こんにちは、seibii自動車整備士の野仲です。
皆さん、クルマで一番重要な部品は何だと思うでしょうか?
そうです、クルマで一番重要な部品は「タイヤ」です。
なぜなら、理由はとてもシンプルです。地面と唯一接触しているのがタイヤだからです。
自動車が前に進むも止まるもタイヤ次第というわけです。
タイヤと地面が接触している面積の合計はハガキ1枚分と言われます。そんなわずかな面積だからこそタイヤの性能は重要になります。
そんなタイヤの基礎知識1をご紹介いたします。
タイヤの構造
タイヤはけっしてゴムだけで出来ている訳ではなく、金属のワイヤーなどで構成されており、複雑な構造となっています。
ゴム
タイヤのゴムもいくつもの素材が混ぜられて作られています。
天然ゴム
合成ゴム(石油から作られるゴム)
- スチレンブタジエンゴム
- ブタジエンゴム
- イソプレンゴム
- ブチルゴム
ゴムの配合剤
- カーボン
- シリカ
- オイル
- 樹脂
- 老化防止剤
- 亜鉛華
- ステアリン酸
- 加硫促進剤
- 硫黄
(参考:[ブリヂストン] )
トレッド
タイヤと地面が接触部分をトレッドを呼びます。タイヤ内部のカーカスなどを保護するため、耐摩耗性に優れた厚いゴムで作られています。
トレッドには滑り止めと熱の放散のために溝が設けてあり、いくつかのパターンに分かれています。
1.リブ型
周方向に溝があるもの、舗装路を高速で走るのに適している、横滑りしにくく操作性、乗り心地もすぐれ、走行音も小さい
2.ラグ型
横方向に溝があるもの、けん引力を第一にしたパターンで悪路や非舗装路では力を発揮するが、横滑りや変摩耗を起こしやすい。主としてダンプカーなど特別装備車に使用される
3.リブ・ラグ併用型
前記2種類を組み合わせたパターンで中央部にリブを設けて操作性を向上させて横滑りを防ぐとともに、両肩部にラグを配して、リブ型に足りないけん引力を確保する。したがって、舗装路、非舗装路ともに使用できる。主として小型トラックに使用される
4.ブロック型
砂地、雪路、軟質地などで自動車を支えるのに適したパターンである。しかし、走行中、ブロック(溝で仕切られたトレッドの固まり)の動きが大きいため、弓時、軟質地以外で使用すると摩耗が早い)
カーカス
カーカスはタイヤ内部の空気圧を受け止め、タイヤの形状を保つための骨組みです。すだれ状に織ったコード布を斜めに交互に重ね、ゴムで密着させたものです。コードにはレーヨン、ナイロン、ポリエステル、スチールなどが用いられます。
カーカスは幾つかの層で形成されており、この層をプライと呼びます。層を4つ重ねたものを4PR(プライ)、8つ重ねたものを8PRと言い、数字が大きくなるほど荷重能力(どれほど重さに耐えられるか)が大きくなります。この表示は貨物タイヤの表面に表示が義務付けられています。
ブレーカ
ブレーカはバイアスタイヤのカーカスとトレッドの間にあるコード層で、外部からの衝撃を受け止め、トレッドにできた傷がカーカスに届くのを防ぎます。また、ブレーカはトレッドとカーカスの剥離を防ぐ役割も行っています。
ベルト
ラジアルタイヤのカーカスとトレッドの間にあります。
ビード
ビードはタイヤをリム(ホイールのタイヤがはまる部分)の上に安定させる役目を持ちます。ビードワイヤとこれを取り巻く布層及びリムずれを防ぐチェーファというゴム引き布からできています。
ビードワイヤはピアノ線を1本づつゴムで覆ってあり、ワイヤが相互に接触して錆びることを防ぐようになっており、ワイヤがはがれないような構造となっています。
チューブ
チューブタイヤのみに必要な部品となります。自転車のタイヤのチューブがこれと同じです。
チューブは内部の空気圧を保ちながらタイヤの走行により発する熱を受け、かつ、タイヤの回転ごとに屈曲するようになっています。したがって、チューブは耐熱性、耐屈曲性、弾力性及び気密性に優れていることが必要であると言えます。
チューブの機能上もっとも大切なことは空気圧の保持に優れていることになります。チューブは天然ゴムと合成ゴムが用いられますが、合成ゴムは特に気密性に優れている。
バイアスタイヤとラジアルタイヤ
タイヤの骨組みであるカーカスをどのように組むかによって、タイヤは2種類に分けられます
バイアスタイヤ
カーカスのコード布が交差して骨組みが組まれているものをバイアスタイヤ言います。
高い剛性を確保できる構造のため、高荷重に耐えることができます。低い速度は乗り心地はよく安定性はあるのですが、速度が高くなると安定性を欠く構造となっています。
オートバイで多く採用されています。
ラジアルタイヤ
カーカスのコード布がタイヤの回転に対して横(放射線方向)に組まれているのをラジアルタイヤと言います。
バイアスタイヤに比べて、路面を捕まえる力が強くスリップを起こしづらいのが特徴です。トレッドを薄くできる為、タイヤの放熱性に優れるが、低速走行時や悪路の乗り心地はバイアスタイヤに及ばないのが特徴です。
乗用車に使われるタイヤのほとんどはラジアルタイヤとなっています。
タイヤの表記
タイヤの表面にはサイズや性能を表示する記号が示されています。
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タイヤの幅 (mm表示)
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扁平率 (タイヤの高さに幅を割った割合)
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ラジアルタイヤ or バイアスタイヤ
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タイヤ内径 (ホイールサイズ、インチ表記)
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荷重指数 (ロードインデックス)
-
速度記号 (L,Q,R,S,H,H,V,W,Y(Y))
-
プライレーティング (PR)
ラジアルタイヤの表記はこのようになっています。
(ラジアルタイヤの表記にはプライレーティングはありません)
195/65R15 91 H
195 タイヤの幅
65 扁平率
R ラジアル
15 タイヤの内径(ホイールのサイズ)
91 荷重指数(ロードインデックス)
H 速度記号
対象車両(ULT(ウルトラライトトラック)、LT(ライトトラック)、HW-J(ハイウェイ・トレッド)、EHT(エクストラヘビートレッド))
バイアスタイヤの表記は主に以下の2つとなります。
B70-13-4PR
B バイアスタイヤ
70 扁平率
13 タイヤの内径(ホイールのサイズ)
4PR プライレーティング
195/70R15 106/104L LT
195 タイヤ幅
70 扁平率
R ラジアル
15 タイヤ内径(ホイールのサイズ)
106/104 ロードインデックス
L 速度表記
LT ライトトラック