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バッテリーランプ(充電警告灯)とは?
バッテリーランプは充電警告灯とも呼ばれるメーター内部にある異常を知らせるサインです。
バッテリーランプが点灯・点滅しても、急に車が動かなくなったり部品が破損したりする可能性はほとんどないので、慌てずに停車できる場所を探してください。
バッテリーランプの点灯を無視して走行を続けると、故障の原因となる場合があります。
バッテリーランプが点滅・点灯するときの原因と理由
バッテリーランプが点灯・点滅する理由は複数ありますが、主に次の3つのいずれかが原因で起こります。
・発電機の故障や不具合
・バッテリーの故障や不具合
・ファンベルトの劣化
いずれにしても修理もしくは点検してもらう必要があるため、担当ディーラーもしくはお近くの整備工場へ依頼してください。
チェックランプの有無とダイアグコード確認
チェックランプの点灯をチェックします。
まずは、コンピューター診断機を使用し、ダイアグコードの確認を行います。
今回点検した車両は【P0A80-123】の電池内部異常が検出されました。
ダイアグコードにはコード検出条件が決められています。
一定の条件になった時(異常と判断したときに)コンピューターに不具合を記録するようになっています。
今回の内部電池異常はの検出条件は以下になります。
- 電池の内部異常で、バッテリブロック間電圧差が基準値以上のとき
- 2トリップ検出
となっています。
バッテリーブロックとは
カローラフィールダーのハイブリッドバッテリーは、20個のバッテリーモジュールで構成されており、2個のバッテリーモジュールを1ブロックとして、ブロックごとの電圧をコンピューターが監視しています。
1ブロックは約19.2Vとなっており、ブロック感の電圧差が大きくなると異常を感知してチェックランプの点灯と、ダイアグコードの出力をします。
バッテリーボルテージセンサー
バッテリーボルテージセンサーにて、ブロック間の電圧をチェックしています。
バッテリーボルテージセンサーに不具合が発生すると、ブロック間の電圧を正確に図ることができなくなり、このダイアグコードが乗ってしまう場合があります。
ただし、バッテリーボルテージセンサーが壊れると、【P0A80-123:電池内部異常】のダイアグが確実に入力されるわけではなく、あくまでも、ブロック間の電圧の差が既定値を超えた場合に【P0A80-123:電池内部異常】のダイアグが入力されるので、注意が必要です。
HVバッテリーとボルテージセンサーの交換
ハイブリッド系統のチェックランプが点灯するとHVバッテリーの交換と安易に考えがちですが、チェックランプが点灯するために使っているセンサーが壊れると同じようにチェックランプが点灯します。
HVバッテリーを交換したのにチェックランプが消えないということがあるます。
バッテリーボルテージセンサーはHVバッテリーを取り外さないと交換できない場合があるため、【P0A80-123:電池内部異常】が表示された場合には、HVバッテリーと一緒にボルテージセンサーを交換をおすすめします。
2トリップとは
1トリップとは、エンジンがoffの状態から、エンジンがIGONの状態になることを言います。
わかりやすく言うと、駐車中の車にエンジンを掛けた状態を1トリップと言います。
2トリップ検出とは、1回エンジンを掛けた状態で不具合が発生しても、チェックランプが点灯せず、2回めにエンジンを掛けたときに、同じ不具合が発生したら、チェックランプとダイアグコードが入力されるようになります。
1トリップだけで、ダイアグコードが入力し、ランプが点灯してしまうと、走行中の電圧の変動などの不具合ではない場合にもチェックランプが点灯してしまい、オーナーに余計な不安を煽ってしまいます。
そのため、2回同じ不具合現象が起こったときに、チェックランプが点灯するようになっています。
ただし、1回目に不具合が起きたときのデータは車のコンピューターに記録されるようになっているので、本当に不具合が起きているのか、そうでないかの診斷もできるようになっています。
サービスプラグ取り外しと放電確認
まずは、ハイブリッド作業を安全に行うために、サービスクリップの取り外しと放電確認を行います
。
作業手順は以下です
- 補機バッテリー取り外し
- サービスプラグ取り外し
- インターカバー取り外し
- 放電確認
サービスクリップは、ハイブリッドバッテリーから各シムテムの間に入っているブレーカーのようなもので、サービスプラグを取り外すことで、物理的にハイブリッドシステムの回路を遮断します。
サービスプラグの場所は車種により異なりますが、基本的にはハイブリッドバッテリー本体についています。
今回のハイブリッドバッテリーは後部座席の下にあるので、サービスクリップも後部座席の下についています。
そのためにまずは後部座席の取り外しを行います。
注意事項
高電圧部位を触る前には必ず注意事項を守って安全作業を行います。
絶縁手袋
絶縁手袋を使用する際には亀裂や損傷、湿潤が無いことを点検します。
- 目視にて、亀裂やひび割れ、損傷が無いことを点検
- 手袋の袖口から空気を吹き込み、空気漏れが無いことを確認
作業
- シャープペンシルやスケールなど、金属性のものは身に着けない様にします。作業中に落として、高電圧部位がショートする危険があります。
- 絶縁工具を使用します。ただし、専用の絶縁工具の仕様が出来ない場合には、工具に絶縁テープを巻きつけ使用します。
- 高電圧のコネクターを取り外したときには、コネクターに絶縁テープを巻きつけます。
- 高電圧系の取り付けネジは確実に規定トルクで締め付けます。
作業中の表示
高電圧作業中は、他の人に高電圧の作業中というのが分かるように表示を掲げます。
これは、作業中に他の人が不用意にIGをONにしたり、車両を触ったりしないようにするためです。
(トヨタの表示参考)
ハイブリットシステムの放電確認
手順
- サービスクリップを取り外し後、10分間車両を放置
- インターターミナルカバー取り外し
- インターカバー取り外し
- 残留電圧確認
1.10分間放置
サービスクリップを取り外すと、ハイブリッドバッテリーとハイブリッドシステムが物理的に回路が遮断される仕組みになっています。
しかし、ハイブリッドシステム内には電圧を一時的に貯めておく様に出来ています。なので、高電圧のバッテリーを取り外した後でも、高電圧が流れる可能性が残っています。
そのために、サービスクリップを取り外した後、10分間車両を放置します。
2.インターターミナルカバー取り外し
10分放置後、インバーターのインバーターターミナルカバーの取り外しを行います。
インバーターはエンジンルームにあるので、ボンネットを開けます。
写真の赤丸の部品がインターターミナルカバーです。
10mmのボルト2本を取り外してカバーを取り外します。
カバーにはコネクターを付いているので、まっすぐ上に引き抜きます。
3.インターカバー取り外し
インターカバーはインターターミナルカバーの隣にあります。
インターターミナルカバーを取り外さないと取り外せない構造になっています。
4.残留電圧確認
インターカバーを取り外したら、PCU(パワーコントロールユニット)内の残留電圧を点検します。
ここにもお大きな電圧が残っている可能性があるため、きちんと絶縁手袋を装着し電圧を測定します。
測定値が0Vであれば正常となります。
測定する端子の場所は車両によって異なりますが、カローラは下図の箇所となります。
※車種により点検する端子の場所は変わるため、修理書を見て確認を行いましょう。
外した箇所を元に戻す
残留電圧を確認したらインターカバーとインターターターミナルカバーを元に戻します。
しっかりとボルトも締め付けましょう。
【予防方法】バッテリーランプを点灯させないために
バッテリーランプを点灯・点滅しないようにするには、定期的に点検をして古くなった部品の交換・修理をおこなうしかありません。
車検だけでなく1年点検や2年点検も自動車の所有者の義務なので、整備工場や販売店へ必ず足を運ぶようにし、大きなトラブルが起こる前の対策をしましょう。