秋の行楽シーズンが始まる10月。新型コロナにより、マイカー需要が高まる中、新車、中古車市場共に、活況を取り戻してきました。実際に、トヨタやホンダなどが黒字予想を上方修正しています。車のトラブル・ロードサービス救援総件数、カー用品(来店客数、売上)販売全共に、前年同月比増加となりました。新車販売台数、中古車販売台数、ロードサービス最大手JAF「ロードサービス救援統計」、カー用品販売最大手のオートバックス「月次売上速報」、中古自動車オークション最大手USS「成約台数・台当たり成約単価」、新車販売台数を元に車の整備・修理業界2020年10月の概況を纏めました。
目次
2020年10月:新車・中古車販売状況
新車販売台数 - 前年比で大きく回復
2020年10月の新車販売台数は40万6,851台でした。例年3月と9月が最も新車が売れるタイミングですので、前月比減少となりましたが、前年比では大きく伸ばしました。
- 前月(2020年9月)比 : 13.38% 減
- 昨年(2019年10月)比 : 29.24% 増
新車販売ランキングTOP 10 : N-BOX首位陥落
2020年9月、12ヶ月連続で1位記録を継続していたホンダ・N-BOXが、首位陥落しました。販売台数トップを奪ったのはトヨタ・ヤリス。2020年10月も販売トップを維持し、2ヶ月連続でヤリスが首位となりました。
- ヤリス(トヨタ) 18,592台
- N-BOX(ホンダ) 16,052台
- ライズ(トヨタ) 13,256台
- タント(ダイハツ) 13,099台
- スペーシア(スズキ) 12,245台
- ルーミー(トヨタ) 11,487台
- ムーヴ(ダイハツ) 10,472台
- カローラ(トヨタ) 10,275台
- アルファード(トヨタ) 10,093台
- ハリアー(トヨタ) 9,674台
車種・ブランド別販売台数上位20
中古車「業者間オークション成約状況」は市場が戻ってきた
業界最大手USSの中古車販売状況(業者間取引 = BtoB)を確認しましょう。2020年10月の業者間オークション成約台数は166,954台、平均車両単価は84万2,000円となりました。価格も台数も先月に引き続き強いです。活況です。
前月比、前年比は以下の通りです。
成約台数
- 前月(2020年9月)比 : 29.70%増
- 昨年(2020年10月)比 : 2.12%増
成約単価
- 前月(2020年9月)比 : 2.46%増
- 昨年(2020年10月)比 : 8.20%増
2020年10月:クルマの整備・修理・アフターパーツ業界概況
車のトラブル・ロードサービス救援総件数は略例年通りとなりました。また、カー用品最大手のオートバックスでは「来店客数」「売上」共に例年並に戻りました。
総救援出動(ロードサービス実施)件数
2020年10月のJAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は16万8,651件でした。前年比、前月比ともに増加しました。
全国JAF総救援出動件数:168,651件
- 前月(2020年9月)比 : 4.21%増
- 昨年(2019年10月)比 : 3.03%増
バッテリー上がり(過放電)件数
「バッテリー上がり」に因る2020年10月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は、5万6,046件でした。前年比、前月比ともに10%近く増加しました。
全国バッテリー上がり件数:56,046件
- 前月(2020年9月)比 : 12.16%増
- 昨年(2019年10月)比 : 9.22%増
バッテリーの劣化・破損(要バッテリー交換)
「バッテリー劣化・破損」に因る2020年10月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は1万4,101件でした。10ヶ月連続で昨年比プラスで推移しており、旺盛なバッテリー交換需要が継続していることがわかります。
全国バッテリ−劣化・破損件数:14,101件
前月(2020年9月)比 : 4.48%増
昨年(2019年10月)比 : 22.25%増
オートバックスのバッテリー販売売上
オートバックスの販売売上を見ると、バッテリー需要の旺盛さがよくわかります。
金額・数量ともに前年割れだが、アイドリングストップ車用バッテリーが継続的に好調。
売上高は前年同月比マイナス1.3%。
- (参考)2021年4月期(2020年7月-2020年9月)のバッテリー売上:24.5億円 ※参考
タイヤのパンク・バースト・エア不足
「タイヤのパンク・バースト・エア不足」に因る2020年10月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は33,915件でした。
全国のタイヤのパンク・バースト件数:33,915件
- 前月(2020年9月)比 : 0.93% 増
- 昨年(2019年10月)比 : 1.02% 増
オルタネーター・ダイナモ故障
エンジンがかからない主要原因の1つであるオルタネーター(発電機)の故障。例年、8月をピークにそこから現象に転じますが、今年も例年通りの傾向となっています。
全国のオルタネーター・ダイナモ故障件数:2,845件
- 前月(2020年9月)比 : 27.61% 減
- 昨年(2019年10月)比 : 6.90% 減
スターター・セルモーター故障
オルタネーター・ダイナモと並び、エンジンがかからない際の主要原因の1つです。オルタネーター・ダイナモと同様に、8月が需要のピークとなります。スターター・セルモーターに因る2020年10月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は2,204件でした。
全国のスターター・セルモーター故障件数:2,204件
- 前月(2020年9月)比 : 5.04% 減
- 昨年(2019年10月)比 : 9.00% 減
スパークプラグ故障件数推移
エンジンが掛からない際の主因の1つです。スパークプラグと合わせてイグニッションコイルが故障しているケースも多いです。
2020年10月の件数の開示はありませんでした。例年、冬場になると数が増える故障です。
全国スパークプラグ故障故障件数:N/A
- 前月(2020年9月)比 : N/A
- 昨年(2019年10月)比 : N/A
カー用品・アフターパーツ等販売状況
オートバックスの月次速報(店舗売上)を元に、各商品の販売状況を見ていきます。
タイヤ・ホイール販売状況
- 前年同月の消費増税およびタイヤ値上げによる売上減の反動により、金額・数量ともに大幅前年超え
- 前年比プラス 50.0% (金額ベース)
ドライブレコーダー・カーナビ等カーエレクトロニクス販売状況
- 前後2カメラタイプのドライブレコーダーが好調で、金額・数量ともに前年超え。前々年比でも金額・数量ともに大幅プラス
- 前年比プラス 8.6% (金額ベース)
エンジンオイル販売・交換状況
- 金額・数量ともに前年、前々年超え
- 前年比プラス15% (金額ベース)
参照サイトと注意事項
この記事は以下の公開情報を基に作成しています。この場を借りて、情報公開に感謝申し上げます。
- JAF:ロードサービス救援データ
- 株式会社オートバックスセブン:2021年3月期10月度月次売上概況(速報)についてのお知らせ
- 株式会社ユー・エス・エス:IRニュース
- 一般社団法人日本自動車販売協会連合会:統計データ
- 一般社団法人 全国軽自動車協会連合会:統計資料
数字の注意
- JAFのロードサービスシェアは約50%で国内1位です(Seibii推定)
- USSの中古自動車業者間オークション(BtoB)はシェア約40%で国内1位です。
- オートバックスのカー用品販売シェアは、公開されていませんが、国内最大手です。
- 従い、本記事記載の「ロードサービス救援件数」「カー用品販売状況」「中古車販売状況」等は、必ずしも日本全体の数字・傾向を表しているとは言えませんので、ご注意ください。
- なお、JAF救援実施件数は「一般道路」「四輪自動車」を前提に記載しており、高速道路上での救援件数は含めていません。日本全国では約2倍の出動要請があったと考えられます。