クルマを所有するにはお金がかかります。
それは、手放すときにも言えることです。
「どうせ手放すのだから、お金がかかるにしても最小限にとどめたい」…と思うことは自然なことです。
廃車するときに、どういったことに気をつけるべきか?廃車費用は?逆に返ってくるお金(還付金)もある?
この記事では、廃車にかかる費用相場だけでなく、廃車の内訳費用や費用をおさえるポイントについても徹底的に解説します。
目次
廃車にかかる費用相場
廃車にかかる費用は、状態や依頼業者によっても大きく異なってきます。
おおむね【0円~50,000円前後】を目安に考えていただければよいでしょう。
廃車にかかる費用の内訳
では、なぜ廃車費用に大きな差が生まれるのか?費用の内訳を見ていきます。
内訳は大きく分けて以下の3つの項目に分けることができます。
1. 引き取り・解体にかかる費用
2. 車両の運搬費用
3. リサイクル費用
それぞれくわしく解説します。
引き取り・解体
廃車するクルマを引き取り、解体作業そのものに掛かる費用は【0円~20,000円】と幅が広いです。
0円(無料)で解体してもらうことが可能な理由は、解体後でも使用可能な部品があり、それらが中古部品として販売できる見込みがあるかどうかや、どのような業者に依頼するかなどが関係してきます。
車種・年式・その時々での部品の市場価値などさまざまな要因で費用が変わるのが【引き取り・解体費用】です。
運搬
廃車するクルマの運搬にかかる費用は【0円~15,000円】です。
運搬が必要なのは公道の自走が不可能な場合で、車検の有効期限が切れていたり、車両そのものが故障などにより走行不可のときです。
運搬にかかる費用も「引き取り・解体」と同じく、車両の状態や依頼する業者によって大きく変わってくることを理解しておきましょう。
リサイクル
リサイクル費用は原則、新車購入時に支払い済みです。
よって基本的には、廃車時に支払うことはありません。
その費用は、車種・メーカーによって異なりますがおおむね【6,000円~18,000円】程度です。
(例外もあるので詳細は、後ほど解説)
リサイクル費用は、「シュレッダーダスト(ASR)」「エアバッグ類」 「フロン類」の3つのカテゴリーにおけるリサイクルに必要な費用と、自動車リサイクルシステムを運営するための費用から構成されています。
リサイクル料金例
- ホンダ N-BOX(2021年式)…8,420円
- 日産 リーフ(2021年式)…9,420円
- トヨタ アルファード(2021年式)…16,420円
廃車手続きにかかる費用
廃車を検討している人の中には、実際にどのくらいの費用が発生するのか不安になる方も多いでしょう。廃車手続きには費用が発生することなどがありますので解説して行きます。
永久抹消登録の手続きと費用
永久抹消とは二度と乗らない普通車に対する手続きとなります。解体済みの車や故障などにより走行不能の車の登録を削除することです。一度、永久抹消手続きを行ってしまうと、その車を再度公道を走らせることはできなくなり、再登録することはできません。手続きは管轄の運輸局で行い、業者に代行してもらうことや自分で手続きすることも可能となります。既に支払い済みの自動車税や自賠責保険料は月割りで還付されるので忘れずに手続きしてください。
車の解体を伴う永久抹消の場合、レッカー代や解体費用が手続き費用以上に発生しますので廃車業者や解体業者などに依頼することで費用負担が軽減することもあります。部品やパーツ取りによる値段を杖てくれるケースもありますので確認してください。
一時抹消登録の手続きと費用
車の登録を一時的に取りやめするときには「一時抹消」として手続きを行います。長期間、車を使用しない場合に行い、再び公道を走行するときには登録し直しします。転勤や引越し、その他の理由でしばらくの間、車に乗ることが無ければそのままにしておくと持っているだけで自動車税や自賠責保険料を支払う必要があります。
しかし、一時抹消をすることで、その間の税金や保険料支払いはなくなります。永久抹消と同様に税金と保険料の還付を受けることができますが、自動車重量税の還付はありません。業者に代行して手続きをしてもらう時には数万円程度が相場ですが、車検証や印鑑証明があれば窓口で手続きするだけですので自ら手続きすることも可能です。
廃車の費用が高額になる理由
廃車にかかる費用にはバラツキがあることをご理解いただけたかと思います。
その費用が場合によっては高額になってしまうパターンがあるので注意が必要です。
以下に通常時よりも高額になってしまうパターンを2つ紹介します。
しかし、「リサイクル費用が未払い」であることはシステム上あり得ないので、正確には実際に費用が高額なる要因にはなりません。
自動車税が未払い
自動車税はその年の4月1日時点でのそのクルマの所有者に課せられる税金です。
5月初旬に封書で納付書が郵送されてきます。
支払期日までに納付することが義務ですが、納付を怠っていると廃車する月までの月割りでの金額の納付を求められます。
場合によっては延滞金も含めた金額を納付しなければいけないこともあります。
「どうせもう廃車にするから、支払わなくてもいいか!」という軽い気持ちで納税を怠っていると、いざ廃車のときに本来は不要な出費がかさむ要因になります。
また、スムーズに手続きが進められないなどの弊害も出てくるので、自動車税は毎年期限までに確実に納付しましょう。
リサイクル費用が未払い
先ほど原則、新車時に支払われていると解説したリサイクル費用ですが、平成17年(2005年)以降に販売された新車がそれに該当します。
それ以前に新車登録されているクルマは、平成17年以降で一番早い車検時に支払い済みですので、リサイクル費用が未払いであることは基本的にはあり得ません。
支払い済みの場合は、通称「リサイクル券」と呼ばれるものが車検証ケースの中にそのほかの書類と一緒に保管されているはずです。
では、そのリサイクル券を紛失してしまっている場合はどうするのか?どう証明するのか?
【自動車リサイクルシステム】にアクセスし、「自動車リサイクル料金検索」でマイカーの必要情報を入力することで、リサイクル料金の預託状況を確認することができるので、それを印刷することでリサイクル券の代わりとすることが可能です。
廃車の費用を安くおさえる方法
廃車するのにかかる費用は少しでも抑えておきたいのがホンネです。
ここでは廃車の費用を安くするための方法を大きく分けて3つ紹介します。
ナビやオーディオは自分で取り外す
ナビやオーディオを取り外すことで費用を安く抑えることができます。
ただし、これはただ処分に掛かる工賃を抑えるというよりも、走行に支障のない外せるものは外して、需要のあるものであればネットオークションやフリマアプリで「売ってお金にする」という側面が強いです。
素人が簡単に取り外しできるものではなく、売れるものか否かの判別ができるかも重要なので、自動車整備の経験のある人やクルマに詳しい人でない限りはおすすめしません。
車検切れの前に引き取り場所へ持ち込む
先ほど、廃車費用の内訳の中で「運搬費用が【0円~15,000円掛かる】」ことを説明しましたが、車検が切れる前または、故障して走行が困難な状態でない限りは、ご自身で買取業者や処分業者へと持ち込めば、運搬費用をまるまる節約できる可能性があります。
該当する場合は、かならず一度お世話になる解体業者さんに相談したほうが良いでしょう。
運搬費用全額が免除になることもあれば、自身で持ち込むにしても費用自体は一部負担の必要があったりと様々です。
廃車手続きを自分でおこなう
もっとも廃車費用を安く抑える方法は、廃車の手続きを自分でおこなうことです。
大まかな流れは以下のとおりです。
1. 解体業者に自身でクルマを持ち込む
2. 解体したことを証明する書類と取り外したナンバープレートを持って、陸運局で手続きを行う
以上を自身でおこなえば、車両の運搬費用【0円~15,000円】の分を抑えることができます。
また、場合によっては解体費用【0円~20,000円】の一部を抑えることができることもあります。
ただ、自分で廃車手続きをおこなう場合には、先ほど解説したように自分自身で陸運局に出向く必要があります。
対応してくれる解体業者探しや交通費、時間的な手間を考えると費用対効果は大きくありません。
このように、廃車費用を安くするための方法はいくつかあるにはありますが、いずれも大きく手間がかかり、ある程度の知識も要するのでスムーズにすべてを勧めることはハードルが高いです。
ご自身がクルマ屋であったりして、馴染みの解体業者さんがいる、陸運局に足を運ぶ機会も多く手続き関連に慣れている…などでない限りは、ここで紹介した解体費用を安く抑える方法はおすすめしません。
廃車買取業者のメリットと注意点
車を廃車にする場合の手続きは慣れていない人がやると余計な手間が増えてしまいます。そのため廃車買取業者に依頼して代行してもらうことが無難です。
一番のメリットは面倒な手間がなくなることです。自分でも手続きを行えるため、自ら書類を揃えて手続きを行う人はいますが、想像以上に時間を要することもあります。車関係の仕事をしている人で無ければ、慣れない作業に苦戦することもあります。
次に、業者であれば事故車でも引き取りしてくれることです。買取業者は走行不能状態の車でも買取してくれることがあります。車を処分するにしても工場まで車を移動させるための費用が発生します。買取業者であればパーツ取りのためなどで査定額を付けてくれることもあり、自宅まで引き取りに来てくれることもあります。
廃車による還付金の受け取りとは
廃車にかかる費用を安く抑えることが難しいのであれば、ほかに廃車に際しての支出を抑えることができる方法はないのでしょうか。
答えは「あります」
支出(費用)だけに目を向けるのではなく、本来自分自身が受け取ることができる還付金の存在を把握し理解することです。
還付金を受け取れる可能性のあるものは、全部で以下の3つです。
1. 自動車税(軽自動車は除く)
2. 自動車重量税
3. 自賠責保険料
それぞれくわしく解説していきましょう。
自動車税
自動車税はその年の4月から翌年の3月31日までの税金を、年額で先払いしている形になります。
よって、廃車した場合は月割りですでに納めている自動車税が還付されます。
注意すべき点は、月割りの基準となるのはクルマを手放したときではなく、あくまで陸運局で抹消登録された日を元に換算されるということです。
逆に言えば、同月中であれば1日から31日までどの日にちであっても、月割りなので翌月分以降で換算されます。
(例:10月1日~10月31日中に抹消登録されたクルマは、11月~3月までの5か月分の自動車税が還付される。3月中であれば還付金はなし)
抹消登録完了から1~2ヶ月ほどで手元に「還付通知書」が届くので、忘れずに最寄りの金融機関などで還付金を受け取るようにしましょう。
悪質な業者の場合、廃車にすると言いながら抹消せずにクルマを転売したりそのまま使用する可能性もあるので注意しましょう。
また、最大の注意点として軽自動車税は月割りの還付制度がないので、廃車をしても軽自動車税が還付されることはありません。
重量税
自動車重量税とは車検時に課税される税金で、普通乗用車・軽自動車の場合で2年分(新車であれば3年分)を先払いで納付するかたちになっています。
よって、自動車税と同様に月割りで還付され、月割りの基準日の換算法も同様です。
車検満了日から1ヶ月を切っていると還付されませんので注意しましょう。
また、自動車税の還付制度と同じく、自動車リサイクル法に基づき廃車されたことが証明されて初めて還付申請が可能です。
還付されるまでに要する期間はおおむね2ヶ月半ほどです。
還付金を受け取る方法は以下の2つです。
1. 指定されたゆうちょ銀行の店舗または郵便局に出向いて受け取る
2. 指定した銀行口座に振り込み(一部インターネットバンキング等除く)
その他、くわしいことは以下の【国税庁】のホームページに記載されているので、知りたい方はぜひご活用ください。
自賠責保険
自賠責保険は車検時に加入が義務付けられている保険です。
一般的に次回車検時までをカバーする24か月分または25か月分を先払いしています。
自動車重量税と同じく、廃車時には車検満了日を基準に月割りで還付され、車検満了日まで1ヶ月を切っている場合は還付されません。
また、自賠席保険の還付は加入している保険会社とやり取りを行うことになります。
廃車=抹消登録が完了したうえで保険会社に保険解約の依頼をかけることになるので、還付金の計算は保険会社に解約申請した日から算出されるので、廃車後は早めに手続きをおこなうようにしましょう。
手続きがすべて完了すれば1週間から10日ほどで、指定した銀行口座に振り込まれるのが一般的です。
解体業者さんが手続きを進めてくれることもありますが、ご自身で手続きをしなければいけないこともあるので、廃車をする前によく確認しておくことをおすすめします。
ご自身で手続きの必要がある場合は、一般的に以下のものが必要となります。
1. 振込先の銀行口座
2. 自賠責保険証明書の原本(コピー不可)
3. 登録事項等証明書(乗用車)または、自動車検査証返納証明書(軽自動車) のコピー【廃車したことを証明する】
4. 自動車損害賠償責任保険承認請求書
5. 保険契約者本人であることを証明する確認書類
手続きは郵送が一般的ですが、お急ぎの場合などは最寄りの保険会社の営業所で直接、手続きを行うこともできるので、まずは加入保険会社のサポートデスクに問い合わせて、手続きの流れを確認するのが良いでしょう。
廃車を検討中の方におすすめのサービス
Seibii(セイビー)では車の廃車も承っております。まずは何をどうすれば良いか分からない方はお気軽にチャットやお電話でお問合せ下さい。
廃車にすべきか否かというところからプロの整備士がご相談を承ります。
まとめ
一言で廃車にかかる費用やその相場といっても、その内訳を掘り下げると複雑であることがご理解いただけたでしょう。
また、還付金を受け取れるものもあったりと、なかなかすべてを完ぺきに理解することは難しいです。
また、その時々の情勢により鉄・アルミの価値が高いときであれば、逆にクルマを買い取ってくれる買取業者さんがいることもあるので、心当たりがあれば相談してみるのもオススメです。