ファミリーカーとして長く愛され、売れ続けている日産の代表車「セレナ」。1999年に初代が販売されて以降、販売台数上位にランクし続けています。
一方、過去に「発電機(オルタネーター)」等のリコールをしていることも良く知られています。
そんな日産セレナのオルタネーターですが、アイドリングストップ車の場合、特殊な構造になっています。車が走るためには、発電機である「オルタネーター」が必要で、この部品は、10万キロ前後を目安に交換する必要がある消耗品です。
つまり、長く乗り続ける為にはオルタネーターの交換が避けられないのですが、セレナの交換費用は高いことでも知られています。
この記事では、特殊な日産セレナ(C26:4代目セレナ)のオルタネーターの構造、ディーラー・整備工場で交換する際に掛かる費用、交換方法について解説します。
目次
日産セレナ(C26)のオルターネーターは2種類
4代目セレナ(C26型)セレナのオルタネーターの種類は、エンジン・アイドリングストップ機能の有無によって変わります。つまり、2種類あります。
- アイドリングストップ機能が付いて「いる」オルタネーター
- アイドリングストップ機能が付いて「いない」オルタネーター(通常タイプ)
アイドリングストップ機能付き車両のオルタネーターは価格が2倍高い
種類が変わるだけなら良いのですが、これによりオルタネーター(発電機)の値段が変わります。
具体的には、アイドリング機能付きのセレナ・オルタネーターは、通常のオルタネーターに比べて2倍以上高くなります。
日産セレナの特殊事情
アイドリングストップ機能の有無によってオルタネーターの価格が大きく変わるのは、日産車特有の事情と言えます。
他メーカーの車種では、この様な大きな価格差が無いのことが一般的です。
日産セレナのオルタネーター交換費用:新品vsリビルト
オルタネーター交換が必要な場合、主に「新品」と「リビルト品」の選択肢があります。
新品(純正部品)で交換する場合の費用
新品(純正部品)で交換する場合、料金は以下の通りになります。
- アイドリングストップ付きオルタネーター:175,000円
- 通常タイプのオルタネーター:83,900円
工賃込みでは、アイドリングストップ機能付きで17万円前後、通常タイプ(アイドリングストップが付いていない)の場合、工賃含めて10万円前後になるかと思います。
リビルト品で交換する場合の費用
リビルト品とは、中古オルタネーターを、分解・洗浄・研磨・構成部品交換・組み立て・テストすることで、新品同等の品質に戻し、保証もついて、新品よりも安価に手に入る部品のことです。
環境にも優しいため、年々一般的になっています。
さて、気になる料金ですが、おおよそ、以下の金額になります。
- アイドリングストップ付きオルタネーター:150,000~170,000円
- 通常タイプのオルタネーター:40,000~50,000円
通常タイプのオルタネーターの場合、費用が新品のおよそ半額になっていますが、アイドリングストップ機能付きのオルタネーターの場合、新品と殆ど料金が変わりません。
日産は特殊! アイドリングストップ用オルタネーター
なぜ、C26セレナのアイドリングストップ用のオルタネーターは価格が高いのでしょうか?
ここからは、他メーカーとの違いを紹介します。
アイドリングストップ機能とは
アイドリングストップとは、車両が停止した際にエンジンが一時的にストップする機能のことです。
信号待ちや渋滞などでクルマが動かないときに、エンジンを止めてしまうことで無駄な燃料を使用せず、燃費の向上を図ることができます。
また、エンジンが停まっていても、ナビやエアコンなどは作動しており、車内は快適に保たれます。発進時は、ブレーキを離してアクセルを踏むことで、すぐにエンジンが掛かりますので、ストレスも殆どありません。
2000年代に入ってから、消費者の燃費意識が高まり、自動車メーカー各社は、アイドリングストップシステムを多く採用するようになりました。
その中でも、日産が採用したアイドリングストップは、他とは異なる構造をしています。
他メーカーのアイドリングストップ対応
エンジンを始動する際には、通常、スターター(セルモーター)を使用します。
アイドリングストップが付いていない車のスターターは、エンジンを掛けるときに、スターターのギヤが飛び出し、エンジンと噛み合うことでエンジンを回転させます。しかし、それではエンジンが掛かるまでに時間が掛かってしまい、アイドリングストップ状態から、スムーズに発進することができません。
従い、アイドリングストップ車両の場合、スターターのギヤが飛び出す構造ではなく、常にスターターのギヤがエンジンと噛み合っている構造に進化させることで、エンジン再始動に対応させました。
日産のアイドリングストップ対応
日産は、スターターではなく「オルタネーター」を進化させることで、アイドリングストップ状態からスムースにエンジン始動に対応する方法を採用しました。ですので、スターターは従来型の構造を使用しています。
オルタネーターとスターター(セルモーター)は、基本的には同じ構造をしており、役割が異なります。
- スターター:電気を流して、モーターを回転させる
- オルタネーター:モーターを回して、電気を発生させる
C26セレナでは、オルタネーターにスターター(セルモーター)の機能を付属させ、アイドリングストップ状態からのエンジン始動には、オルタネーターを回転させてエンジンを始動する構造になっています。
他社では、スターター(セルモーター)を進化させたのに対し、日産はオルタネーターを進化させました。
こういった、メーカの戦略の違いを見れるのは楽しいですね。他メーカーでは採用しない技術を採用するあたり「技術の日産」というだけあるな、と言えます。
日産独自の呼び方:サブスターター&ジェネレーター
日産では、スターターの機能がついたオルタネーターを「サブスターター&ジェネレーター」と呼んでいます。
「サブスターター&ジェネレーター」は機能的には素晴らしいのですが、このスターター機能がついている為、通常のオルタネーターよりも価格が高くなってしまいます。
セレナのオルタネーター交換の価格が高いのは、このような事が原因となっています。
セレナのリコール
2013年4月、日産セレナはオルタネーターを原因にリコールをしています。セレナは、他の部品でもリコールを行っています。
日産セレナのオルタネーター交換手順
それでは日産セレナ(C26)のオルタネーター交換の手順を、解説していきます!
※「サブスターター&ジェネレーター」は出張で作業出来ません。
手順1. バッテリーのマイナス端子取り外し
最初の作業は「バッテリーのマイナス端子の取り外し」です。
電気の流れはプラスからスタートして、マイナスがゴールとなっていますが(電子の流れは逆)、自動車に搭載されているすべての回路にプラスとマイナスの配線を用意すると、膨大な配線の量となっていまいます。
そこで、自動車のボディーをマイナスの回路として利用することで、マイナスの配線の量を減らしています。つまり、プラスの電気が流れている配線が、ボディーと接触するとショートしてしまいます。
従い、ショートを避けるため、オルタネーターを取り外す時、プラスの端子の取り外しを行います。
もし、バッテリーのマイナス端子の取り外しを行わないで、オルタネーターのプラスの端子を取り外しを行い、ボディーの金属部と接触をしたら、ショートしてしまいます。
これを起こさないようにするために、まずはバッテリーのマイナス端子を取り外します。
バッテリーのマイナス端子を外すことで、ボディーはマイナス端子では無くなり、ショートしなくなります。
手順2. 右前タイヤの取り外し
次に、車両をジャッキアップし、右前タイヤの取り外しを行います。
平らな場所で、輪止めとリジットラックを使用して安全作業を心がけましょう。
右前タイヤを取り外したら、タイヤハウス内にあるカバー(フェンダーライナー)を取り外します。
手順3. ベルトの取り外し
次にエンジンのベルトを取り外します。
ベルトの取り外しは「1.特殊工具を使用する方法」と「2.特殊工具を使用しない方法」の2通りあります。
赤丸を付けた部分がベルトの張りを調整しているテンショナーになります。
このテンショナーのプーリーの上部に19mmの突起物があります。
スピンナーハンドルと19mmのソケットをこのテンショナー上部の突起物に掛け、反時計周りに回します。
するとベルトテンショナーが動き、ベルトの張りが弱まります。この状態で、ベルトの取り外しを行うのは大変です。
そこで、緩めたときに差し込める穴があるので、6mmのL型六角棒レンチを使用して穴に差し込みます。すると、ベルトテンショナーが固定されるので、らくらくとベルトの取り外しを行うことができます。
手順4. アイドラプーリー取り外し
オルタネーターのちょうど下にいる、アイドラプーリーを取り外します。
アイドラプーリー自体はただの回転するプーリーで、何かの仕事をしているわけではありません。
ただ、エンジンのベルトというのは、エンジンが回転するとベルトがたわみ、一定の張力を保てなくなります。
そこで、アイドラプーリーを間に入れることで、各部均等にベルトの張力が保たてるようになっています。
このアイドラプーリーの取り外しは「16mm」のソケットを使用して取り外します。
手順5. ウォッシャータンク取り外し
ウォッシャータンクは10mmのボルトでついているので、ボルトを取り外します。
タンクには、ウォッシャー液が通るホースとポンプのコネクターが付いているので、これも一緒に取り外します。
ホースはフロントガラス用とリヤガラス用の2つあるので、取り付け時には間違えないように取り付けます。
手順6. オルタネーター取り外し
ようやくオルタネーター取り外しの段階に来ました。
オルタネーター本体の取り外しの前に、オルタネーターについているコネクターと端子の取り外しをします。
先に本体を外してからだと、端子の取り外しに苦労します。先に外してしまいましょう。
オルタネーターの本体は13mmのボルト2つで取り付けられています。
ボルトを2つ外しても、固着してはずれない場合がありますが、オルタネーターの土台部分をマイナスドライバーやバールでグリグリこじり、オルタネーターもグリグリ動かすと外すことができます。
ウィオッシャータンクが付いていたスペースからオルタネーターを抜いて、取り外しは完了です。
手順7. 取り付け
取り付けは取り外しと逆の手順となります。
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