。
プラグの構造
碍子は、ターミナルから中心電極とハウジングまでの間を絶縁して、高電圧が電極以外に逃げるのを防ぎます。
碍子下部は燃焼室内に突出しているため、耐熱性や機械的強度、高温における絶縁耐力、熱伝導率などに優れている純度の高いアルミナが用いられています。
また、点火装置から高圧電流を流すハイテンションコードを接続する端子です。
世界中のほとんどのプラグコードに対応できるように、ターミナルナットを取り付けてあります。
また、ターミナルナットのいらない車種は、このパーツを取り外すことも可能です。
スパークプラグの使用環境
エンジンの中は、ガソリンと空気を混ぜた混合気を圧縮し、その圧縮混合気にスパークプラグで点火をさせてエネルギーを生み出します。
一般的にエンジンの中の温度は、爆発中は、2,000~3,000℃に達し、エンジンの中の圧力は3,000~5,000Kpaとなります。
スパークプラグが火花を飛ばす回数は、高速道路などの走行では2,000~3,000/分 もの火花を出し続けています。
そして、スパークプラグは、常にこの厳しい環境下で、正確に火花を出し続けなければいけません。
火花を出すだけでは無く、この環境下にも耐えられる耐久性など、超高性能をスパークプラグには求められています。
イグニッションコイルとは?
イグニッションコイルとは、点火に必要な高電圧を発生させるための変圧装置になります。
巻数の違う2つのコイルを用意し、自己誘導作用、相互誘導作用を利用して、高電圧を発生させます。
古い車では1つのイグニッションコイルでエンジンのすべてのスパークプラグへ電気を送っていましたが、現代の車ではスパークプラグ1本に対して1つのイグニッションコイルが装備されています。
こうすることで安定した電力供給とコンピューターによる細かい制御が可能になり燃費やエンジンのパワーを飛躍的に向上させることができるようになりました。
プラグの交換頻度と目安時期:メンテナンス
どのくらいの頻度で交換するの?
スパークプラグの材質によって、推奨の交換時期は変わってきます。
一般的なスパークプラグは、2万キロ での交換をメーカーは推奨しています。
白金・イリジウムタイプのスパークプラグは、10万キロ の交換を推奨しています。
ただし、イリジウムプラグを使用している車両でも、イリジウムが使われている部分によっては2万キロほどを推奨している場合もあるため、注意が必要です。
詳しくはメーカーのHPや、プラグメーカーのHPなどで確認を行うのが良いでしょう。
なぜ交換が必要?
スパークプラグは離れた電極間で火花を飛ばします。
そして、毎分3,000回近く飛ぶ火花は、大きな力を持っており、電極の摩耗を起こします。
電極の摩耗は次の2つのことを引き起こします。
- 電極の角が丸くなる
- 電極間の隙間(ギャップ)が広くなる
電極の角が丸くなる
電極の角が丸くなると、安定した強い火花が飛ばなくなります。
雷が尖ったものに避雷するように、スパークプラグの火花も、電極の尖った角などに火花が飛び移ります。
尖った角があるということは、スパークプラグの火花が出やすい状態と言えます。
しかし、スパークプラグを使用し続けると、電極の角が摩耗し丸くなります。
すると、電気は飛びやすいところを見失ってしまい、安定した強い火花を出すことが出来なくなってしまいます。
電極間の隙間(ギャップ)が広くなる
電極間のギャップが広くなると、火花が飛ばなくなります。
スパークプラグの電極間の隙間は、決められたギャップの値が決められており、ギャップが広すぎても、小さすぎても、安定した強い火花を飛ばすことができなくなります。
使用を続けて摩耗が進み、電極間のギャップが広くなりすぎると、放電を行うことができなくなり、最悪火花が飛ばなくなります。
スパークプラグの交換を勧められた
ディーラーなどでの点検の際スパークプラグの交換時期といわれたことのある人は多いのではないでしょうか。
スパークプラグはエンジンオイルと違い頻繁に交換するものでなく安価な部品でもないためためらう方も多いと思います。
しかし、スパークプラグはれっきとした消耗品となります。
自動車の整備士はスパークプラグの消耗具合と走行距離を照らし合わせることで交換の必要性を判断しています。
プロのアドバイスを聞きながら、交換の判断を行うのが良いでしょう。
スパークプラグを交換しないと車にどんなことが起きるの?
スパークプラグが原因で起こる不調はいくつかあり、代表的なものは以下の3つになります。
- エンジンのかかりが悪い
- エンジンから不快な振動が出る
- 加速しない
エンジンが動くにあたりスパークプラグの存在は欠かせません
すなわちスパークプラグが機能しなければエンジンは、きちんと動かないのです。
そして、スパークプラグの本数はエンジンの気筒数を同じ数が取り付けられています。
軽自動車であれば3~4本、普通車ですと4~8本が一般的です。
メルセデスベンツの中には1台で24本装着されている車もあります。
1台につき複数存在する部品は、同時にすべて機能しなくなるということは確率的に低く、多くの場合一部が機能しなくなります。
また、1本のスパークプラグがたとえ故障しても、他のスパークプラグが機能していればエンジンが掛かることが多いです。
しかし、一部が故障していることでエンジンの掛かりが悪くなったり、出力が落ち加速不良や振動が発生します。
古いけど走行距離が低ければ交換しなくて平気?
前述のとおりスパークプラグは走行距離を目安に交換するのが一般的です。
しかし走行距離が低いのに交換を勧められる方やスパークプラグに起因する故障が発生したという話も耳にします。
このように低走行なのに・・・という方に共通しているお車の使い方がチョイノリです。
チョイノリというのは近所のスーパーへの買い物や送り迎えなど1回の移動距離が短い乗り方を指します。
チョイノリは実は過走行車よりも深刻なダメージを車に与える場合があり、スパークプラグはその影響を最も受けるといっても過言ではありません。
また、停車中のアイドリングが多い車両も注意が必要です。
プラグ被り
チョイノリ車に多く見受けられるのがプラグ被りです。
これはスパークプラグの先端がガソリンで濡れていることを指します。
なぜチョイノリによりプラグが濡れるのかというと、エンジンには作動温度というものがあり約80℃から約110℃の間が最も効率よくエネルギーを生み出せる設計となっております。
しかし、チョイノリだとエンジンが作動温度に達する前に停止させてしまうために燃料がしっかり燃焼されず、ガソリンがスパークプラグに付着し湿ってしまいます。
すると、スパークプラグの火花がうまく飛ばず、スパークプラグの端子にカーボンが溜まってしまいます。
そして、きちんと点火することが出来ずに、不調を招くというわけです。
この状態はプロの整備士が見れば一目瞭然のため、低走行でも定期的に交換をお勧めするというわけです。
スパークプラグの交換作業
スパークプラグの多くはエンジンの真上に装着されています。
そのため、スパークプラグ交換を自分で作業する人も多いです。
車によっては、エンジンの空気ダクトやマニホールドの取り外しが必要になる場合もありますが、工具を購入すれば比較的誰でも作業が行なえるでしょう。
スパークプラグを交換するには、プラグレンチという専用の工具が必要となります。
車種によって、必要なプラグレンチのサイズが変わってくるので、自分の車にあったプラグレンチの購入を行いましょう。
しかし、取り付け時には格段の注意が必要です。
スパークプラグのネジ穴を壊してしまったり、スパークプラグを強く締め付けすぎて破損させてしまうと、エンジンの本体の交換まで行わないと直せなく可能性があります。
初めて作業を行う場合には、スパークプラグ交換経験者かプロの整備士に手伝ってもらうのが良いでしょう。
スパークプラグを交換できる場所
スパークプラグは、以下の場所で交換してもらえます。
- ディーラー
- カー用品点
- 整備工場
- 自分で交換
ディーラーで交換する時は純正品を使うため、修理費用は割高になってしまいます。
カー用品店や整備工場でも交換してもらうことができ、ディーラーよりも価格を抑えられます。
また、自分でも交換できますが、下手に修理してしまうとプラグを取り付けるネジ穴を壊してしまうなんてこともあります。
ネジ穴を壊してしまうと、さらなる修理費用が発生します。
そのため、自分で交換できない人や交換作業に自信がない人は専門業者に相談しましょう。