修復歴に注意 - 安く安全に中古車を購入するヒント
2019.06.18

安く購入したい中古車 - 「修復歴あり」を選ぶ理由

中古車を選択する場合の一番の理由は金額面です。そして、新車と異なり、中古車は同じメーカー・車種であっても、1台1台その状態は大きく異なります。その理由は前オーナーのメンテナンス状況や、事故歴に因るからです。

そんな中古車市場の中でも、一段安い値段で車を購入することができるのが「修復歴:あり」の車です。

正しくその意味とリスクを理解すれば、賢く中古車を購入することができます。一方で「安い」という理由だけで手を出すと、思わぬトラブルの原因となり得ます。

また「修復歴:なし」だからと言って、事故歴がない・安全な車、とは限りません。

一般の方にはわかりにくい修復歴と中古車の関係に関して、順番に解説していきます。

「修復歴」と「事故歴」はイコールではない

中古車の購入を検討する際に、多くの方が避けたいのは以下に該当する車でしょう。

  1. 事故車
  2. 水没車・冠水車
  3. 故障車
  4. 整備不良・不足車

これらを完全に見分けることは不可能ですが、中古車販売業車は「修復歴」と定義される項目の「有・無」を表示する義務があります。

修復歴「無し」でも事故歴・修理歴が無いとは限らない!

実際に、中古車を販売店に見に行ったり、中古車情報サイトで検索をし、「修復歴:なし」と記載されている場合、どう感じるでしょうか?

詳しい方でない限り、「事故車や故障車では無いのだな」と思ってしまうのが普通です。

ところが「修復歴:なし」だからと言って、事故車・故障車では無いとは言えないのです。

修復歴とは - 定義と基準

「修復歴あり」とは、車の基本骨格(フレーム)等を交換、或は、修復した車のことをさします。正確な定義を見ていきましょう。

「自動車公正競争規約」の定義

修復歴 = 車体の骨格に当たる部位の修正及び交換歴の有無

「中古車に関する施行規則」の定義

修復歴 = 次に掲げる車体の骨格に当たる部位を修正及び交換することにより復元されたものをいう。
① フレーム(サイドメンバー)
② クロスメンバー
③ フロントインサイドパネル
④ ピラー(フロント、センター及びリア)
⑤ ダッシュパネル
⑥ ルーフパネル
⑦ フロアパネル
⑧ トランクフロアパネル

画像で該当箇所を示すと以下の通りです。
修復歴:車のフレーム

出所:日本自動車鑑定協会自動車公正競争規約集

「修復歴なし」となる事故・故障例

つまり、過去に事故を起こした車、故障して修理(一般的に言う修復)した車であっても、車の基本骨格(フレーム)等を交換・修復していなければ「修復歴:無し」となるのです。

怖いですね。

例えば以下の事例がそれに当ります。

例1)パワーウィンドウの故障

「ドア」に対する事故があり、板金にて見た目を修復したものの、窓の開閉(パワーウィンドウ)に不具合が残ったままとします。この場合、修復歴は「なし」になります。

例2)エンジン不調

エンジンが不調で、何度か修理をしていたとします。この場合も、修復歴は「なし」となります。

ルールの目的と実態の乖離

修復歴の表示は、業界団体である一般社団法人自動車公正取引協議会が定める自動車公正競争規約集に、規定されているルールで、自動車販売業者にとって実質的に義務と呼べるものです。

規約そのものは、消費者が安心して車を購入するための業界自主ルールを定めたものですが、修復歴に関しては、その「定義」と「その言葉から一般の方が想起する内容」に大きくギャップがあるのが実態です。

アテにできない軽度/中度/重度

また、修復歴には、重症度により「軽度」「中度」「重度」の三段階で評価が付いています。ただし、目安に使える程度で、それによる保証はありません。

日本自動車鑑定協会 には以下のように記載されています。

※軽・中・重の評価は鑑定師の目視による確認であり、機能や走行を保証するものではありません。

中古車販売店にとっての事故車は「修復歴:あり」の車

あくまで例ですが、以下のようなやり取りが発生した際は、担当販売員が、何かを隠そうとしている可能性が疑われます。

お客様「この車は事故車では無いですよね?」
販売員「・・・表示されている通り、修復歴は有りません。(*事故とは言わない。また定義に関する説明もない。)」

事故車・故障車の告知義務はない

「修復歴」の告知、表示義務がある一方で、事故車や故障車の消費者への告知に関しては、各々の判断に委ねられています。

この点を消費者が理解しておくことが、後々のトラブルを防ぐためにも大切です。

整備士では無い中古車販売店

忘れていけないポイントがあります。

中古車販売店の方々は、(必ずしも)整備士ではない、と言うことです。つまり、重大な事故や故障があったとしても、それを知らずに、あるいは修理・整備の程度を理解せずに、販売している可能性が十分にあると言うことです。

修復歴車を買うメリットと購入時の注意点

修復歴ある車を買うメリットは「安さ」です。修復歴有りだからと言って、必ずしも悪いわけでは有りません。「安い」メリットを追求しつつ、大きなリスクを負わない為には、以下の注意点を考慮しましょう。

注意点1. 中古車販売店を選ぶ - ディーラー系は安心

ディーラー系で販売されている中古車の場合、「修復歴:あり」という表示があったとしても、事故箇所や修理箇所、不具合を公明正大に説明してくれ、また補正も正しく行われていると考えて良いでしょう。ディーラー系はカーメーカーの看板を背負っており、信頼とブランドが命です。

逆に、運営元がはっきりと見えなかったり、インターネットでの評判が悪い中古車販売店にて「修復歴:有り」を購入する場合、いい加減な修理が行われている可能性や明示されている以上の損傷箇所がある場合も多々有り、注意が必要です。小さな中古車販売業者には整備士がおらず、悪意がなく粗悪車を販売している可能性もあります。

注意点2. 第三者の整備士や中古車査定士に同行してもらう

餅は餅屋。車の不具合や性能は、その道のプロに診てもらうことが一番です。

知り合いに整備士や中古車査定士がいる場合は、お願いして現車確認をしてもらいましょう。また、中古車購入前診断をサービスとして提供している業者もいますので、そう言った業者に依頼することも有りです。

もちろん目視では限界もあります。しかし、素人には気づかない点に気づいてくれます。

修復歴車のデメリット

修復歴が有ることを認識していたとしても、「事故の度合い」や「実施された修理の程度」は素人には判断がつきません。実際に、売ることありきで簡易な修理しか実施していなかったり、普通に運転しているのに、少しづつ曲がってしまう、といった事例も起きています。

安いからといって購入した結果、大きな整備修理が必要になってしまったら本末転倒です。

修復歴車を購入する場合には、そのリスクや背景を正しく把握・理解できている場合に限りましょう。

(参考) 「起こし」という業態

鈑金(板金)の世界では、大きく潰れてしまった事故車を、元通りに直す起こし(業界用語)と呼ばれる業態がります。

事故車を「安く」仕入れて、修理後「高く」売るビジネス

事故車を、オークション等から安く仕入れ、車を(少なくとも見た目は)元通りにして、中古車市場に販売していくビジネスです。

そもそも、事故車が流通しているの?と思われる方もいるかもしれません。はい、適法、正当に、流通しています。

「起こし」と「保険会社」の関係

事故車を語る上で外せないのが、保険会社です。保険会社は、保険金と引き換えに、事故を起こした全損車を引き取理、事故車をオークションに出品するのが通常です。そこで高く販売し、資金回収を行うのです。事故車オークションで事故車を仕入れた業者は、起こしを行って、日本で中古車として再流通させたり、或は、海外の起こし業者に輸出販売などしています。

安価に購入できるメリット

起こしそのものは違法ではなく、相場より安く購入できるといったメリットも有ります。

ただ、素人に当該自動車の品質を正しく判断することは非常に困難で有り、十分に気をつけないと、トラブルの原因になりえます。

まとめ

事故車や故障車で修理歴があったとしても、以下の場合は「修復歴:無し」になることがわかりましたね。

  1. 基本骨格/フレームへの損傷が軽度な車
  2. エンジンや足回り、窓などのその他性能に異常がある車

「修復歴:無し」には、死傷者が出ている事故車、人身事故を起こした車、或は自殺に関連した車が含まれる可能性もあるわけです。(*水没車に関しては、告知義務が有ります)

「相場より安い」は目安の1つ

こういったトラブル車を避ける方法は、消費者の目利きと知識と言わざるを得ないのが現状ですが、「相場より安い」車は1つの目安でしょう。同じ車が異なる値段で販売されている場合、そこには必ず理由があります。「安い中古車」と言っても、絶対額は決して小金ではありません。事後の後悔や想定外の出費を防ぐ為にも、販売店と確りとコミュニケーションを行いましょう。

悪意のない中古車販売店

中古車販売会社は、自動車整備や修理のプロとは異なることも理解するべきです。つまり、悪意なく、質の悪い車を、不適切な価格設定で販売しているリスクがあるということです。

その点、ディーラー系の中古車販売の場合、整備・修理の専門人員を雇用していることが通常ですので、多少高くても安心料を支払っているとも言えます。

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