新型コロナが、ゴールデンウィークの第一波を遥かに超えるペースで再増加してきた11月。中古車を中心に、高いマイカー需要が継続している一方で、再度、外出の自粛要請が出ています。結果、車のトラブル・ロードサービス救援総件数、カー用品(来店客数、売上)販売の傾向は、前年同月比、低いアイテムもあれば高いアイテムも存在する、マダラ模様となりました。新車販売台数、中古車販売台数、ロードサービス最大手JAF「ロードサービス救援統計」、カー用品販売最大手のオートバックス「月次売上速報」、中古自動車オークション最大手USS「成約台数・台当たり成約単価」、新車販売台数を元に車の整備・修理業界2020年11月の概況を纏めました。
目次
2020年11月:新車・中古車販売状況
新車販売台数 - 前年比で大きく回復
2020年11月の新車販売台数は41万1,601台でした。昨年比、前月比共に増加となりました。
- 前月(2020年10月)比 : 1.17% 増
- 昨年(2019年11月)比 : 6.67% 増
新車販売ランキングTOP 10 : ヤリス首位三連覇
2020年9月、12ヶ月連続で1位記録を継続していたホンダ・N-BOXが、首位陥落しました。販売台数トップを奪ったのはトヨタ・ヤリス。2020年11月も販売トップを維持し、3ヶ月連続でヤリスが首位となりました。
いよいよ世代交代と言えそうです。
- ヤリス(トヨタ) 19,921台
- N-BOX(ホンダ) 15,685台
- スペーシア(スズキ) 12,027台
- ライズ(トヨタ) 10,627台
- タント(ダイハツ) 10,599台
- アルファード(トヨタ) 10,109台
- ムーヴ(ダイハツ) 9,980台
- ハリアー(トヨタ) 9,897台
- カローラ(トヨタ) 9,653台
- ルーミー(トヨタ) 9,112台
車種・ブランド別販売台数上位20
中古車「業者間オークション成約状況」は市場が戻ってきた
業界最大手USSの中古車販売状況(業者間取引 = BtoB)を確認しましょう。2020年11月の業者間オークション成約台数は145,090台、平均車両単価は81万2,000円となりました。価格も台数も先月に引き続き強いです。活況です。
前月比、前年比は以下の通りです。
成約台数
- 前月(2020年10月)比 : 13.10% 減
- 昨年(2020年11月)比 : 3.94% 減
成約単価
- 前月(2020年10月)比 : 3.56% 減
- 昨年(2020年11月)比 : 13.88% 増
2020年11月:クルマの整備・修理・アフターパーツ業界概況
車のトラブル・ロードサービス救援総件数は162,498件となりました。また、カー用品最大手のオートバックスでは「来店客数」「売上」共に昨年比増加となっています。
総救援出動(ロードサービス実施)件数
2020年11月のJAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は16万2,498件でした。前年比、前月比ともに減少しました。
全国JAF総救援出動件数:162,498件
- 前月(2020年10月)比 : 3.65%減
- 昨年(2019年11月)比 : 4.04%減
バッテリー上がり(過放電)件数
「バッテリー上がり」に因る2020年11月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は、5万7,979件でした。
全国バッテリー上がり件数:57,705件
- 前月(2020年10月)比 : 2.96% 増
- 昨年(2019年11月)比 : 1.38% 減
バッテリーの劣化・破損(要バッテリー交換)
「バッテリー劣化・破損」に因る2020年11月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は1万3,264件でした。11ヶ月連続で昨年比プラスで推移しており、旺盛なバッテリー交換需要が継続していることがわかります。
全国バッテリ−劣化・破損件数:13,264件
前月(2020年10月)比 : 5.94% 減
昨年(2019年11月)比 : 2.30% 増
オートバックスのバッテリー販売売上
オートバックスの販売売上を見ると、バッテリー需要の旺盛さがよくわかります。
アイドリングストップ車用バッテリーが継続的に堅調で、金額が前年超え。
- (参考)2021年4月期(2020年7月-2020年9月)のバッテリー売上:24.5億円 ※参考
タイヤのパンク・バースト・エア不足
「タイヤのパンク・バースト・エア不足」に因る2020年10月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は31,735件でした。
全国のタイヤのパンク・バースト件数:30,003件
- 前月(2020年10月)比 : 11.53% 減
- 昨年(2019年11月)比 : 4.07% 増
オルタネーター・ダイナモ故障
エンジンがかからない主要原因の1つであるオルタネーター(発電機)の故障。例年、8月をピークにそこから現象に転じますが、今年も例年通りの傾向となっています。
全国のオルタネーター・ダイナモ故障件数:2,545件
- 前月(2020年10月)比 : 6.12% 減
- 昨年(2019年11月)比 : 10.54% 減
スターター・セルモーター故障
オルタネーター・ダイナモと並び、エンジンがかからない際の主要原因の1つです。オルタネーター・ダイナモと同様に、8月が需要のピークとなります。スターター・セルモーターに因る2020年11月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は1,971件でした。
全国のスターター・セルモーター故障件数:1,952件
- 前月(2020年10月)比 : 11.43% 減
- 昨年(2019年11月)比 : 16.22% 減
スパークプラグ故障件数推移
エンジンが掛からない際の主因の1つです。スパークプラグと合わせてイグニッションコイルが故障しているケースも多いです。
2020年11月の件数の開示はありませんでした。例年、12月以降の冬場になると数が増える故障です。
全国スパークプラグ故障故障件数:N/A
- 前月(2020年10月)比 : N/A
- 昨年(2019年11月)比 : N/A
カー用品・アフターパーツ等販売状況
オートバックスの月次速報(店舗売上)を元に、各商品の販売状況を見ていきます。
タイヤ・ホイール販売状況
- 前年の消費増税およびタイヤ値上げによる売上減の反動により、金額・数量ともに前年超え
ドライブレコーダー・カーナビ等カーエレクトロニクス販売状況
- ドライブレコーダーが好調に推移
- 金額・数量ともに前年超え
エンジンオイル販売・交換状況
- 量り売りオイルを中心に好調に推移し、金額・数量ともに前年超え
- 前々年比でも金額・数量ともにプラス
参照サイトと注意事項
この記事は以下の公開情報を基に作成しています。この場を借りて、情報公開に感謝申し上げます。
- JAF:ロードサービス救援データ
- 株式会社オートバックスセブン:2021年3月期11月度月次売上概況(速報)についてのお知らせ
- 株式会社ユー・エス・エス:IRニュース
- 一般社団法人日本自動車販売協会連合会:統計データ
- 一般社団法人 全国軽自動車協会連合会:統計資料
数字の注意
- JAFのロードサービスシェアは約50%で国内1位です(Seibii推定)
- USSの中古自動車業者間オークション(BtoB)はシェア約40%で国内1位です。
- オートバックスのカー用品販売シェアは、公開されていませんが、国内最大手です。
- 従い、本記事記載の「ロードサービス救援件数」「カー用品販売状況」「中古車販売状況」等は、必ずしも日本全体の数字・傾向を表しているとは言えませんので、ご注意ください。
- なお、JAF救援実施件数は「一般道路」「四輪自動車」を前提に記載しており、高速道路上での救援件数は含めていません。日本全国では約2倍の出動要請があったと考えられます。