エンジン始動時のきっかけを作る役割をもつセルモーター。
車を動かすために欠かせない部品のひとつですが、頻繁に交換するものではないため「どうなったら交換が必要なのか」「どれくらい持つのか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
今回の記事ではセルモーターが故障する前兆や寿命目安、万が一トラブルが発生した場合の交換費用相場などをご紹介します。
セルモーターとは
セルモーターは、止まっているエンジンを起動させる役割を持つモーターです。
一般的なガソリン車の場合、キーやボタンでエンジンを始動させる際にエンジンルームから「キュルキュル・ブルン」という音が聞こえることがありますが、この音がセルモーターの回転音で、停止中のエンジンに回転を始めるきっかけを与えています。
セルモーターにはピニオン摺動式・リダクション式・プラネタリ式があり、一般的な車ではリダクション式が主流です。
セルモーターが故障してしまった場合には、エンジンが全く動かなくなることも。突然のトラブルを防ぐためにも故障の前兆や寿命を知っておくことは非常に大切です。
セルモーターの仕組みと役割
一般的な車に搭載されているエンジンは、吸気・圧縮・膨張・排気の4サイクルを繰り返しエンジンを回転させる「4サイクル(ストローク)エンジン」を採用しています。
一度回転を始めれば4つの工程を連続で繰り返し、回転を維持しますが、エンジンだけでは停止中の状態から自ら回転を始めることができません。
そこで登場するのがセルモーターです。セルモーターは停止しているエンジンのシャフトを強制的に回転させ、回転を始めるきっかけを与えているのです。
エンジンの起動に欠かせないセルモーターですが、どのような仕組みで動いているのでしょうか。今回は普通車に搭載されていることが多い「リダクション式」でエンジンが回転を始めるまでの仕組みをご紹介します。
- スタートボタンを押すまたはイグニッションキーを回す
- ①をきっかけにバッテリーからセルモーターに電力が供給される
- セルモーターの一部であるピニオンと呼ばれる歯車が押し出され回転を始める
- ピニオンとクランクシャフトのリングギアが噛み合う
- ピニオンの回転がリングギアに伝わりエンジンの回転が開始する
正常にエンジンがスタートした後は、セルモーターとピニオンは切り離され、エンジンは自らの力で回転を繰り返します。
セルモーターの寿命
構造がそこまで複雑でなく、エンジンの回転が始まれば役割を終えるため、故障は稀とされるセルモーター。寿命はどれくらいなのでしょうか。
期間・走行距離で確認してみましょう。
交換時期の目安は10年~15年
一般的なセルモーターの寿命は10年から15年程度です。そのため新車購入から乗り換えまで一度もセルモーターの交換や修理が必要ないというケースも少なくありません。
「エンジンの始動回数が多いアイドリングストップ車は劣化が早いのでは?」と不安に思う方も多いかもしれませんが、アイドリングストップ車は使用回数が多い分、セルモーターの強化や負担を減らす工夫が施されているため、そこまで寿命は変わらないと考えていいでしょう。
交換走行距離の目安は10万~15万キロ
セルモーターの走行距離の寿命目安は10万から15万km程度です。
年間走行距離が1万km程度であれば10年以上はもつ計算となりますが、走行距離やエンジンの始動回数が多い場合は劣化が早く進む可能性が考えられるため注意が必要です。
セルモーターの故障の前兆
次のような症状が出た場合は、セルモーターが故障する前兆かもしれません。
【セルモーターの故障の前兆】
- バッテリーに異常がないのにエンジンがかかりにくい
- エンジンを起動するまでの時間が長くなった
- セルモーターの音が弱い、不規則
- いつもとは違う「ギュン」という音がした
セルモーター内のパーツの固着や、ギアの嚙み合わせ不良で上記のような症状が出る場合があります。完全に車が動かなくなってしまう前に点検を行いましょう。
また、いつも聞こえている「キュルキュル」という音が聞こえない・キーを回すと「カチッ」という音がするがエンジンが回らないという場合はセルモーターの故障が考えられます。
少しのズレでセルモーターが動かなくなった場合には、セルモーターを叩いたり、押しがけをすることで一時的に機能が回復するケースがありますが、これは応急処置にしかすぎません。
応急処置後すぐにエンジンが掛からなくなることもあるので、セルモーターの故障症状がでたらすぐに交換するようにしましょう!
セルモーター修理・交換業者の選択肢
セルモーターが故障してしまった場合には、ディーラー・整備工場・カー用品店・出張整備業者へ修理を依頼しましょう。
故障の対処策としては、次の3つがあります。
- 新品と交換する
- リビルト品と交換する
- 修理を行う
ギアのズレやパーツの固着が不具合の原因だった場合、修理やオーバーホールで機能が回復する場合があります。修理で治るのか、交換が必要なのかを知るためにもしっかりとプロに原因を究明してもらいましょう。
修理ができなかった場合は、セルモーター自体の交換が必要ですが、新品への交換は費用が高く付きます。
「少しでも費用を抑えたい」という場合はリビルト部品への交換がおすすめです。
セルモーター修理・交換の費用の相場比較
セルモーターの部品交換を業者に依頼した場合、業者ごとの費用相場は以下の通りです。
- ディーラー:5~7万円程度
- 整備工場:4~7万円程度
- カー用品店:4~6万円程度
- 出張整備業者:4~6万円程度
ディーラーは専門的な整備を受けられる反面、費用は他の業者に比べ高くなる傾向があります。
街の整備工場やカー用品店での交換は、ディーラーよりも費用を安く抑えられますが、業者によって設定金額はさまざまです。あらかじめ部品代と工賃でいくらになるかを確認しましょう。
ブラシ交換など、パーツの修理・交換だけで済む場合には数千円~1万円程度で済むケースがありますが、故障個所や度合によって金額は大きく変わります。
修理をしても短期間でまた不具合が出る可能性もありますので、ある程度使用年数が長いようであれば、新品またはリビルト部品への交換を検討した方が安心でしょう。
セルモーターの故障なら出張修理がおすすめ!
自宅や職場でセルモーターにトラブルが発生した場合には、指定の場所まで整備士が来てくれる「出張修理」がおすすめです。
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プロの整備士が部品をご用意してご希望の作業場所にお伺いするので、手間も費用も抑えられて、車が完全に動かない状態でも安心です。
セイビーでは事前に金額が確定するので、後から高額な請求をされる心配もないのでお気軽にお問い合わせください!
まとめ
セルモーターは、エンジンが回転するきっかけを作る役割を持つ部品です。
他の消耗部品と比べて壊れにくいとされていますが、故障してしまうと、エンジンがかからなくなります。
エンジンのかかりが悪い・いつもと違う音がする場合には、何らかのトラブルが発生しているかもしれません。
故障の前兆を感じたら、完全に車が動かなくなる前に修理や交換を行ないましょう。