はじめに
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は、株式会社Seibiiの取り組みに対し、多くのお客様、整備士の皆さま、そして業界関係者の皆さまより多大なるご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
皆さまの支えもあり、2025年7月、株式会社Seibiiの出張整備サービスは、累計対応台数30万台を突破いたしました。現在も成長は継続しており、次の大きな節目となる50万台突破も視野に入ってきています。
新しい年の始まりにあたり、昨年の取り組みを振り返りながら、自動車整備業界が直面する構造的な課題と、それに対して当社がどのような視点で向き合ってきたのか、そしてこれからの方向性について整理いたします。
深刻化する整備士不足の現状
自動車整備業界は現在、かつてない人材不足に直面しています。
自動車整備士資格試験の申請者数は長期的な減少傾向が続き、ピーク時と比較すると半数以下の水準にまで落ち込んでいます。
また、自動車整備士の有効求人倍率は全職種平均を大きく上回る高水準で推移しており、人手不足が常態化しています。その結果、倒産や休廃業を選択せざるを得ない整備事業者も増えています。
整備士不足は、単なる一業界の問題ではなく、モビリティ社会全体を支える基盤に関わる社会課題であり、業界として継続的に向き合うべきテーマだと認識しています。
「潜在整備士」の活用という視点
これまで業界では、整備士を目指す学生の増加、若手育成、外国人整備士の活用などが進められてきました。いずれも重要な取り組みです。
一方で、日本全体が人口減少局面にある中、「新たに人を増やす」ことだけに依存するモデルには限界があります。
私たちが注目しているのは、他業界で広がる「潜在労働力の活用」という考え方です。
観光業、飲食業、一次産業などでは、スポットワークを通じて即時かつ柔軟な人材供給が実現し、急な欠員対応や繁閑差への対応が進んでいます。
ただし、自動車整備は、こうした一般的なスポットワークと同列に語れる仕事ではありません。一定の実務経験や専門性が求められるだけでなく、何よりも整備品質と安全性を安定して担保する仕組みが不可欠です。
整備業界において潜在整備士の労働力を活用するためには、「誰でも・すぐに」ではなく、「資格と経験を持つ人が、安心して現場に戻れる」仕組みが前提になります。
資格や経験を持ちながら、育児や介護、体力的な制約、勤務時間の問題などから整備の現場を離れている「潜在整備士」は少なくありません。
Seibiiは、整備士一人ひとりのスキルや経験を把握し、品質管理と責任の所在を明確にした上で現場とつなぐことで、この領域における新しい働き方を実装してきました。
整備士不足は「人が足りない」問題ではなく、資格や経験を持ちながら、適切に活躍できる場が用意されていないという構造的な課題だと捉えています。
出張整備という新しい働き方
Seibiiの出張整備は、こうした潜在整備士の活用を前提とした働き方です。
働く時間や場所に縛られず、通勤の負担もなく、自分の都合に合わせて案件を選べる柔軟性があります。
この仕組みにより、これまで整備業界から一度離れていた整備士の方々が、スポット的に現場へ復帰し、再び専門性を発揮するケースが着実に増えています。
今後も、こうした新しい働き方の可能性をさらに広げていきたいと考えています。
重点施策:「助っ人整備士(スポット工場バイト)」による業界協業
2025年、当社が特に注力してきた取り組みの一つが、「助っ人整備士」によるスポット工場バイトです。
これは、当社に登録する整備士が、必要なタイミング・期間に応じて、ディーラーや専業整備工場などの現場を支援する仕組みです。
当初は、当社の取り組みが“黒船的”に受け止められ、距離を感じる場面があったのも事実です。しかし、丁寧な対話を重ね、お互いの課題や考えを共有する中で、現在では多くの事業者様にこのスポット工場バイトをご活用いただいています。
また、スポット工場バイトを通じて相互理解が深まった上で、整備士を正社員として採用いただくケースも増えています。事前に現場や業務内容を理解した上での採用となるため、入社前後のギャップが小さく、双方にとって納得感のあるマッチングが実現しています。
さらに、当社の対応が難しいエリアについては、お客様を他の整備事業者様へご紹介する取り組みも進んでいます。
業界が持続的に成長するためには、人材や顧客を囲い込むのではなく、シェアし、補い合う「共創」の発想が不可欠であり、この考え方をこれからも大切にしていきます。
訪問特定整備制度の施行 ― 業界の転換点
2025年6月、国土交通省により「訪問特定整備制度」が施行されました。
制度の運用については走り出しの段階ではありますが、出張整備の必要性と利便性が国レベルで制度として公に認められたことは、業界にとって大きな転換点です。
出張整備が単なる「便利なサービス」から「社会インフラ」へと進化するためには、テクノロジーによる品質とプロセスの透明化が不可欠です。
当社は、作業記録のデジタル化や責任の明確化を徹底することで信頼を担保し、業界全体のDXを力強く推進してまいります。
おわりに
人口減少という避けられない現実の中で、自動車整備業界は引き続き大きな転換期にあります。
潜在整備士の活用、スポット工場バイトによる業界協業、そしてDXによる業務効率化と品質・透明性の向上。これらはすべて、業界の持続可能な成長に欠かせない要素です。
Seibiiは、出張整備という新しい働き方を通じて、整備士の方々に多様なキャリアの選択肢を提供するとともに、業界全体の人材不足解消に取り組んでまいります。あわせて、業界の垣根を越えた協業を推進し、お客様にとってより良い整備体験を提供できる環境づくりに尽力していきます。
本年も、「人とモビリティとの新たなストーリーを作る」というミッションのもと、整備業界の未来に貢献できるよう、挑戦を続けてまいります。