行楽シーズン明けの9月。新型コロナにより、マイカー需要が高まる中、中古車市場は活況を取り戻してきました。一方で、新車販売は弱さが残ったままです。車のトラブル・ロードサービス救援総件数、カー用品(来店客数、売上)共に、バッテリー交換を除き、8月に比べると減少となりました。新車販売台数、中古車販売台数、ロードサービス最大手JAF「ロードサービス救援統計」、カー用品販売最大手のオートバックス「月次売上速報」、中古自動車オークション最大手USS「成約台数・台当たり成約単価」、新車販売台数を元に車の整備・修理業界2020年9月の概況を纏めました。
目次
2020年9月:新車・中古車販売状況
新車販売台数 - 例年通り9月は売れたが前年比では弱いまま
2020年9月の新車販売台数は46万9,706台でした。例年3月と9月が最も新車が売れるタイミングですが、今年もその通りの傾向となりました。
- 前月(2020年8月)比 : 43.89%増
- 昨年(2019年9月)比 : 14.32%減
新車販売ランキングTOP 10 : N-BOX首位陥落
2019年9月から連続1位記録を継続していたホンダ・N-BOXが首位陥落、トヨタ・ヤリスが首位を取りました。遂に崩した牙城をヤリスがどこまで維持できるか、来月以降に注目です!
- ヤリス(トヨタ) 22,066台
- N-BOX(ホンダ) 18,630台
- スペーシア(スズキ) 15,592台
- カローラ(トヨタ) 13,579台
- ライズ(トヨタ) 13,077台
- タント(ダイハツ) 11,897台
- アルファード(トヨタ) 10,436台
- ムーヴ(ダイハツ) 8,999台
- ハリアー(トヨタ) 8,979台
- N-ワゴン(ホンダ) 8,977台
車種・ブランド別販売台数上位20
中古車「業者間オークション成約状況」は市場が戻ってきた
業界最大手USSの中古車販売状況(業者間取引 = BtoB)を確認しましょう。2020年9月の業者間オークション成約台数は153,725台、平均車両単価は79万2,000円となりました。価格も台数も戻ってきましたね。新型コロナでマイカーの重要性が再認識され、購買し易い中古車に焦点が集まっているのでしょう。市場は活況レベル手前とすら言えそうです。
前月比、前年比は以下の通りです。
成約台数
- 前月(2020年8月)比 : 29.70%増
- 昨年(2020年9月)比 : 2.12%増
成約単価
- 前月(2020年8月)比 : 2.46%増
- 昨年(2020年9月)比 : 8.20%増
2020年9月:クルマの整備・修理・アフターパーツ業界概況
車のトラブル・ロードサービス救援総件数は略例年通りとなりました。また、カー用品最大手のオートバックスでは「来店客数」「売上」共に例年並に戻りました。
総救援出動(ロードサービス実施)件数
2020年9月のJAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は16万1,835件でした。前年比、前月比ともに減少しました。8月をピークに総件数が減るのは例年通りです。
全国JAF総救援出動件数:161,835件
- 前月(2020年8月)比 : 9.47%減
- 昨年(2019年9月)比 : 3.71%減
バッテリー上がり(過放電)件数
「バッテリー上がり」に因る2020年9月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は、4万9,970件でした。前年比、前月比ともに減少しました。
全国バッテリー上がり件数:49,970件
- 前月(2020年8月)比 : 6.36%減
- 昨年(2019年9月)比 : 2.22%減
バッテリーの劣化・破損(要バッテリー交換)
「バッテリー劣化・破損」に因る2020年9月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は13,497件でした。
9ヶ月連続で昨年比プラスで推移しており、旺盛なバッテリー交換需要が継続していることがわかります。
全国バッテリ−劣化・破損件数:13,497件
前月(2020年8月)比 : 3.86%増
昨年(2019年9月)比 : 16.90%増
オートバックスのバッテリー販売売上
オートバックスの販売売上を見ると、バッテリー需要の旺盛さがよくわかります。
金額・数量ともに前年割れだが、アイドリングストップ車用バッテリーが継続的に好調。
売上高は前年同月比マイナス1.3%。
- (参考)2021年4月期(2020年4月-2020年6月)のバッテリー売上:20億円 ※参考
タイヤのパンク・バースト・エア不足
「タイヤのパンク・バースト・エア不足」に因る2020年8月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は33,522件でした。
全国のタイヤのパンク・バースト件数:33,604件
- 前月(2020年8月)比 : 0.24% 増
- 昨年(2019年9月)比 : 4.23% 減
オルタネーター・ダイナモ故障
エンジンがかからない主要原因の1つであるオルタネーター(発電機)の故障。例年、9月がピークでそこから現象に転じますが、今年も例年通りの傾向となっています。
全国のオルタネーター・ダイナモ故障件数:3,930件
- 前月(2020年8月)比 : 34.73% 減
- 昨年(2019年9月)比 : 7.94% 減
スターター・セルモーター故障
オルタネーター・ダイナモと並び、エンジンがかからない際の主要原因の1つです。オルタネーター・ダイナモと同様に、8月が需要のピークとなります。スターター・セルモーターに因る2020年9月JAF総救援件数(一般道路、四輪自動車のみ)は2,321件でした。
全国のスターター・セルモーター故障件数:2,321件
- 前月(2020年8月)比 : 10.42% 減
- 昨年(2019年9月)比 : 11.51% 減
スパークプラグ故障件数推移
エンジンが掛からない際の主因の1つです。スパークプラグと合わせてイグニッションコイルが故障しているケースも多いです。
2020年9月の件数の開示はありませんでした。例年、冬場になると数が増える故障です。
全国スパークプラグ故障故障件数:N/A
- 前月(2020年8月)比 : N/A
- 昨年(2019年9月)比 : N/A
カー用品・アフターパーツ等販売状況
オートバックスの月次速報(店舗売上)を元に、各商品の販売状況を見ていきます。
タイヤ・ホイール販売状況
- 前年が増税に加えタイヤ値上げ前の需要増加により好調であったため、金額・数量ともに前年割れ
- 前年比マイナス 51.2% (金額ベース)
ドライブレコーダー・カーナビ等カーエレクトロニクス販売状況
- 金額・数量ともに前年割れだが、前月に続き6月末のあおり運転罰則強化を受けドライブレコーダーが堅調
- 前年比マイナス 36.0% (金額ベース)
エンジンオイル販売・交換状況
- 金額・数量ともに前年割れだが、量り売りオイルが堅調金額・数量ともに前年同水準を維持
- 前年比マイナス7.3% (金額ベース)
参照サイトと注意事項
この記事は以下の公開情報を基に作成しています。この場を借りて、情報公開に感謝申し上げます。
- JAF:ロードサービス救援データ
- 株式会社オートバックスセブン:2021年3月期9月度月次売上概況(速報)についてのお知らせ
- 株式会社ユー・エス・エス:IRニュース
- 一般社団法人日本自動車販売協会連合会:統計データ
- 一般社団法人 全国軽自動車協会連合会:統計資料
数字の注意
- JAFのロードサービスシェアは約50%で国内1位です。
- USSの中古自動車業者間オークション(BtoB)はシェア約40%で国内1位です。
- オートバックスのカー用品販売シェアは、公開されていませんが、国内最大手です。
- 従い、本記事記載の「ロードサービス救援件数」「カー用品販売状況」「中古車販売状況」等は、必ずしも日本全体の数字・傾向を表しているとは言えませんので、ご注意ください。
- なお、JAF救援実施件数は「一般道路」「四輪自動車」を前提に記載しており、高速道路上での救援件数は含めていません。日本全国では約2倍の出動要請があったと考えられます。