自動車の整備業界では、人手不足や入庫台数の増加による負担が年々深刻化しています。
ナルネットコミュニケーションズが実施した全国2,308件の自動車整備工場を対象とした調査では、3社に1社が新規の車両受入れが困難と回答し、大規模工場ほど整備士不足が顕著であることが明らかになりました。
本記事では、整備工場の受入れキャパシティの現状や課題、今後の展望について詳しく解説します。
目次
3社に1社が「受入れ困難」 整備工場のキャパシティの現状
「今後、当社からの整備車両の受入れ台数を増やすことはできますか?」という質問に対し、以下のような結果となりました。
- 「可能」:38.1%
- 「条件付きで可能」:26.3%
- 「不可」:35.7%
つまり、3社に1社が現状以上の車両受入れは難しいと回答しています。
整備工場の車両受け入れ可能状況(ナルネット調べ)
受入れができない主な理由
- 整備士不足(47.3%)
- 管理・業務のキャパシティオーバー(20.1%)
特に整備士の人材不足が顕著で、受入れ困難と回答した工場の6割以上が「人的リソース不足」を要因としています。
大規模工場ほど整備士不足が深刻
整備士の確保はどの工場規模でも課題となっていますが、特に大規模工場ほど整備士の減少が目立つ結果となりました。
「整備士の数は増えていますか?」という質問では、
- 「増えている」:6.4%
- 「変わらない」:61.0%
- 「減っている」:32.6%
と、約3割の整備工場で整備士が減少していることが分かります。特に整備士が6~7名以上在籍する規模の大きな工場ほど人材不足が深刻化しており、業務の効率化や人材確保が急務となっています。
工場規模別整備士充足比率(ナルネット調べ)
増加する整備需要—入庫台数は4割の工場で増加
一方で、自動車の保有台数増加や車齢の伸びにより、整備需要は高まり続けています。
「昨年に比べて入庫台数は増えていますか?」という質問に対し、
- 「増えている」:38.8%
- 「変わらない」:42.0%
- 「減っている」:19.2%
と、4割近くの整備工場で入庫台数が増加していることが明らかになりました。
工場規模別入庫台数増加状況(ナルネット調べ)
整備需要が高まる要因
- 新車販売台数の減少(中古車需要の高まり)
- 自動車の保有台数の増加
- 平均車齢の伸び(故障・点検回数の増加)
特に2005年と2024年の比較では、平均車齢が大きく伸びていることが確認されており、今後も車両の長期使用に伴うメンテナンス需要は増加する見込みです。
※2、※3、※4をもとに作成した自動車保有台数、平均車齢の推移(2005年/2024年:ナルネット調べ)
※2出典:一般社団法人日本自動車工業会 新車販売台数推移
※3出典:自動車検査登録情報協会 自動車保有台数推移
※4出典:自動車検査登録情報協会 平均車齢推移
整備工場の抱える課題と今後の展望
今回の調査から、入庫台数が増加しているにも関わらず、整備士の確保が追いつかず、受入れが困難な工場が増えていることが明らかになりました。
特に大規模工場ほどこの傾向が強く、人手不足による「整備難民」の発生が懸念される状況です。
解決に向けたポイント
- 整備士の人材確保・育成の強化
- デジタル技術を活用した業務効率化(整備管理システムの導入など)
- サプライチェーンの見直し(修理部品の調達スピード向上)
整備業界全体でのDX推進や、若手整備士の育成・確保が急務となっています。
まとめ 整備業界の未来を考える
整備工場のキャパシティ不足が深刻化する中、入庫台数の増加に対して人材不足が追いついていない現状が明らかになりました。
今後の整備業界のポイント
- 入庫台数は増加傾向で、メンテナンス需要は高まり続ける
- 大規模工場ほど整備士不足が深刻で、受入れ困難な工場が増加
- デジタル技術の導入や人材確保が業界全体の課題に
整備業界は、DX推進や人材育成といった変革を求められる局面に入っています。
今後の動向を注視しながら、整備士不足による長期修理や「整備難民」の解決策を模索することが重要です。
ナルネットの整備士不足解消構造の概念図
詳細な調査レポートはこちら
https://mobinowa.com/column/277/?utmsource=pressrelease250214&utmmedium=direct&utm_id=pressrelease
詳細は出典元の記事をご確認ください
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000066010.html