日産自動車株式会社は、2025年4月から東京都で施行される「新築集合住宅へのEV充電設備設置義務化」を背景に、集合住宅に住む30~50代を対象としたEV充電に関する調査結果を発表しました。
今回の調査は、EVの購入意向と充電環境の関係性にフォーカスし、普及のボトルネックとなっている「自宅充電」の実態を明らかにするものです。
自宅で充電できればEV購入意欲は74%超に
調査によれば、「集合住宅でも自宅で充電できればEVを購入したい」と回答した人は74.4%にのぼりました。
また、実際に「集合住宅に充電器が設置されたことでEV利用者が増えたと感じる」とした人も63.7%を占め、自宅充電環境の有無が購入の意思決定に直結していることが伺えます。
さらに、「過去に自宅で充電できないことを理由にEV購入を諦めた経験がある」と答えた人も52.2%に達しており、充電設備の整備はEVの普及を推進するうえで避けて通れない要素です。
義務化の認知は低いが、期待は大きい
東京都では2025年4月から新築集合住宅にEV充電設備の設置が義務付けられますが、この制度の認知度は41.2%と半数以下にとどまっています。
しかしながら、「この義務化によってEV購入意向が高まる」と答えた人は62.0%にのぼり、インフラ整備が普及促進に資するという期待の高さも明らかになりました。
加えて、マンションのEV充電設備設置に必要な住民の同意基準が過半数に緩和された「マンション標準管理規約」の改正についても68.6%が未認知という結果に。
EV充電を取り巻く制度やサービスの情報が、まだ十分に浸透していないことが課題として浮かび上がっています。
EV検討者の半数が「3年以内に購入」検討中
調査対象のうち、EVを購入したいと考える人の53%が「3年未満に検討している」と回答。主な購入理由としては「環境にやさしいから(26.2%)」「ガソリン価格の高騰(21.8%)」が挙がり、経済性と環境意識の両立が動機となっていることが分かります。
一方で、購入をためらう要因は「車両価格が高い(59.4%)」「自宅で充電できない(56.2%)」が上位に。いずれもEVにおける“導入コスト”と“使用の利便性”に関する課題です。
普及のカギは「情報発信とインフラ整備の両立」
調査では、EV普及のボトルネックは「インフラ整備」と「情報の周知不足」であるとみられます。
車そのものの性能や価格だけでなく、「どこで」「どうやって」充電するかというインフラ整備と、それを取り巻く社会的理解、さらにEVに対する心理的・実務的なハードルを下げることが可能だと考えています。
集合住宅という居住形態が一般的な都市部においては、“自宅での充電”という日常の利便性の実現こそが、EV普及のカギを握ると言えるでしょう。
今後は、充電インフラの推進だけでなく、住民や管理組合への啓発活動の強化にも注力し、ゼロ・エミッション社会の実現に向けた取り組みを加速することが必要と判断されます。