電気自動車の中古車購入は広がるか？最新調査で見えた課題と展望

公開日：2025.03.16

近年、環境意識の高まりとともに電気自動車（BEV）の普及が進んでいますが、中古車市場における需要はどの程度あるのでしょうか。
株式会社ネクステージが全国の20～59歳の男女1,101名を対象に実施した調査では、電気自動車の魅力は「環境性能」と「燃費の効率性」とされる一方で、中古車としての購入には慎重な意見が多いことが分かりました。
本記事では、電気自動車の中古車購入に対する意識や課題、今後の展望について詳しく解説します。

電気自動車の魅力とは？　環境性能と燃費の良さが評価
電気自動車の購入をためらう理由とは？
中古車の電気自動車は人気がない？　バッテリーの消耗が最大の懸念
電気自動車の中古市場を拡大するには？インフラ整備と認知向上が鍵
まとめ中古EV市場の発展には信頼性向上が不可欠

電気自動車の魅力とは？　環境性能と燃費の良さが評価

調査では、電気自動車の魅力として「環境への配慮（36.4%）」が最も多く挙げられました。
次いで、「燃費（電費）の良さ」や「維持費の安さ」が評価されており、持続可能な社会の実現を意識する層が増えていることがうかがえます。

電気自動車に感じるメリット（ネクステージ調べ）

しかし、実際に次の買い替え時に選びたい車種としては、

ガソリンハイブリッド車（35.8%）
ガソリン車（32.1%）

といった従来型の車両が上位を占め、BEV（電気自動車）を選択したい人は4.1%にとどまりました。
これは、電気自動車の購入を検討する際に充電インフラの不足や車両価格の高さが大きな障壁になっていることが影響していると考えられます。

次の買い替え時に選びたい車種（ネクステージ調べ）

電気自動車の購入をためらう理由とは？

調査によると、電気自動車の購入をためらう理由として最も多かったのは「充電スポットが少ない」（55.9%）でした。

充電スポットの少なさ（55.9%）
車両価格が高い（42.3%）
自宅の充電設備の問題（34.7%）

現在、充電環境インフラは着々と進行はしている状況ですが、まだまだ充電環境の整備が進んでいないことが、BEVの普及を妨げる要因となっています。
現在、戸建て住宅では充電設備の設置が可能ですが、集合住宅ではスペースの問題から設置が難しく、多くの人が充電インフラの不備を懸念しています。また、「EVスポット」が増えているものの、急速充電器の設置数はまだ少なく、充電に40分～12時間程度かかるケースがあることもユーザーにとってネックになっています。

電気自動車購入をためらう理由（複数回答：ネクステージ調べ）

中古車の電気自動車は人気がない？　バッテリーの消耗が最大の懸念

電気自動車の中古車市場に関しては、購入に不安を感じる人が68.4%と、多くの人が慎重な姿勢を示しています。

中古電気自動車購入に感じる不安比率（ネクステージ調べ）

中古EV購入をためらう理由

バッテリーの消耗具合が不安（53.7%）
新車時からの経過年数から考えても高額（8.3%）
走行距離（7.3%）

特にバッテリーの消耗具合を気にする人が多く、耐用年数や交換コストの高さが中古EVの魅力を低下させる要因となっています。
バッテリー交換には数十万円以上のコストがかかるため、購入後のメンテナンス負担を考慮すると「中古車より新車の方が安心」と考える人が多いのかもしれません。

中古電気自動車の購入をためらう理由（ネクステージ調べ）

実際、電気自動車を購入する際に「新車でしか購入しない」と回答した人は25.3%、「できれば新車で購入したい」とした人は32.2%と、全体の57.5%が新車を希望しています。
一方で、「中古車で購入したい」と回答した人は6.9%にとどまり、中古EVに対する抵抗感が強いことが分かります。

電気自動車購入時の新車、中古車別購入志向（ネクステージ調べ）