東京都千代田区神田で1922年の創業以来、100年以上にわたり地域のモビリティを支えてきた株式会社ホクソンモータース。近隣の整備工場が後継者不足で次々と姿を消す中、同社もまた長年勤めたベテラン整備士の退職をきっかけに、深刻な人手不足に直面していました。
正社員採用、派遣、他社のスポットワークサービスなど、さまざまな選択肢を試しても定着せず、頭を悩ませていたところに出会ったのが、Seibiiの「スポット工場バイト」でした。導入から数ヶ月が経った今、現場では何が変わったのか。北村社長にお話を伺いました。
創業は1922年、大正11年です。関東大震災の前の年にあたります。もともとは祖父が自転車屋として始めた店で、そこから三輪自動車やバイクなど扱う乗り物の幅が少しずつ広がっていくのに合わせて、事業を広げていったと聞いています。戦争中は空襲も経験していまして、法人になったのは昭和27年です。祖父から父、そして私と、3代にわたって100年以上、この神田の地で商売を続けてきたことになります。
サービス導入検討のきっかけは、ずっと働いてくれていたベテランの整備士が、退職したことです。長年うちを支えてくれた人で、無理に引き止めるわけにもいかない。ただ、抜けた穴はかなり大きくて。
正社員を採用することも考えましたし、派遣も試しました。でも、なかなかうまくいかなかったんです。うちの現場はずっと同じメンバーで長くやってきているので、新しく入った方に一から教える余裕がありませんでした。また、正社員をもう1人雇うとなると、会社としての経費負担も軽くはありません。
この辺りでは後継者不足で廃業する同業者が本当に増えました。 跡地はマンションやホテルになってしまうことがほとんどです。おかげで、リース会社さんなどからは「近くで頼める整備工場がなくなった」という相談が増えていました。仕事自体がないわけではないんです。むしろ依頼は途切れない。でも人手が足りなくて、お断りせざるを得ない状況が続いていました。正直、危機感はあります。
もう一つ、都心ならではの物理的な負担もあります。駐車スペースが限られている中での出し入れや、渋滞もあって、距離のわりに納車や引き取りの実働時間が長いんです。
他社の同様なサービスを一度使ったことがあります。来てくれた方はとても良い方でした。ただ、同じ方にまた来てほしいと思っても、リピート依頼ができない仕組みで、次も来てもらえるかどうかはわからない。現場からは「同じ方に来ていただけないなら、活用しづらい」という声も出ました。
また、手続きがすべてネット上で完結する仕組みだったので、そこも少しハードルの高さを感じていました。
すべてネットで相談先がなく、良い人に来ていただけるかどうかは運任せ、いかなる場合でも支払いは発生してしまう、良い方と出会えてもリピートできない、という点から継続して利用するには至りませんでした。
「スポット工場バイト」を知った当初は正直、「そういうものもあるのか」くらいの感覚でした。 その後、工場まで来てくださったSeibiiのご担当者の方からより詳しく説明を聞き、「じゃあ試しにやってみましょうか」と、すぐに導入を決めた記憶があります。 やってみないとわからないですし、頭で考えていても仕方ありません。当時は仕事自体はあるのに対応しきれず、お断りしなければならない状況が続いていましたから何とかしたい一心でした。
2人の整備士の方に来てもらっています。最初は様子見のところもあったものの、2回目以降は割と安心して任せられるようになりました。
2人とも、依頼した仕事に対して「これはできません」とは言いません。わからないことがあれば、その場にいる者に聞きながら対応してくれます。 飲み込みも早く、未経験の車種の構造も、他の車種での経験を踏まえてすぐ理解してくれるので、助かっています。
タイヤ交換の経験がなかった方も、現場に入るうちにできるようになっていくなど、成長する様子も見られ、頼もしく思います。
印象に残っているのは、こちらが手一杯でお客様の対応が回っていなかった時に、整備士さんの方から自主的にお客様に声をかけて対応してくれたことです。頼んだわけではないのに、そういう気配りをしてくれるのはありがたいです。
「スポット工場バイト」のシステム自体は特に困ることなく使えています。その上で、担当の方には電話でも何度も相談させてもらいました。そのたびに丁寧に対応していただけて、ありがたく感じています。
実際に、応募の締め切りが日曜の夜だったのを月曜まで延ばしてもらうなど、こちらの相談を受けてサービス自体を改善してもらえたこともありました。
今来てくれているお2人には、継続してお願いしています。毎回、同じ方に来てもらえるのは非常に助かります。
先ほどお話ししたように、以前一度使った他のサービスではリピートができませんでしたが、スポット工場バイトはこちらで選んだり、時にはお断りしたりでき、気に入った方には継続してお願いでき、安心感につながっています。
もちろん、お2人だけに頼り切りになるリスクは認識しているので、3人目に入っていただく方も、ゆくゆくは検討していかなければとは考えています。
正直に言うと、今はまだ利用の量をあえて抑えているところがあります。今のペースを1年続けたらコストがどうなるのか、四半期くらいの単位で慎重に見極めたいという段階です。
この先どう活用していくのが一番良いのかは、Seibiiの担当の方にも相談しながら、模索していきたいと思っています。
実は以前、知り合いの工場から相談を受けたことがあります。整備士が1人しかいない工場で、その方が急に長期間動けなくなってしまった。「うちで代わりに車検を見てくれないか」と頼まれたのですが、うちも手一杯で対応できませんでした。こういう「もしも」の場面で、スポット工場バイトのような仕組みを知っておくことには意味があると思います。
100年以上、地域のモビリティを支え続けてきたホクソンモータース。ベテラン整備士の退職という大きな転機をきっかけに、正社員採用や派遣、他社サービスなど様々な選択肢を検討した末にたどり着いたのが、Seibiiの「スポット工場バイト」でした。
同じ整備士に継続して来てもらえる安心感、困ったときに電話で相談できるサポート体制、そして一時的な人手不足への備えとしての価値。老舗ならではの視点から語られる今回のお話は、同じように人手不足に悩む整備工場にとって、多くのヒントを含んでいるのではないでしょうか。